平成19年6月26日 18時~
於:グランドプリンスホテル赤坂、トップ・オブ・赤坂:新館40F
赤阪国連広報局長、
イスラエル・パレスチナよりお越しの皆様、
御列席の皆様
本日、イスラエルおよびパレスチナから多くの関係者の出席を得て、また国連広報局、国連大学との共催により、我が国において中東和平国際メディアセミナーを開催できましたことを、大変嬉しく思います。
皆様ご存知のとおり、この6月に入ってからは特に、パレスチナでは大変厳しい状況が続いてきており、現下のパレスチナ情勢の悪化を深く憂慮しています。このような困難な時期にありながら、今回のセミナーに出席頂いた関係者皆様に深く感謝致します。
さて本日のセッションでは、イスラエルとパレスチナの政治状況及び中東和平プロセスにおける近隣諸国の役割について活発に話し合われたと承知しています。
中東和平問題は、中東地域のみならず、国際社会全体の平和と繁栄に直結する問題であり、我が国としても積極的に取り組んでいます。この5月には、安倍総理が中東地域を訪問し、主要国の首脳と中東和平問題についても議論しましたし、去る2月、麻生外務大臣は政策スピーチ「私の考える中東政策」において、中東和平プロセスの進展の重要性を強調しました。我が国は、イスラエルとパレスチナの二国家の共存共栄が唯一の和平への道であるとの認識のもと、両当事者への政治的働きかけ、累計約9億ドルに上る対パレスチナ支援、両当事者間の信頼醸成促進に取り組んできております。
我が国がこの地域への支援の屋台骨として掲げているのが「平和と繁栄の回廊」構想です。これは、真の和平を達成するため、持続的な経済開発を通じて、ヨルダン渓谷に地域協力を通じ繁栄する地域を創ることを目指し、「平和の配当」を人々に実感してもらうという地に足のついた中長期的な取組みです。我が国は、3月末より現地に調査団を派遣しており、明日、現地にて4者協議の事務レベル会合を開催する予定です。この構想を着実に進め、共同作業を通じて関係者の間で「信頼」を醸成するとともに、パレスチナの人々に対して「貧困と絶望」ではなく、「就業機会と自信」を得る機会を与えたいと考えています。
明日開催される地域経済開発のセッションでは、この「平和と繁栄の回廊」構想についての議論も含め、有意義な意見交換が行われることを期待しています。また、市民社会はこの地域に平和を構築する上で欠かせない存在であり、この観点から市民社会のイニシアチヴに関するセッションでも、闊達な議論を期待します。
また、市民の声を政治に届ける、或いは政策が市民社会に浸透する過程で、更には中東和平問題への国際社会の関心を維持する上で、このセミナーの標題にも言及のある「メディア」は極めて重要な役割を担っています。メディアの皆さんにとっても有益な視点を提供するものとなることを期待しております。
ではここで、和平の一日も早い到来を祈念して、皆様と共に杯を上げたいと思います。