平成18年11月21日
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日本の外務副大臣でございます。
本日、「イーター協定署名式」という歴史的な式典のためにエリゼ宮殿を提供頂いたシラク大統領閣下、
また、本日の式典をホストして頂いたバローゾ欧州委員長閣下、ポトチェニック欧州委員閣下、
イーターの歴史の中で重要な一歩を踏み出すのに相応しい素晴らしい式典をアレンジして頂き誠に有り難うございます。
本日は、イーターに参加している七極が、ここ伝統のあるエリゼ宮殿に集い、イーター協定の署名という核融合エネルギーの実現に向けた大きな一歩を踏み出すことができることを非常に喜ばしく思っております。
我が国は、1985年にイーター計画の実施に合意して以来、継続してこの計画に積極的に参加し、かつ本計画の中でも中心的な役割を演じるべく各極との協力を進めて参りました。一方で、我が国にとって、本日を迎えるまでの道のりは決してたやすいものではありませんでした。ご承知の通り、イーターのサイト選定に関しては、昨年の「モスクワ閣僚級会合」において、「イーター事業の早期実現」、「国際協力の枠組み維持等」を考慮に入れ、大局的見地からイーターの建設地を欧州に譲るという決断を行いました。これは、我が国にとって非常に重大な決断でありましたが、我が国は建設地が欧州に決定した後も、イーター事業に対し、強いコミットメントを継続しています。
将来に向けてのコミットメントの一例としては、我が国はイーター事業の中では最も技術的に難しいとされる「中心ソレノイドコイル」の製作を果敢にも担当する予定であることを申し上げさせていただきます。このような、我が国のこれまでの貢献、そして、今後の計画から、如何に我が国が本計画を重視し、かつ、この計画を熱心に推進してきたか、そして、今回の署名を重く受け止めているかをご理解頂けると思います。本日は、イーター機構設立協定等が署名に至り、極めて感慨深いものがありますが、あらためて、関係各極の意義深い御協力に心より賛辞を送りたいと思います。
イーター事業は、国際機関を設立し、大規模な国際科学プロジェクトを行うという意味で、これまでに類をみない世界的なプロジェクトであります。協定の策定において、各極は様々な困難に直面しつつも、地球規模のエネルギー問題に対処するという共通の目的をもって、協力と妥協の精神によりそれらの困難を乗り越えてきたと承知しております。ここに、これまで協定交渉に携わってこられたすべての関係者に敬意を表したいと思います。
また、イーター事業を進めていくに当たり、ホスト極であるユーラトム及びホスト国であるフランスの協力がなくてはイーター事業の成功はあり得ないことは言うまでもありません。既に、イーター協定の発効前にも関わらず、ユーラトム及びフランスは、イーター事業を円滑に開始するために様々な努力を行っていると聞いておりますが、今後も、そのホスト極及びホスト国としての責任を十分に果たされると信じております。本件は、7極の国際協力という意味だけではなく、我が国にとっては、日・EU及び日仏関係という文脈においても非常に重要な事業であると認識しております。
我が国は、本日ここに集まった6極のパートナーとともに「池田事務局長予定者」のリーダーシップの下に、イーター事業を開始できることを誇りに思うとともに、関係者すべての協力による本事業の成功を確信しております。また、同時に人類が持続可能な発展を遂げるための新たなエネルギーを開発していくことは、次世代に対する我々の責任であると認識しております。このような考えの下、我が国は、ユーラトムとの協力で我が国において行われる「より広範な取組を通じた活動」(Broader Approach Activities)を通じて、今後の核融合エネルギーの実現に向けて取り組んでいく所存であります。
本日は誠におめでとうございました。ありがとうございます。