演説

河井外務大臣政務官演説

「ブータンと国民総幸福量(GNH)に関する東京シンポジウム2005」における河井外務大臣政務官の開会挨拶

平成17年10月5日
於:三田共用会議所(東京)

 クズ ザンポーラ。そしておはようございます。ご紹介をいただきました外務大臣政務官、衆議院議員の河井克行でございます。

 本日はお忙しい中、ブータンに関心を持つ大勢の方々に日本各地からお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、ブータン本国から、ダゴ・ツェリン駐日ブータン王国大使閣下はじめブータン関係者の方々にもお見えいただいております。併せて感謝をいたします。

 私が最初にブータンに関心を持ったのは、1972年に現国王のワンチュク国王陛下が当時16歳の若さで即位されたという報道を新聞で読んだことがきっかけです。それ以来、神秘の国ブータンに大変大きな関心を抱いておりました。本日お集まり頂いた皆様も、いろいろなきっかけや動機からブータンに関心をお持ちのことと思います。

 私は、昨年9月に外務大臣政務官に就任致しましたが、その際、秘書官に対し、ブータン王国訪問の機会をつくるようにと真っ先に指示いたしました。今年の6月に長年の夢が叶い、ブータン王国を訪問いたしました。外務省の政治任用者としてはもちろん、日本政府の内閣の一員としてブータンを訪問したのは私が初めてだったということを伺い、大きな使命感を感じつつ、大変充実した時間を過ごすことができました。滞在中、国王陛下にも拝謁させて頂きました。国王陛下は非常に英明な方で、ヒマラヤの山岳国家にありながら、世界の情勢、また極東アジアの情勢を大変詳しくご存じであったことをはっきりと覚えております。

 その席で、日本政府を代表し、私の方から三つの提案をさせていただきました。
 一つは、GNHに関するシンポジウムを今秋にも日本で開催したく、ついてはその会にふさわしい素晴らしい方を貴国から派遣頂きたいと申し上げました。

 次に、現在国王陛下の強い指導力で進みつつあるブータンの民主化を日本政府も全力でお手伝いさせて頂きたい旨を申し上げました。特に、現在ブータンでは新憲法の制定が間近になっておりますが、立憲君主国という同じ政体を持つ日本国としましては、日本国憲法を様々な意味でご参考頂けるのではないかと考えております。そこで、本件にふさわしい方を日本に派遣して頂きたい旨ご相談させて頂きましたところ、昨日駐日大使閣下から国会議長もしくは最高裁の長官をお送り頂くと伺い、現在両国政府間で調整を行っている状況です。

 最後に、日本とブータンが外交関係を結んでから来年でちょうど20年になりますが、20周年を記念すべき行事を両国で開催したい旨を申し上げました。単に儀礼的なものではなく、両国国民が心から互いを理解することができるような周年行事を開催したいと考えております。

 以上の提案につき、いずれも国王陛下から快くご承諾をいただきました。そこで、最初の提案として申し上げたシンポジウムを本日開催する運びとなりました。

 現在、日本の国会にはブータン友好議員連盟が存在しないことを聞いておりました。そこで、このシンポジウムに合わせ、日本ブータン友好議員連盟をぜひ設立したい旨を申し上げました。ブータンから帰国後、町村外務大臣のお許しもいただき、早速声をかけさせていただいております。既に二桁の国会議員の方々から入会の希望をいただいておりますので、近いうちに正式に働きかけをさせていただきたいと考えております。

 こうしてブータンのことを振り返りますと、素晴らしい自然と、そして何よりも人なつっこく純粋で誠実な国民性が思い浮かびます。私たち日本人がかつては持っていながら、現在少しずつ失いつつある美徳をブータンの人々はたくさん持っていると感じています。

 こうした国民性や美しい自然だけでなく、国際政治の文脈においても、ブータン王国は日本にとって重要な国であると実感しております。現在日本は安全保障理事会における常任理事国入りを果たすべく取り組んでおりますが、私のブータン訪問中、外務大臣閣下から共同提案国について文書でもって快くご承諾いただいたということだけが理由ではありません。ブータンは、中国やインドという大国に挟まれています。この先日本も中国やインドとしっかり向き合いながらお付き合いをしていかねばなりませんが、その際、両大国の狭間にあるブータンと日本が必要な交流をしっかりと行っていることを両大国に知らしめることが、私は日本外交にとっても意味のあることであると感じております。

 また、6月2日は愛知万博においてブータンのナショナルデーということで、本日お見えの森戸名誉領事をはじめ、関係者の皆様方のお力添えによりまして、素晴らしいナショナルデー、そして愛知万博における出展を行うことができました。本日お見えの皆様方をはじめ、今日本においてもブータンに関心をお持ちの方が、静かではあるものの、広がりつつあると感じています。

 本日の主題であるGNH、つまりお金の豊かさだけではなく心の豊かさ、そして幸せとはどのようなことかについて考えるということは、私たち政治に携わっている人間にとっても非常に深い主題であると感じております。本日は、ブータンからお越し下さったお二人の素晴らしいお客様、そして日本国内のブータン専門家の方にお集まりいただきましたが、すべて弓削日本ブータン友好協会事務局長をはじめ、皆様方のご尽力によるものです。今後、ブータンやGNHに関する一流の方々が集まる機会は、おそらくそれほどないのではないかと私は思います。本日ご出席頂いた皆様と一緒にブータンやGNHについて勉強し、日本の未来を真剣に考えてまいりたいと思っております。この地球上にブータンという国が存在し、大変よかったと感じております。本日は最後までご静聴いただきますことを、主催者として心からお願いさせていただきます。

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