外務大臣談話

令和7年3月3日
  1. 3月3日(月曜日)(現地時間同日)、ハーグ(オランダ)の国際司法裁判所(ICJ)において裁判所長選挙が行われ、我が国出身の岩澤雄司(いわさわ ゆうじ)裁判官が選出されたことを歓迎します。
  2. 国際紛争の平和的解決及び国際社会における法の支配の維持・強化のため、国際社会で最も権威ある司法機関である国際司法裁判所が果たす役割は益々増大しています。こうした中で、これまで約7年間にわたり、国際司法裁判所によるこのような取組に貢献してきた岩澤裁判官が、今般、日本人として裁判所長に選出されたことは、同裁判官への高い評価を示すものであり、大きな意義があります。今後の岩澤裁判官の所長としての更なる活躍を期待します。
  3. 我が国としては、引き続き国際司法裁判所の発展に協力し、国際社会における法の支配の推進に積極的に貢献していきます。
(参考1)国際司法裁判所(ICJ:International Court of Justice
  1. ICJは、国際法に基づく国家間の紛争の平和的解決を任務として、1945年に設立された国連の「主要な司法機関」。オランダのハーグに所在し、国連総会及び安保理双方の選挙で選ばれた裁判官15名で構成。
  2. 国家間の裁判手続のほか、国連の諸機関の求めに応じ、法律問題に勧告的意見を述べることができる。
  3. 現在のICJ規程の当事国は193か国(注:国連加盟国は当然にICJ規程の当事国となる。)。我が国は1956年の国連加盟に先立ち、1954年4月2日にICJ規程の当事国となった。
(参考2)ICJ所長選挙
  1. ICJは、裁判官15名により構成される裁判官会議において、3年ごとに裁判所長及び裁判所次長を選挙する(今回の所長任期は2027年2月5日まで。再選可)。選挙は裁判官の互選により秘密投票で行われ、過半数の票を得た者が当選したものとされる。
  2. 裁判所長は、裁判所のすべての会議を主宰するほか、裁判所の業務を指揮し、運営を監督する。
  3. 今回の選挙は、サラーム前裁判所長(レバノン出身)が1月14日付で辞任したことに伴い実施。本件選挙は裁判官の互選(秘密投票)によるため、他の立候補者や投票結果等の詳細情報は非公開であり、不明。
  4. これまでの我が国出身のICJ裁判官には、岩澤裁判官のほか、小和田恆裁判官(2003年~2018年、うち2009年~2012年は裁判所長)、小田滋裁判官(1976~2003年、うち1991~1994年は裁判所次長)及び田中耕太郎裁判官(1961~1970年)がいる。日本人裁判官がICJ所長を務めるのは、小和田裁判官に次いで2人目である。(なお、国際連盟における国際司法機関であり、ICJの前身にあたる常設国際司法裁判所(PCIJ)においては、安達峰一郎裁判官が所長(1931~1934年)を務めている。)
(参考3)岩澤雄司ICJ裁判官

 2018年6月より現職。2018年6月に行われた小和田恆裁判官の辞任に伴う裁判官補欠選挙で選出され、2020年11月に再選された(任期は2030年2月まで)。裁判官就任前は、東京大学大学院総合文化研究科教授、同大学院法学政治学研究科教授等を歴任。他に、国際法協会副理事長(2016-現在)、万国国際法学会正会員(2021-現在)、自由権規約委員会委員(2007-2018、うち2009-2011及び2017-2018は委員長)等。東京大学法学部卒業、米国ハーバード大学ロースクール修士課程修了、米国バージニア大学ロースクール博士課程修了。


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