外務大臣談話

令和6年10月7日
  1. ハマス等によるイスラエルに対するテロ攻撃が発生してから、本日(2024年10月7日)で一年が経過しました。この機にあらためて、日本は、この間、犠牲になられた方々に対し哀悼の意を表するとともに、遺族の方々に対しお悔やみを申し上げます。
  2. 日本は、一貫してハマス等によるテロ攻撃を断固として非難してきており、今なお囚われの身にある全ての人質の即時解放を求めます。同時に、戦闘が長期化する中、ガザ地区において危機的な人道状況が続いていること、また、多数の民間人が犠牲となっており、今もなお、イスラエルとパレスチナ双方の市民の安全が脅威に晒されていることを、深刻に懸念しています。日本は、イスラエルを含む全ての当事者に対し、国際人道法を含む国際法を遵守するよう、引き続き求めるとともに、停戦の実現に向けて着実に取り組むよう改めて強く求めます。
  3. 米国、エジプト、カタールが人質解放と停戦を巡る交渉の実現に向け尽力している中、日本はかかる仲介努力を強く支持しています。引き続き、地域諸国との関係を基盤に、また、G7や国連安全保障理事会の一員として、各国とも緊密に連携しながら、事態の沈静化、二国家解決の実現、そして中長期的な地域の平和と安定の確立に向け外交努力を重ねていきます。
  4. また、日本は、現下の状況を改善すべく、昨年10月7日以降、パレスチナの人々に対し、計約1億2,800万ドルの人道支援を実施してきています。引き続きガザ地区への人道支援を継続するとともに、ガザの将来を再建するため、今後訪れる早期復旧・復興段階においても、役割を果たす決意です。加えて、日本が立ち上げた「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」の枠組みを利用しつつ、より広く国際社会の協力を引き出すべく、外交努力を続けていきます。
  5. 日本は、イスラエル及びガザ地区を超えて、ヨルダン川西岸地区、レバノン、紅海・アデン湾、イランを含め中東地域全体で緊張が高まっていることを深刻に懸念します。何よりも重要なことは、更なる攻撃の応酬を回避し、事態を沈静化させることであり、日本としては、全ての当事者に対し、民間人の犠牲を防ぐためのあらゆる措置を講じ、また、更なるエスカレーションを回避するよう、強く求めます。
(参考1)ガザ情勢の概要

 2023年10月7日、ハマス等のパレスチナ武装勢力によるイスラエルに対するテロ攻撃が発生した。イスラエル側では、少なくとも1,200人が殺害され、5,500人以上が負傷した。さらに、外国人を含む250人以上がガザ地区に連れ去られ、人質になった。
 同事態を受け、ネタニヤフ・イスラエル首相は「戦争状態」を宣言し、イスラエル国防軍(IDF)がガザ地区に対する空爆及び地上作戦を開始した。ガザ地区では現在も軍事作戦が展開されており、検問所の閉鎖・出入域制限や避難等により、厳しい人道状況が続いている。
 2024年5月末に、バイデン米大統領が、人質の解放や停戦を巡る3段階の交渉案を発表し、同案を踏まえた国連安保理決議が採択される等、米国・エジプト・カタールの仲介を始めとする国際的な努力が展開される中、現時点で、当事者間で最終合意には至っていない。
 ガザ保健当局の発表によれば、2024年10月時点で、ガザ地区では、4万1,600人以上の死者、9万6,600人の負傷者が発生し、住民の9割に当たる約190万人が避難を余儀なくされている。また、イスラエル政府によると、今もなお、約100名がガザ地区で人質の身となっている。
 日本は、2023年10月7日以降のガザ情勢を受けて、ガザ地区における悲惨な人道状況の改善のため、パレスチナの人々に対し、計約1億2,800万ドルの人道支援を実施してきている。

(参考2)パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合

 パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD:Conference on the Cooperation among East Asian countries for Palestinian Development)は、東アジア諸国のリソースや経済発展の知見を活かしてパレスチナの国づくりを支援すべく、2013年(平成25年)に日本が立ち上げた地域協議枠組。

(参考3)日本の対パレスチナ支援

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