外務報道官談話

平成27年3月12日

1 3月11日,オランダのハーグの国際刑事裁判所(ICC)において,裁判所長,第一及び第二次長の選挙が行われ,我が国出身の尾崎久仁子(おざき くにこ)裁判官が第二次長に選出されたことを歓迎します。

2 国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪の不処罰を許さないとの信念の下,国際刑事裁判所が果たしている役割が益々増大していることに鑑み,同裁判所において我が国出身の裁判官が貢献することは重要です。これまで5年間にわたりICC裁判官として活躍してきた尾崎裁判官が,今般,日本人として初の次長に就任したことは,尾崎裁判官への高い評価の表れであり,その意義は大きいと考えます。今後の尾崎裁判官の次長としての更なる活躍を期待します。

3 我が国としては,国際刑事裁判所の発展を引き続き支援し,国際社会における法の支配の推進に積極的に貢献していきたいと考えています。

(参考)

1 国際刑事裁判所(ICC)
 ICCは,「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪」(ICCローマ規程前文)を行った個人を国際法に基づき訴追・処罰するため2002年に発足した史上初の常設の国際刑事裁判所。オランダ(ハーグ)に所在し,2015年3月現在,加盟国数は123か国。我が国は2007年に加盟。

2 ICC裁判所長,第一次長及び第二次長選挙

(1)ICCは,裁判官18名(裁判官の任期は9年)により構成される裁判官会議において,3年ごとに裁判所長,2名の次長(第一次長及び第二次長)を選挙する(一度のみ再選可)。選挙は裁判官の互選により秘密投票で行われる。

(2)裁判所長は,第一次長及び第二次長と協力し,裁判所の適正な運営を行う。

(3)今回の選挙では,フェルナンデス・デ・グルメンディ裁判官(アルゼンチン出身・女性)が所長に選出されたほか,アルーチ裁判官(ケニア・女性)が第一次長に選出された。なお,本件選挙は裁判官の互選によるため,他の立候補者や投票結果等の詳細情報は非公開。

3 尾崎久仁子判事
 我が国の刑事法分野及び人権・人道法分野の専門家。1979年に外務省入省後,条約局法規課,国連代表部等で国際法分野の業務に従事し,法務省刑事局,同省入国管理局難民認定室長(1998~99年)を経て,外務省総合外交政策局人権難民課長(1999~2001年)。その後,東北大学大学院法学研究科教授(2001~04年),神戸大学大学院国際協力研究科教授(2003~04年),在ウィーン代表部公使(2004~06年),国連薬物犯罪事務所(UNODC)条約局長(2006~09年)等を歴任。2009年締約国会議にてICC裁判官に選出され,2010年1月に就任

 東京大学教養学部(国際関係論)卒業(1978年),オックスフォード大学修士号(国際関係論)取得(1982年)。


外務報道官談話へ戻る