談話

平成26年8月29日

1 我が国は,今般,イスラエルとパレスチナ武装勢力が停戦合意に至ったことを歓迎するとともに,これまでのエジプトの仲介努力に敬意を表します。

2 今回の停戦合意を持続的な停戦と長期的なガザの安定化につなげるべく,我が国は以下の考え方を国際社会に提案してきています。

(1)持続的な停戦は,過去の諸合意(注)を基礎として行うべき。

   (注)2012年エジプトが提示した停戦合意案,2009年エジプト作成の国民和解合意文書,1995年オスロ合意II第二章等

(2)関係当事者はその具体的な方法につき,前提条件なく話し合うべき。

(3)停戦は中東和平交渉の再開と中東全体の安定化に資するものであるべき。

(4)国際社会は停戦定着後のガザの安定化のための支援を行うべき。

3 ガザ及び中東全体の安定化のためには,一時的な支援にとどまらず,緊急人道支援から復興まで息の長く切れ目のない取組が必要との認識の下,上記の提案を基に引き続き我が国として積極的な役割を果たしていく考えです。


【参考1】今回の停戦合意の概要

 現地時間8月26日夜,エジプトの要請に応じる形でパレスチナ・イスラエルが停戦受け入れ。カイロ時間26日19時(日本時間27日午前2時)より発効。主な内容は以下の通り。

(1)ガザ地区とイスラエル間の通行所開放。
(2)人道支援物資・救援物資並びに復興に必要な物資の早期搬入実現。
(3)漁業水域を6海里とすること。
(4)停戦が保証されてから1か月間その他の議題(注)に関し両当事者間の間接交渉を継続することを伴う。

  (注)パレスチナ囚人釈放,イスラエル兵遺体の返還,ガザ地区の空港・港建設等。

【参考2】過去の諸合意

1 2012年 エジプトが提示した停戦合意

(1)イスラエルはガザ地区への陸海空のあらゆる敵対行為を停止する。
(2)すべてのパレスチナ諸派は,イスラエル側に対するあらゆる敵対行為を停止する。
(3)検問所(複数)の開放,人・物資の動きの円滑化,居住者に対する行動制限の停止,国境地区において居住者を標的にしないこと。
  これらの実施にかかる手続きが停戦合意発効から24時間後に開始される。
(4)エジプトが合意事項にコミットする保障を各当事者から取り付ける。

2 2009年 エジプト作成の国民和解合意文書(2011年にパレスチナ諸派が署名)

(1)エジプト及びアラブ諸国の支援を得て,西岸・ガザの治安機関を再編する(第3項)。
(2)治安機関の枠組みの外で,如何なる軍事組織の結成も禁じる(第3項)。
(3)大統領令で設立される高等治安委員会は,エジプトやアラブ諸国の監視の下,(治安機関再編を含む)合意事項の実施を監視(第3項)。

3 1995年オスロ合意II第二章

(1)西岸・ガザのパレスチナ人のための公の秩序及び域内の治安を保証するために,パレスチナは強固な警官隊を設立する。イスラエルは,エジプト国境及びヨルダン国境,空域,海域を含む域外からの脅威に対する防衛について引き続き責任を持つ(第12条1項)。
(2)パレスチナの警官隊及びイスラエル軍を除き,西岸・ガザにおいて他のいかなる軍も設立・行動することはない(第14条3項)。


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