談話

平成26年8月8日

1 8月7日(現地時間同日),我が国,米国及びEUが中国に対して申立を行っていた紛争案件「中国-レアアース,タングステン及びモリブデンの輸出に関する措置」に関し,WTO上級委員会報告書が発出され,中国の措置がWTO協定に非整合的であるとして是正を求めたパネル報告書の結論が支持されました。

2 我が国は,上級委員会が我が国の主張を全面的に認める報告書を発出したことを大いに評価します。有限天然資源の利用について国内産業を優遇する中国の輸出規制措置が,WTOルールにおいては環境保護や資源保全を名目としても正当化されないことを,上級委員会が明確にしたことは極めて意義深いと考えます。

3 今回の報告書を受け,中国が,WTO協定に整合しないと認定された措置を誠実かつ速やかに是正することを求めます。

(参考)

1 2010年7月,中国は2010年下半期のレアアース輸出割当の前年比大幅削減を発表。中国政府に対し,輸出規制措置の是正について累次働きかけを実施してきたが,具体的な改善はみられなかった。

2 日本は米・EUと共に,中国のレアアース,タングステン及びモリブデンに対する輸出規制措置(輸出税の賦課,輸出数量の制限,貿易権の制限)についてWTOにパネル設置要請を行い,2012年7月にパネルが設置された。2014年3月にはパネル報告書が公表され,同年4月に中国が上級委員会に上訴を行った。

3 WTO紛争解決制度は二審制であり,上級委員会は最終審となる。上級委員会報告書は,WTO紛争解決了解の規定により,加盟国への送付の後30日以内に開催されるWTO紛争解決機関(DSB)の会合において採択され,DSBの勧告となる。


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