談話

平成26年5月1日

1 4月30日,イラクにおいて第3回国民議会選挙が予定通り実施されたことを歓迎します。

2 今回の国民議会選挙に際し,我が国はイラク政府及び各国と協調し,梨田和也駐イラク大使を団長として,バグダッド市内及びエルビル市内で選挙監視活動を実施しました。今回の選挙は,イラクの厳しい治安状況にも拘わらず,概ね平穏に執り行われたと認識しています。

3 一方で,国内の一部投票所やその付近において,テロ行為が発生しています。我が国はこうした行為を強く非難します。また,テロの犠牲者及び御遺族の方々に哀悼の意を表するとともに,負傷者の方々にお見舞いを申し上げます。

4 今後,開票・集計作業や不服申立て等の最終結果発表までのプロセスが公正・迅速かつ平和裡に進められ,早期に新たな政権が発足することを期待します。また,今次選挙を契機として,一層の国民和解が進展し,イラクの安定・発展が図られるよう期待します。

(参考1)イラク国民議会選挙

(1)今次選挙は,2011年末の米軍の完全撤退後,初の国政選挙。

(2)イラクの国民議会は一院制で全328議席。イラク全18県で県毎の選挙区(比例代表制)で投票が実施された(前回の選挙は2010年3月に実施)。

(3)我が国は,イラク独立高等選挙委員会(IHEC)の要請を受けて,梨田和也駐イラク大使他,在イラク大使館員がバグダッド市内及びエルビル市内の投票所の監視活動に当たった。我が国の他,米,英,EU等主要国が監視団を派遣した。

(参考2)新政権発足までの手続き

(1)4月30日の投票終了後,直ちに開票作業を開始。その後,大凡2~3週間でIHECによる暫定結果の発表が行われ,IHECへの不服申し立て,連邦最高裁判所の承認を経て正式な選挙結果が発表される。なお,前回選挙に際しては,投票日から正式な選挙結果の確定まで約3ヶ月,新政権の発足までは約9ヶ月を要した。

(2)憲法上,選挙結果確定後,15日以内に国会が召集され,新国会議長及び副議長が選出される。さらに召集から30日以内に国会議員の3分の2の賛成で新大統領が選出。その後、大統領が国会内の第一政党(政党連合)から首相候補を指名,同首相候補は30日以内に閣僚名簿を作成の上国会に提出し,国会の承認を得て,新政府が発足する。国会が不承認の場合や組閣が失敗に終わった場合,大統領による首相候補指名から始まる組閣プロセスが再度行われる。

(参考3)投票に際して発生したテロ事案

各種報道によれば,投票日当日,イラク国内(キルクーク等)において,爆弾テロ事件等により,投票事務に従事していた2名の女性を含む14名が死亡し,多数の負傷者がでた。


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