外務副大臣・外務大臣政務官
岸外務副大臣のイラク訪問(概要)
平成25年12月16日
12月15日(日曜日)及び16日(月曜日)の2日間にわたり,岸信夫外務副大臣はイラク共和国(バクダッド及びエルビル)を訪問したところ,概要は以下のとおりです。
バクダッド訪問(15日)
1.訪問概要
15日,岸副大臣は,バクダッドを訪問し,ホデイル・アル・フザーイー・イラク共和国副大統領及びヌーリー・アル・マーリキー・イラク共和国首相を表敬し,ホーシュヤール・ズィーバーリー・イラク共和国外相と会談しました。
2.日本企業のイラクへの投資支援
岸副大臣は,「復興からビジネスへ」のかけ声の下,日本政府は,日本企業のイラク
への投資を支援していく考えである旨伝達するとともに,イラク国内の治安状況やビジネス環境改善の必要性を述べました。これに対し,イラク側は,日本企業がイラク国内の各種プロジェクトへの参加につきより迅速な意思決定を行うことへの期待を表明しました。また,イラク側として,今後も国内治安情勢やビジネス環境の整備に取り組んでいく旨表明しました。
3.「積極的平和主義」の実践としてのイラク支援
岸副大臣は,安倍政権が,「積極的平和主義」の下,国際社会へのさらなる貢献を行っていく方針であり,その一環として,2014年4月のイラク国民議会選挙の期日どおりかつ円滑な実施のため,同選挙への支援につき検討を行っていく旨述べました。また,イラク国内の治安情勢にも影響を与えているシリア情勢との関連で,総額約2.8億ドルの人道支援にコミットしていることに加えて,シリア難民の人道状況改善等を目的に国際機関経由での支援を新たに準備していることを伝えました。これに対し,イラク側から日本の支援に対する謝意が表明されました。
4.日・イラク経済合同委員会の活性化
マーリキー首相から,経済合同委員会の活性化を通じた両国関係の更なる強化への期待,また,ズィーバーリー外相から次回経済合同委員会のバクダッドでの早期開催の希望が表明され,日・イラク双方は,今後双方にとって適当な時期を調整していくことで一致しました。
エルビル訪問(15日夕刻から16日)
1.訪問概要
岸副大臣は,15日及び16日に,我が国政務レベルとして初めてイラク・クルディスタン地域のエルビルを訪問しました。15日,岸副大臣は,ネチルヴァン・バルザーニーKRG(クルディスタン地域政府)首相主催夕食会に出席しました。また,16日には,ファラーフ・ムスタファーKRG外務庁長官及びマスウード・バルザーニーKRG大統領と会談しました。
2. クルディスタン地域における日本の支援
KRG側からは,これまでのJICAや国際機関を通じたクルディスタン地域への日本の支援に対する深い感謝の意が表明されました。またシリア難民支援につき,日本政府からの引き続きの支援を得たいとの発言がありました。これに対し,岸副大臣は,KRGのシリア難民支援の努力を評価するとともに,我が国としても,総額約2.8億ドルの対シリア人道支援にコミットしていること,加えて,シリア難民の人道状況改善等を目的に,国際機関経由での支援を新たに準備していることを伝達しました。
3. クルディスタン地域における日本企業の進出
岸副大臣は,比較的治安が安定しているクルディスタン地域への日本企業の関心の高さに言及しつつ,KRG側に対し,日本企業による投資促進のため,基礎インフラの整備や治安の維持への引き続きの努力を求めました。これに対し,バルザーニーKRG大統領は,日本企業の更なる進出を期待すると述べました。またKRG側からは,経済のみならず政治や文化等の様々な分野における日本との関係強化について強い期待が表明されました。
4.シリア難民支援物資目録の贈呈
国際移住機関(IOM)からの要請を受けて我が国が12月10日に決定した,クルディス
タン地域のシリア難民支援のための物資供与(テント800張、給水容器10,000個)に関し,今回のエルビル訪問の機会を活用して,岸副大臣はマイク・ピリンジャーIOMイラク代表に対して,支援物資の目録を贈呈しました。贈呈式にはムスタファーKRG外務庁長官も同席しました。