外務報道官談話
最近のエチオピア・エリトリア二国間情勢について
(外務報道官談話)
- 我が国は,アビィ・エチオピア連邦民主共和国首相によるアルジェ和平合意及びエリトリア・エチオピア国境委員会の決定の受諾と履行の発表,並びにイサイアス・エリトリア大統領によるエチオピアへの代表団の派遣の意図の表明を,エチオピア,エリトリア両国による関係改善に向けた動きとして歓迎します。
- 我が国は,エチオピアとエリトリアの両国間の関係が正常化し,両国間の国境問題が平和裏に解決されることを期待します。
- 我が国は,両国関係の改善がアフリカの角地域の安定に繋がるよう,エチオピア及びエリトリア両国と引き続き協力していく考えです。
[参考]エチオピア・エリトリア国境問題
(1)1993年,エリトリアはエチオピアから独立。その後も両国は緊密な関係を維持してきたが,エリトリアの独自通貨導入やアッサブ港の使用料を巡って両国間に摩擦が生じ,1998年5月,国境画定問題を巡って武力衝突が発生。
(2)2000年12月,アフリカ統一機構(当時)の調停の下,包括和平合意(アルジェ和平合意)が成立。これを受けて,2001年2月,オランダ・ハーグにエリトリア・エチオピア国境委員会(EEBC)が設置される。2002年4月,EEBCは,両国国境付近にあるバドメ村はエリトリアに帰属するとの裁定を下し,2004年,エチオピアはEEBC裁定を「原則」受け入れる和平計画を提案したが,同和平計画でもバドメ村がエチオピアに帰属すると主張したため,エリトリアはEEBC裁定で国境は画定済みとして同和平計画を拒否。
(3)2012年3月,2015年3月,2016年6月,エチオピア軍がエリトリア領を攻撃する等,国境での衝突は断続的に発生し,今日に至るまでエチオピアによるバドメ村地域に対する支配は継続している。
(4)本年4月2日,アビィ・エチオピア首相は,人民代表議会での就任演説で,エリトリアとの関係改善に向けた対話路線の外交姿勢を表明し,6月5日,与党人民革命民主戦線(EPRDF)執行委員会は,平和と安定の回復を目的として,アルジェ和平合意及びエリトリア・エチオピア国境委員会の決定を完全に受諾・履行する旨決定した。更にアビィ首相は,6月18日の人民代表議会第4回臨時セッションの質疑応答においても,アルジェ和平合意の完全履行について言及した。これに対して,イサイアス・エリトリア大統領は,6月20日に行った演説の中で,エチオピアとの関係について,「今後の対応を判断するため,アディスアベバに代表団を送る」旨発言した。