寄稿・インタビュー

アフラーム紙(エジプト)による河野外務大臣書面インタビュー

(2019年8月26日付)

日本の外務大臣からアフラーム紙へ

「我々はアフリカ大陸の平和,発展,安定を実現するためエジプトと協力する」

令和元年8月26日

【1面】

 日本の河野太郎外務大臣は,AU議長国であるエジプトのエルシーシ大統領と日本の安倍晋三総理大臣は,28日から30日まで横浜で開催されるTICAD7において議長を務めると述べた。河野大臣は,アフラーム紙によるインタビューにおいて,エジプト・日本の二国間関係は,2015年1月の安倍総理のエジプト訪問,2016年2月のエルシーシ大統領の訪日及びその後の幾つかの相互訪問により強化されたと語った。大臣はさらに,本年はエルシーシ大統領の大阪G20サミットへの参加を通じて二国間関係が一層強化された特別な年であるとし,日本はTICAD7の主要な柱であるアフリカの平和と安定の分野において,地域大国であるエジプトとこれまでも,またこれからも協力していくと指摘した。大臣はまた,アフリカにおける人材育成の分野においても二国間の協力強化が進んでいると付け加えた。
 1993年のTICAD開始からこれまでにおける前向きな成果として,アフリカは,被援助国から,世界経済における影響力を有する重要な存在に成長し変化したと大臣は述べた。この変化を強く後押しし,弾みをつけるためにも,大臣は,アフリカのオーナーシップと国際社会とのパートナーシップという二つの重要な理念のもと,TICAD7では,日本とアフリカの間の投資を促進し,ビジネスを強化することに焦点を置くと指摘した。

【7面】

 日本の横浜市において8月28日から30日まで開催されるTICAD7では,現在AUの議長国であるエジプトのエルシーシ大統領と安倍総理大臣の下,日本とアフリカ諸国間の経済的協力関係が様々な観点から議論される。1993年のTICAD開始からこれまでの成果と,アフリカへの投資,開発やインフラ整備,教育と保健の分野で更なる協力が求められる現在の国際情勢に照らして議論がなされる。
 TICADは日本政府のイニシアティブのもと,アフリカ開発への関心を引き寄せるため,アフリカ諸国首脳と開発パートナー間のハイレベルな政治対話の深化を目的として開始され,アフリカ開発のニーズに焦点を当てるための触媒としての役割を果たしてきた。今回のエルシーシ大統領訪日は,G20以来今年2回目となる。G20とTICADの2つの会議,新天皇陛下の即位に加え,朝鮮半島での政治的な動きがあった本年は,日本にとって “歴史的に重要な年”とされている。
 TICADの議題や,エジプト・日本二国間関係強化に当たり重要なこの行事へのエルシーシ大統領の参加の意義,日本とアフリカの政治,経済及び貿易関係の促進につき,アフラーム紙は河野外務大臣にインタビューを行った。

【問】貴大臣は,今次エルシーシ大統領及びシュクリ外務大臣の訪日に何を期待するか。

【河野外務大臣】日・エジプト関係は,2015年1月の安倍総理のエジプト訪問と2016年2月のエルシーシ大統領の訪日により一層強化されており,その後も,外相レベルを含め,緊密な往来が行われています。
 今年は,エジプトがアフリカ連合(AU)の議長国であることから,エルシーシ大統領とシュクリ外相には,6月のG20大阪サミットに続き,第7回アフリカ開発会議(TICAD7)にも参加いただくこととなりました。一年に二度も大統領に訪日いただくこと,特にTICAD7では両首脳が共同議長を務めることを踏まえると,今年は両国にとり特別な年と言えると思います。大統領と外相には,TICAD7の成功に向けたリーダーシップを期待します。
 さらに,今回の大統領,外相の訪日の機会を捉え,両国による対アフリカ協力を強化する機会にしたいと思います。これまでも,TICAD7の主要な柱の1つである,「アフリカの平和と安定」に資する分野で,日本は,アフリカの地域大国であるエジプトと協力を行ってきました。
 今般,これらの分野に加え,アフリカにおける人材育成の分野でも両国の協力強化を図りたいと思います。エルシーシ大統領も,教育にはとりわけ御関心が高いと承知しています。この観点からも,両国で「人づくり」の分野で協力を推進することは時宜を得たものです。
 具体的には,まず,両国の協力により実施しているアフリカ諸国の行政官向け研修プログラムの拡充を表明予定です。また,日本式の工学教育に取り組んでいるエジプト・日本科学技術大学(E-JUST)において,アフリカ諸国から今後新たに150人の留学生を受け入れることを発表します。
 これらは,アフリカ自身による開発課題解決の取組として,TICADの趣旨にも沿ったものであり,今般,両国の協力によるアフリカの人づくり支援を強化できることは非常に意義深いことと思います。

【問】これまでのTICADとTICAD7の違いいかん。TICADが立ち上げられてからこれまでの日アフリカ間の協力に対する評価いかん。

 

【河野外務大臣】1993年のTICADIから26年が経ちました。当初は国際社会の関心をアフリカに呼び戻すために始まったTICADですが,2000年代半ばからのアフリカの順調な経済成長を受け,アフリカ自身,その重点を開発支援からビジネスを通じた経済社会開発に移行しつつあり,それに合わせてTICADも変化しています。
 アフリカ各国は援助を受ける立場から,今や世界経済の中で重要なプレイヤーとして位置づけられるまでに成長しています。こうした流れに弾みをつけるため,今次TICAD7では,TICADにおいてビジネスを中心に据え,日・アフリカ間の投資及びビジネス促進を具現化していきます。
 これまでの26年間で,TICADは,アフリカについて誰もが語ることのできる開かれた包括的なフォーラムとしての地位を確立してきました。この点,アフリカを含む国際社会から極めて高い評価を頂いております。
 日本は,アフリカの開発においては,アフリカ自身のオーナーシップと,国際社会とのパートナーシップが重要との理念の下,TICADプロセスを通じ,アフリカの主体的な取組を国際社会と協力し支援してきました。
 TICADにおける広範かつ多様なアクター間の協力,アフリカの自発的な取組,そして継続的な対話等を通じ,この原則は,アフリカ側にも,国際社会にも浸透しており,この点についても十分に評価できるものと考えています。

【問】TICADの共同議長である日本とエジプトは,今次TICAD7において日本とアフリカ諸国の間の投資,ビジネス,貿易を拡大するため,いかにリーダーシップを発揮していくのか。

【河野外務大臣】今次TICAD7においては「アフリカに躍進を!ひと,技術,イノベーションで。」のテーマの下,経済,社会,平和と安定の三つの柱が議論の中心となりますが,特に,官民連携を通じた民間投資の促進やビジネス・貿易の拡大が重要なテーマです。
 域内大国として政治的・経済的に大きな役割を担うエジプトは,AU議長として,アフリカ諸国間の一体性促進を重要なアジェンダの一つとして掲げており,このアフリカ諸国間の一体性促進は,アフリカでビジネスと投資を促進しようとしている日本にとっても重要な要素です。
 日本は,日・アフリカ間の投資,ビジネス,貿易拡大につき,理想を共有するエジプトと緊密に協力しつつ,今次TICAD7においてこれらの分野でリーダーシップを発揮していきたいと考えています。
 具体的には,日・アフリカ双方の官民が一堂に会するTICAD初のビジネス関連全体会合を開催し,日・アフリカ間の官民対話を一層促進します。また,JETROによる「日本・アフリカビジネスフォーラム&EXPO」,JICA,JETRO,UNDPによる日本とアフリカのスタートアップ企業を紹介する「アフリカ日本スタートアップピッチ」といったビジネスに関する各種サイドイベントを通じ,アフリカ企業と日本企業のネットワーキングも促進していきます。エジプトと手を取り合って協力し,今次TICAD7が日・アフリカ間のビジネスチャンスの拡大につながることを期待しています。


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