寄稿・インタビュー

ジャパン・ニューズ紙への岸田外務大臣寄稿

(2016年4月9日付)

「G7は,国際社会の課題に対する対応を主導」

平成28年4月13日

英語版 (English)

 10日から11日にかけて,私の地元広島において,各国の外相をお迎えし,G7外相会合が開催されます。今年に入ってからも,ブリュッセルをはじめ各国で頻発するテロ攻撃,深刻化する難民問題,北朝鮮による核実験とミサイル発射など,国際秩序に責任を有するG7外相が議論し,対応を主導すべき問題が山積しています。本年のG7議長国として,基本的な価値を共有するG7の外相と共に国際社会の喫緊の課題に関し率直な議論を行いたいと思います。

 テロ・暴力的過激主義,難民問題は,国際社会として取り組むべき課題として,来るG7外相会合でもしっかり取り上げたいと思います。中東のテロ・暴力的過激主義が激化し,欧州やアジア諸国にも地域的広がりを見せています。無辜の市民の命を奪う卑劣なテロは,平和と繁栄という人類共通の価値への挑戦であり,日本は断固これを非難します。

 そして,テロや難民問題には,その背景にある根本原因に中長期的に取り組み,暴力的過激主義を生み出さない寛容で安定した社会の構築に向けた支援を積極的に進めていく必要があります。

 その際,G7には,果たすべき大きな役割があると信じています。G7各国がそれぞれ強みをいかした対策を行い,相互に補完し合い,更には,相乗的な効果も発揮するよう取り組むべきです。その中で,日本としては,日本の強みを活かし,短期的な人道的な支援だけでなく,中長期的な観点から開発協力を組み合わせて,より効果的で包括的な貢献をしていきたいと思います。

 8年振りにアジアで開催されるG7外相会合であり,アジアの問題,北朝鮮や海洋安全保障といった問題についてもしっかり取り上げ,G7としてゆるぎない対応を取りたいと思います。南シナ海等で見られる力による現状への変更の試みは,法の支配に基づく国際秩序への挑戦であり,アジアのみならず,国際社会全体の問題です。G7は,公海における航行・上空飛行の自由の確保や一方的な行動の自制,海賊対策を含む海上交通の安定確保に向けた取組の重要性といった認識を共有しており,適切なメッセージを発していきたいと思います。

 今回のG7外相会合は,史上始めて被爆地広島で開催されるG7外相会合であり,軍縮・不拡散も取り上げたいと思います。私自身,被爆地広島出身の外相として,就任以来,軍縮・不拡散に取り組んでまいりました。しかし,昨年のNPT運用検討会議以降,核兵器国と非核兵器国との対立が深まっており,残念ながら「核兵器のない世界」に向けた国際的な機運はしぼみつつあり,強い危機感を感じています。また,北朝鮮による1月の核実験及び2月,3月の弾道ミサイルの発射は,地域のみならず,国際社会共通の深刻な脅威であり,こうした厳しい現実を直視する必要があります。

 そのような状況だからこそ,核兵器国と非核兵器国の双方が含まれるG7として,広島の地から,「核兵器のない世界」に向けた力強いメッセージを発出することが必要です。しぼんでしまっている国際的な機運を再び盛り上げ,「核兵器のない世界」に向けた取組を再起動させたい,そう願っています。力強いメッセージを発出できるよう議長として尽力します。

 また,4月11日には,G7各外相が揃って広島平和記念資料館を訪問し,原爆死没者慰霊碑への献花を行います。世界の指導者に被爆の実相に触れてもらうことは,「核兵器のない世界」を目指すという国際的な機運を盛り上げる上で極めて重要と確信しています。

 広島には,海と山に囲まれた美しい自然,豊かな文化と長い歴史があります。広島は,原爆投下から蘇った「平和」と「希望」の象徴です。その広島にG7各国の外相が集り,胸襟を開いて率直に議論する機会を捉え,平和,繁栄,未来への希望といったメッセージを出したいと思います。伊勢志摩サミットにつなげるべく,議長として,広島外相会合を成功に導きたいと思います。


このページのトップへ戻る
寄稿・インタビューへ戻る