アメリカ合衆国

平成28年9月21日
バイデン米国副大統領の表敬を受ける安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)

 9月21日12時45分頃から約1時間,ニューヨーク出張中の安倍総理は,バイデン米副大統領による表敬を受けたところ,概要以下のとおり。

1 日米関係

 冒頭,安倍総理から,今般のNY等のテロに対し,心からお見舞い申し上げる旨発言しつつ,我々は断固としてテロに屈しないという決意の下,より具体的協力を強化していく必要がある,日米で更に連携を強めたい旨述べた。続いて,安倍総理から,度重なる北朝鮮の核実験・ミサイル発射や,東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試みなど,現行の国際秩序は様々な挑戦に直面しており,地域と国際社会の安定と繁栄のため,日米同盟が果たす役割はかつてなく重要となっている,バイデン副大統領とも議論を深めていきたい旨発言した。
 これに対しバイデン副大統領から,テロ事件に対する総理の言葉への謝意が表明されるとともに,日米同盟はアジア太平洋地域のみならず国際社会の平和と安定にとって重要であり,引き続き同盟関係を強化していきたい旨発言があった。
 また,安倍総理から,日米同盟の更なる強化が不可欠である旨述べつつ,普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策との立場は不変であり,司法プロセスも進展している旨述べ,双方は沖縄の負担軽減にも引き続き共に取り組んでいくことを確認した。

2 北朝鮮

 安倍総理から,北朝鮮の脅威は従来とは次元の異なるレベルであり,新たな制裁措置を含む安保理決議を速やかに採択すること等を通じて北朝鮮への圧力を強化すべきであり,独自の制裁についても日米で緊密に協力していきたい旨述べた。
 これに対し,バイデン副大統領から,総理の発言に同意する旨の発言があり,双方は,安保理での新しい決議採択に向けて中国とも連携しつつ,作業の進捗を図るべく,日米で緊密に連携・協力していくことで一致した。
 また,安倍総理から,人権問題の分野でも北朝鮮に圧力をかけることが不可欠であり,拉致問題を含む人権問題についても連携して対応したい旨述べた。バイデン副大統領から,米国としても北朝鮮の動きには深く懸念しており,国際社会として圧力を強めていく必要がある旨述べた。

3 中国

 双方は,最近の日中間,米中間の動きや海洋安全保障を含む様々な課題について意見交換を行った。その中で,安倍総理から,G20の際の日中首脳会談において,習近平主席との間で日中関係改善に努めることに一致する一方,東シナ海における行動に自制を要請した旨説明したところ,バイデン副大統領から,東シナ海・南シナ海における中国の動きについて深い懸念が表明され,同盟関係を重視して対応していくとの米国のコミットメントが改めて表明された。

4 TPP

 TPPについて,安倍総理から,日米主導でTPP早期発効に向けた機運を高めていきたい旨発言し,双方はTPPの早期発効に向け努力を続けていくことで一致した。

5 ロシア・ウクライナ

 ロシア・ウクライナへの対応についてバイデン副大統領から照会があったのに対し,安倍総理から,戦後70年以上未解決の日露間最大の懸案である北方領土問題を本気で解決したい,この問題はプーチン大統領と話をすることでしか解決できない旨述べつつ,12月に大統領を山口県に招待することとした旨発言した。また,安倍総理から,対露制裁を継続し,G7の連帯を維持する考えに変わりはない,ウクライナについては,ミンスク合意を全ての当事者が完全履行することが不可欠と述べた。
 これに対し,バイデン副大統領は,安倍総理の賢明な対応を確信している旨述べ,双方は今後も緊密に意思疎通していくことを確認した。


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