政策評価
外務省政策評価アドバイザリー・グループ第27回会合議事録
1 日時
平成29年6月30日(金曜日) 14時30分~16時00分
2 場所
外務省
3 出席者
- (有識者)(五十音順)
- 秋月 謙吾 京都大学大学院法学研究科 教授
- 神保 謙 慶應義塾大学総合政策学部 准教授
- 山田 治徳 早稲田大学政治経済学術院 教授
- (外務省)
- 船越 大臣官房総務課長
- 真鍋 大臣官房考査・政策評価官
- 村岡 大臣官房ODA評価室長
- 髙橋 総合外交政策局政策企画室長
- 貝原 総合外交政策局総務課主任外交政策調整官
- 原田 会計課総務室課長補佐
- ほか
4 議題
- (1)平成29年度外務省政策評価
- (2)行政事業レビュー
5 発言内容
(1)平成29年度外務省政策評価等について
【外務省】
本日は第27回アドバイザリー・グループ会合に出席いただき感謝申し上げる。
政策評価も15年目にあたり,外務省としてもしっかり取り組んでいかなければいけない。
特に今年は外交政策の舵取りが非常に難しくなる中長期的な変化が生じてきており,その中で国民に対する説明責任が益々求められていると思っており,政策評価の果たす役割は大きなものと考えている。
今回は特に当省の地域の外交を中心とする12の施策に対する評価についてご議論頂く。地域外交について客観的な目で評価していただくのはとても重要。
今回の評価書を作成するに当たり,これまでに先生方からご指摘をいただいた点を含め,改善した点等については,このあとにご説明をさせていただく。
評価書について,すでに貴重なご意見を頂戴している先生もおり,改めてお礼申し上げる。本日,さらに忌憚ないご意見を頂戴した上で,評価書をより質の高いものにしていくとともに,評価制度の改善についても考えていきたい。
【外務省】
改めて,本日はお忙しい中ご参集いただき感謝。
議論に入る前に,評価結果の概要,評価書の改善点,最近の動きについて簡単に説明する。
まず,評価結果の概要について,今回は地域外交を中心とする12の施策が評価の対象となっている。局・部単位の評価をした9施策のうち「施策I-6 アフリカ地域外交」と「施策V-1 外交実施体制の整備・強化に関する施策」の2施策で「目標達成」である。全体の12施策でみると,うち4施策で「目標達成」,8施策で「相当程度進展あり」となった。既にいただいたご意見及び本日いただくご意見については,可能な限り本日ご説明させていただいた上で,基本的には改めて省内で検討の上,回答させていただく。
次に,評価書の改善点については,過去の会合でも指摘をいただき,本年1月の会合でも申し上げたが,具体的には,「概要」の作成,各年度の達成状況の評定の公表,評定の表記のアルファベットへの変更,及びフォーマットの一部改善に取り組んだ。これらの改善点等についても,お気づきの点等があれば承りたい。
最後に,最近の動きとして,証拠に基づく政策立案(EBPM)がある。個別のエピソードではなくて,統計やデータといった客観的な証拠に基づいて政策を立案する,という考え方で,今年の6月に決定された骨太の方針においても,政府としてEBPMを推進するとされている。こうした状況も踏まえて,我々としても政策評価の中で可能な限りEBPMの考えを取り入れていきたいと考えている。
次に,先生方から事前にご提出いただいたご意見,またはお気づきの点について,順番に承りたい。
【有識者】
外交は専門外であるので,私のコメントはむしろ国民の目線ということでみていただければと思う。
「施策I-1 アジア大洋州地域外交」において複数の指標があるのは中国,韓国,モンゴルだけで,例えばインドネシアのみを対象とした指標は存在しない。指標の対象として設定されるということは,それなりの政策的重要度,優先度を表すものと解される。その辺りのインバランスが少し気になった。
「施策I-2 北米地域外交」では,オバマ大統領の広島訪問や安倍総理大臣のハワイ訪問が事例の一つとして他の事例と並列されているが,言うまでもなく歴史的な意義があり,これら自体を成果としてより積極的な評価を行っても良いのではないか。「日米・日加間の相互理解の進展」については,日米間に比べて日加間の進展はあまり明確でない。評価書を見る限り,相互理解の進展の取組は恒常的なものであり,より戦略的な推進策が必要ではないかと思われた。
「施策I-3 中南米地域外交」においては,我が国外交に占める位置付けや中南米地域外交の重要性がわかりにくい。他方,安倍総理大臣のキューバ訪問や岸田外相のキューバ訪問は特筆すべき成果として積極的に評価しても良いのではないか。
「施策I-4 欧州地域外交」については,測定指標の多くが政治分野に関するもので,経済分野に関するものはロシアに関するもの1つのみで,欧州地域外交における経済分野の位置づけが誤解される可能性もあると思われる。
「施策I-5 中東地域外交」は国民目線から見て施策の意図がよく書けている。
「施策I-6 アフリカ地域外交」において,TICADプロセスの我が国外交全体の中での位置づけや我が国の外交にとっての具体的貢献についての説明は十分ではない。国際社会の中でTICADプロセスがどのように評価されているのかについての記述も欲しい。
「施策IV-1 領事業務の充実」については,評価を踏まえた改善の意図が明確で,国民目線に立って丁寧に記述されている。邦人保護については,感染症対策についても民間の活用等のより積極的な協働体制の構築が必要だと思う。危機管理に関しては,取組は記載されているが,十分ということは無い中で,危機感が伝わってこない。
「施策V-1 外交実施体制の整備・強化」について,人員・機構のさらなる整備が進んでいることはわかったが,それによってもたらされた具体的成果の説明が欲しい。情報防護体制については,サイバーセキュリティの観点から危機感をもったより積極的な対応,改革があっても良いかと思う。地方連携の推進に関連して,「地方連携の推進」があるのであれば「民間連携の推進」があってもよいのではないのかと思う。また,体制整備よりも広報的なものが中心という印象がある。
「施策V-2 外交通信基盤の整備・拡充及びITを活用した業務改革」は,ハッキング等も言われているので危機感を持った対応をお願いしたい。
「施策VII-1 国際機関を通じた政務及び安全保障分野に係る国際貢献」については,我が国としてはアジア地域の国際刑事裁判所(ICC)加盟を促す取組も重要と思われるが,この点についての記述が行われていないのが気になる。イニシアティブを発揮するのが重要と思う。
「施策VII-2 国際機関を通じた経済及び社会分野に係る国際貢献」の世界貿易機関(WTO)による「開発途上国の能力向上」では,教育に係る測定で単年度の受講者数のみでは達成度がわかりにくい。過年度を含む累積の受講者数や受講者の割合,受講国数などを継続的にみることに意義がある。
「施策VII-3 国際機関を通じた地球規模の諸問題に係る国際貢献」に関連して,国際連合世界食糧計画(WFP)が熊本地震の際の救援活動で支援を行ったと仄聞した。先ほど話にあったEBPMにおいては,定性的なエビデンスのレベルは低いとされ,教育や医療の分野で行われているようなパネルスタディ等やRCT(ランダム化比較試験)のような実験計画法のモデルをシステマティックに行うことがエビデンスレベルが高いとされる。しかし,実際に社会をフィールドとする外交の分野ではそのようなことは難しいので,様々な定性的なエビデンスを組み合わせてデータのトライアンギュレーション(複眼的な分析)を行う必要がある。このWFPによる支援は一つの重要なエピソードかつエビデンスであり,WFPの活動の重要性の証左となる。
【外務省】
建設的なご意見に感謝。いただいたご意見については,担当部局に相談して,今回あるいは次回以降の評価書等に可能な限り反映していきたい。その上で,現時点で回答できることについて回答したい。
「施策I-1 アジア大洋州地域外交」において,測定指標のインバランスが気になるとのご指摘については,局・部単位で施策を設定し,評価をしているという事情があるが,対外的には指標としての取り上げ方が重要度とみなされることもあり得ると思うので,今後どういう工夫ができるか考えたい。
「施策I-2 北米地域外交」のうち,オバマ大統領の広島訪問や安倍総理大臣のハワイ訪問は,当省としても非常に高く評価していて,地域局の外交では珍しく,測定指標1-1「共通の諸課題における日米・日加両政府間の協力関係の進展」は2年間を通じて「S」評価と判定した。ご指摘の訪問自体をどう評価するかということについては検討させていただきたい。日加間と日米間で相互理解の進展の明確さが違うことについても検討させていただきたい。
「施策I-3 中南米地域外交」のうち安倍総理のキューバ訪問等が歴史的なものであることは認識している。この地域の他の国とのバランスも考えながらしかるべき評価を検討したい。中南米地域外交の位置づけ,重要性がわかりにくいというご指摘については,可能な限り評価書に書くようにしたい。一般論で言えば,日本にとっての中南米地域外交の重要性には,ブラジル,メキシコ等新興国の経済的重要性,エネルギー・資源・食料の供給地としての重要性,国際社会での発言力の高まり,日本と中南米の架け橋である日系人の存在等があると考えている。これらをもう少し政策評価書に反映できないか担当局とも相談したい。
「施策I-4 欧州地域外交」における経済分野に関する指標についてはわかりにくいと思われるが,指標の中で日EU・EPA,ヨーロッパ各国との間の社会保障協定や租税協定の締結に言及している。これらは経済分野における法的枠組みを通じて日本と欧州各国間の経済関係を強化していくという政策なので,内容的に含まれていると言えるかと思う。また,経済局において日EU・EPAに取り組んでおり,「施策II-2 国際経済に関する取組」においても記載している。
「施策I-6 アフリカ地域外交」については,今回はTICAD V会議のフォローアップとTICAD VIを初めてアフリカで開催したということを当省として高く評価しており,施策全体としても,地域担当部局としては唯一「目標達成」という評価になっている。国際社会における評価についても記述もあった方が良いとのご指摘については工夫ができないか考えたい。
その他の施策に関するご指摘は,それぞれ担当部局と相談させていただく。
最後に,EBPMに関するご指摘があった。一般的にはEBPMのエビデンスというのは統計やデータが想定されているが,外務省ではそうした統計やデータに基づいて外交政策を立案するのは必ずしも容易でない。そうした中で,先生からご指摘いただいたとおり,定性的なエビデンスをなるべくうまく使って何ができるかを検討していきたい。
【有識者】
外務省が持つ数量データの中に,社会経済学的,または人口統計学的なデータをもう少し取り入れるといいのではないかと思う。例えば,ある国との通商関係をもう少し増やしたいとき,通商額をどの程度にしたいのかというのが良い指標ではないかと考えている。
また,先ほど地方連携に関するご指摘があったが,地方と地方の関係を研究対象にしている者としては,地方との連携は益々重要になっていくと考えている。例えば,アメリカのパリ協定離脱については,アメリカの州や大都市が反対を表明し,地方レベルで施策を打つという動きも始まっている。アメリカ国内に連邦政府のみならず公的セクターのパートナーを持つということは非常に重要なことで,そういう視点を施策ベースで打ち出していくことも必要だと感じた。
その他いくつか気がついた点を申し上げる。
「施策I-2 北米地域外交」の参考指標「対日世論調査の結果」において,「一般の部」と「有識者の部」との記述があるが,両者の違いを示す注釈があると読みやすいと思う。また,どの組織にも独特の言葉遣いというのはあるが,政策評価書は対外発信の文書でもあり,役所的な硬い表現や逆に口語的すぎる表現は避け,分かりやすい言葉で記述する必要がある。
評価書においてなぜ記載されていないのか疑問に思われた点をいくつか申し上げる。
「施策I-1 アジア大洋州地域外交」において,ここ10~15年程の重要な変化として,いわゆる通貨スワップが進展しているが,言及が無かったと思う。財務省の取組だからかもしれず,また,外務省がどれほど関わったか詳細は知らないが,一つの成果として取り上げても良いと感じた。また,まもなく香港の中国返還20周年を迎えるが,香港問題についての言及が無い。中国の大きな施策の先行きをはかる上で重要な問題であり,香港問題について外務省がどういう取組をしてきたかということは盛り込んだ方がいいのではないかと感じた。
「北朝鮮の核・ミサイル問題解決に向けた進展」は,おそらく今,国民が最も重視しているものであり,防衛白書ではなくとも,国民としてはミサイルの発射回数くらい掲載しても良いかなと感じた。外交努力と直接つながらないところはあるが,3年後には目標ゼロというような姿勢があっても良いという感じがする。
最後に,これはコメントというより感想だが,国際情勢の変化の中で日本外交のプレゼンスが高まっており,外務省の施策がうまくいく時の上げ幅,失敗したときの下げ幅が大きくなってきているという印象を持った。そういう意味では政策評価の重要性も高まっており,より充実したものにしていくという姿勢を維持していただきたい。
【外務省】
貴重なご指摘を頂き,感謝。
まず,対日世論調査等の結果についてレファレンスがない点については記載につき検討したい。
言葉遣いについては,これまでもご指摘をいただいており,我々としてもできるだけ改善したつもりではあるが,引き続き課題とさせていただきたい。
アジア大洋州地域外交に関し,アジア各国との通貨スワップ協定はいわゆるチェンマイ・イニシアティブによって始まった取組だと思うが,基本的には財務省の取組なのでどこまで評価書に含められるか担当部局と相談したい。香港問題や北朝鮮については検討させていただきたい。
日本の外交のプレゼンスが高まっている中での政策評価の充実については,我々としても肝に銘じていきたい。
【有識者】
10年前と比べると,改めてここ数年の外交政策の戦略性の高まりが大変めざましいものだと感じている。10年前には局や課の縦割りでバラバラな政策が取られていて,日本には統合されたアジア政策があるのかと感じざるを得ないような状況があったが,この2年間の評価書を読むと,きわめてシームレスかつ統合的な政策が展開されていて,各部局が一貫した目標を持って外交を行っていると感じた。
アジア地域外交に関して言うと,日韓関係において,特に岸田大臣の訪韓と慰安婦合意という歴史的な合意を達成して,長年の懸案であった日韓秘密軍事情報保護協定が締結されたことは,今後の問題はあるものの,日韓の政治関係だけではなくて安全保障に関しても非常に大きな貢献をしたと考えている。
他方,掲げた目標につき,それを実現したか否かを評価するなかで,例えば,国連安保理入りや北朝鮮の拉致問題等のように毎年目標に掲げるものの進展が難しいものもあるが,目標として掲げていなくても,ミッシング・オポテュニティーが生じていたものがいくつかあったような気がする。例えば,中国のAIIBに関する日本の参加問題や,オーストラリアの潜水艦開発及びインドネシア高速鉄道についての分析が挙げられる。それらについて評価書の文脈で議論することが適当かどうかはわからないが,評価に値するような指標になり得るのだろうか。
次に北米地域外交だが,「S」評価に私も同意する。特にこの2年間は,安全保障では日米防衛協力のガイドライン,経済ではTPPの妥結を行い,信頼と和解という点では総理とオバマ大統領との相互訪問等,素晴らしい2年間だったと思う。しかもそれが,必ずしもアメリカ民主党オバマ政権に特化した日米関係の深化ではなく,広く,特に非常に特殊な環境と背景の中で生まれてきたトランプ政権にいち早く外務省や官邸がエンゲージをして首脳会談にこぎつけ,その後の同盟の基盤の確認に至ったということも含めて,大変粘り強くかつ迫力のある対米外交,日米関係の構築というものがこの2年間で展開されたのではないかと思っている。
欧州地域外交については,10年前と比較すると進展もあるが複雑な政治・安全保障環境となっている。欧州もアジアも内向きになっている中で日欧関係をどう立て直すかという大変難しい課題がこの2年間にあったと思うが,その中でもハイレベルの訪問,防衛装備品の共同開発等日欧関係の裾野を広げたことは大変重要な成果だった。他方,対ロシア外交に関し,日本がなぜロシアに接近をしているのかという戦略的な説明が必ずしも十分ではないのではないかという気がしている。外務省や国家安全保障局では,対ロシア外交についてはきわめて戦略的な議論がなされているが,十分に国民や多くの識者が共有するところまでに至っていない。よりしっかりとしたコミュニケーションや戦略性の確保が大変重要と感じている。
アフリカ地域外交について,20年を超えるTICADプロセスが日アフリカ外交の基盤として発展していることは日本外交の資産だと感じている。アフリカ地域外交では,当然ガバナンス支援や経済発展も重要だが,日本の平和構築や開発支援といった総合的な関与がどこまで効果を上げているのかが分かる指標があってもよいのではないか。国際平和協力室や国際協力局の施策とアフリカ地域外交が連動した評価の視点があると,より総合的,立体的な評価になるのではないかと考える。
最後に領事業務だが,「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」のような取組は国民の身近なところで安全情報に対する関心をもってもらうというすばらしい試みだと思う。次回以降の評価に関わってくるものと思うが,この2年間の「海外安全情報」の見やすさの改善,他機関と協力した情報のアウトリーチあるいは手元のデバイスとの連動という地道な努力を基に,身近なデバイス上のアプリによる安全情報の入手を可能にする等,さらに人々にとって身近なものにしていただくことが大事なのではないか。
【外務省】
示唆に富む意見をいただき感謝。いただいたコメントについては,担当部局に相談して検討したい。
「施策I-1 アジア大洋州地域外交」については,今回は日ASEAN関係,東アジア首脳会議(EAS)協力について進展があったということで高い評価になった。「施策I-2 北米地域外交」について,特に日米関係について「S」評価が妥当であるということで,これを踏まえて引き続き政策評価,政策立案にいかしていきたい。「施策I-4 欧州地域外交」のうちコメントをいただいたロシアについては,我々としても,ロシアを国際社会の中でどのように建設的に関与させていくかという点については,一部,例えば北朝鮮問題,イラン問題,シリア問題等グローバルな課題での協力や,日露外交・防衛当局間協議「2+2」で種々の課題につき意見交換をしている取組を評価書の中に書かせていただいている。今後きちんとフォローして充実させていきたい。最後に「施策I-6 アフリカ地域外交」は,TICADを中心とする開発,広報の話に焦点が当たっているという状況の中で,ご指摘いただいたように,総合外交政策局あるいは国際協力局との連動,平和構築と開発支援との連動といった視点を付け加えられないか検討させていただきたい。
【外務省】
先生方,ありがとうございました。
外交という特殊性の中で,具体的な数字や成果をどのように示していくかというのは常に難しい課題である。外交力の強化についても,強化の結果や効果について自信を持って説明できるところもあるし,なかなかうまく説明しにくいところもある。北朝鮮のミサイル発射回数,AIIBや豪州の潜水艦やインフラの話についても,どういう形でそれを外交の評価の中に入れていくのかはとても難しい課題だと思う。そういった点を含めて我々がやっている外交の取組と,それをどう具体的な成果,指標という形でご説明できるようにしていくかというのは,政策評価を超えて,大きな課題だと考えている。とても貴重なご意見を頂戴し,感謝。
(2)行政事業レビュー
【外務省】
行政事業レビューは,各施策の下にある個別の事業に着目し,「見える化」をする取組。各課による事業の自己点検に加え,年2回,春には外務省が主体となって行う公開プロセス,秋には内閣官房が主体となって行う「秋のレビュー」という外部有識者を交えた公開セッションを行う。
今回は,平成29年6月の行政事業レビューについてご説明したい。今回は,「ハーグ条約の実施」,「独立行政法人国際協力機構運営費交付金のボランティア事業」,「気候変動枠組条約の義務的拠出金」について公開プロセスを行った。
この3件の選定に関しては,まずは予算額が1億円以上であること,加えて,今年度の政策評価対象か否か,外務省予算における事業の位置づけ等,内閣官房から指定された基準に基づいて候補を選び,外部有識者の先生方と絞り込みを行い,最終的にこの3件になった。
公開プロセスの結果については,「ハーグ条約の実施」に関しては,国民の権利に直結するとても重要な事業であるので,広報についても改善すべきというコメントを頂戴した。「ボランティア事業」に関しては,少子化や国内経済の状況を受け,青年海外協力隊が減少を続けているという状況がある。これを受けて,広報や帰国後のキャリアパスについて一層の支援等をすべきとのコメントをいただいた。「気候変動枠組条約」は,当該国際機関に日本人職員が少なく,特に幹部職員がいないことが強く指摘され,日本人職員をより積極的に送り込めるようなやり方を工夫をした方が良い,というコメントをいただいた。
最後に, EBPMについては,行政事業レビューでも積極的に取り組むべき,ということで指摘をいただいている。成果指標について具体的なエビデンスを取り入れるということで,データを収集しているところである。経済分野,文化・芸術,対日理解の促進,更に政治分野のそれぞれについて,さきほどご指摘いただいたように,何が証拠としてあげられるのかについて行政事業レビューレベルでも取り組んでおり,今後より証拠に基づいた行政事業レビューを進めていきたい。
【外務省】
以上で会合を終了する。事前にいただいたコメント及び本日の議論,ご指摘を踏まえて,評価書にどのように反映できるか今後の対応については改めて相談させていただきたい。
本日はどうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。