政策評価
外務省政策評価アドバイザリー・グループ第35回会合議事録
1 日時
令和4年1月14日(金曜日) 14時35分~16時00分
2 場所
オンライン開催
3 出席者
- (有識者)(五十音順)
- 遠藤 乾 北海道大学公共政策大学院 教授
- 神保 謙 慶應義塾大学総合政策学部 教授
- 南島 和久 龍谷大学政策学部 教授
- 福田 耕治 早稲田大学政治経済学術院 教授
- 山田 治徳 早稲田大学政治経済学術院 教授
- (外務省)
- 三宅 大臣官房総務課長
- 川口 大臣官房考査・政策評価室長(司会)
- 西野 大臣官房ODA評価室長
- 室谷 大臣官房会計課首席事務官
- 中西 総合外交政策局総務課首席事務官
- 鴨川 総合外交政策局政策企画室首席事務官
- ほか
4 議題
- (1)令和4年度外務省政策評価実施計画案等
- (2)政策評価をめぐる最近の動き
- (3)行政事業レビュー
- (4)その他
5 発言内容
【外務省】
本日は第35回外務省政策評価アドバイザリー・グループ会合に御出席いただき、感謝申し上げる。今回は直前まで開催形式の判断に迷ったが、最終的にオンライン形式で開催させて頂くことになった。開会に先だって、この度、秋月京都大学法学研究科教授が、当省政策評価アドバイザリー・グループメンバーを辞任されたことを御報告する。
【外務省】
本日は第35回外務省政策評価アドバイザリー・グループ会合に御出席頂き感謝申し上げる。本来であれば対面で開催できれば良かったが、現下の状況を踏まえて、慎重には慎重を期しオンライン形式で開催させていただくことにした。
また、冒頭、報告があったように、秋月教授が辞任されることになった。秋月教授は、平成18年9月に御就任されて以来、長年にわたって、政策評価に多大な御貢献をいただいた。改めて深く感謝申し上げる。
当省としては、令和元年度から3年周期の評価サイクルを試験的に導入してきた。初年度の令和元年度は、全施策、モニタリングを実施し、令和2年度に地域局を中心に、令和3年度は機能局を中心に、それぞれ3年間の実績について評価を行った。本日の会合では、まず、令和3年度政策評価の結果の概要、それから、令和3年度までの試験的3年周期の実施の結果について、御報告させていただきたい。その上で、令和4年度の政策評価の実施計画及び実施要領を御説明させていただいた上で、先生方から御意見を賜りたい。
新型コロナ感染拡大から2年が経ち、その間、北朝鮮のミサイルもそうだが、我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増し、複雑になっている。林大臣は、昨年11月に御就任されて以来、昨年だけでも延べ41回、27か国・地域の外務大臣等と対面、電話、テレビで会談を行い、今年も既にブリンケン米国務長官と電話会談、「2+2」も実施している。新型コロナの情勢は、今なお余談を許さないが、外務省としてはやはり対面外交をなるべく復活させて各国との信頼関係を進めていきたい。こうした外交政策の推進を一層効果的、効率的にしていくという観点で、当省としても平成14年以降、政策評価を実施しており、より役に立つ政策評価にするため随時評価方法を見直し、試行錯誤している。昨年3月、政策評価審議会が提言を出したが、それを踏まえて、現在具体的改善策が審議会で議論されている。今後その動向も踏まえて、外務省としても、効果的な外交に資するよう、より効果的な評価というものを行っていきたい。本日、お時間を賜るが、先生方の忌憚のない御意見、御助言、御指導を頂きたい。
(1)令和4年度外務省政策評価実施計画案等
【外務省】
まず、令和3年度当省政策評価の報告をさせて頂く。令和3年度は、分野別外交の施策を中心に7施策の評価を実施した。全施策とも、府省共通5区分の「相当程度進展あり」という評価となっている。測定指標では、b評定が多い結果になっている。有識者の皆様には、書面及びAG会合でご所見を頂き、改めて感謝申し上げる。
続いて、試験的3年周期の実施結果報告をさせて頂く。AGの皆様とも相談しながら検討を進め、令和元年度から試験的な3年周期の評価サイクルを実施した。令和元年度においては全施策モニタリング、令和2年度は地域別外交、令和3年度は、分野別外交等の評価を実施した。その結果として、評価の向上、業務合理化の推進、評価書の分量の削減等、いずれの点においても一定の成果が確認できたと考えている。
今後の方向性について省内でも検討したところ、3年評価周期の試行結果に特段の問題はなく、従って継続が望まれると考えられる。ただし、これまでも先生方から御指摘をいただいた諸点、例えば3年周期になると至近の1年度の状況に評価が左右されがちになる、各年度の特色の埋没、評価ノウハウ継承にかかる問題がありうるという点には十分留意していく必要がある。これらについては、当室が中心となって、運用のなかで改善していきたい。
3年周期導入に当たっては、全施策を3グループに分け、毎年評価をする方が、作業、標準化の観点から適当。その際、同一の基本目標の下にある施策は同時期に行うべきと考えられるし、前回評価から3年後の評価実施となる施策ができるだけ多くなるように考慮し、当省16施策を地域別外交6施策、分野別外交を中心とした6施策、大臣官房・領事局の4施策の3つのグルーブに分け、3年に一度、過去3年分の評価をする方法で評価を行っていきたい。
以上を踏まえ、令和4年度政策評価の実施計画及び実施要領の説明に入らせていただく。令和4年度は、基本目標III(広報、文化交流及び報道対策)、IV(領事政策)、V(外交実施体制の設備・強化)について評価を行うということにしたい。他方、令和4年度から3年周期を導入していく過渡期として、基本目標III(広報、文化交流及び報道対策)は1年分、基本目標IV(領事政策)及び基本目標V(外交実施体制の整備・強化)は2年分の実績評価を行う。従って、評価期間が異なる部局があるので、フォーマット等を複数用意しているが、基本的な評価方法は変更なしで行いたいと考えており、昨年同様、評価期間を総合的に評価するということになる。
これまで、AG会合でも御指摘いただいた点であるが、3年周期導入に当たっては、特に中期目標の位置付けを重視していきたい。具体的には、3年周期の評価サイクル導入に伴い、特段の達成年度が無い場合、3年後を達成年度として、可能な限り具体的な目標を設定するよう、省内関係課室に働きかけて参る所存。
なお、議題IIでも取り上げるが、現在、政策評価審議会の提言に基づく議論が行われているところ、次年度は、このような状況を踏まえ、3年周期・3グループ化とする以外は、基本的な形は変えず、できるだけ手戻りが無い形で評価を実施していきたい。以上、令和4年度外務省政策評価の実施計画等について御説明申し上げた。先生方から御意見、御助言等を賜りたい。
【有識者】
現在の外務省政策評価基本計画は、令和4年までとなっているが、3年周期評価のサイクル、基本計画期間との関係はどのように整理されているのか。
【外務省】
御指摘のとおり、基本計画の期間とのずれというのは当然出てくるので、そこは、次の基本計画に食い込む部分もあるが、それはそれとして、3年の周期を続けていくということになろうかと思う。
【有識者】
基本計画だが、政策評価法に基づけば、3年から5年の間で設定するとされているので、どこかで調整を入れた方が良いということを申し上げておきたい。外務省の3年周期評価でも基本計画で変更しなければならない部分は適切に御対応いただければということでコメント申し上げたい。
【外務省】
基本計画との整合性・調整はしっかり見ていきたい。重要なご指摘に感謝申し上げる。では、お示しした令和4年度当省政策評価実施計画案等に従い、来年度の評価を進めさせて頂きたい。例年どおり6月頃に皆様方に所見をお願いすることになるが、その際はよろしくお願い申し上げる。
(2)政策評価をめぐる最近の動き
【外務省】
現在、政策評価審議会において議論が行われている評価制度の見直しに関し、説明させて頂く。昨年3月、政策評価制度が導入されて20周年を捉えての節目に、政策評価審議会から提言が出ている。ポストコロナの新時代の『行政の評価』に転換し、政府の政策改善機能の強化を目指す、「行政の評価」のあるべき姿として「役に立つ・しなやかな・納得できる評価」が掲げられ、具体的改善のアイデアを提示することが提言されている。背景にあるのは、社会経済の変化とか新型コロナの拡大があり、従来の社会環境を前提とする仕組みから、仕組みそのものの改善が喫緊の課題であり、ポストコロナ新時代の「行政の評価」へ転換する必要があるという考え方に基づいている。
「役に立つ」「しなやかな」「納得できる」評価に関し、「役に立つ」評価とは各府省における政策過程の実態を踏まえ、作業の重複を排しつつ、政策改善等に役立つ評価プロセスを実現する、「しなやかな」評価とは、政策の特性や改善の目的等に応じて、前例にとらわれず、最適な評価方法を柔軟に選択できるようにする、「納得できる」評価は、EBPMの更なる推進、データの重視、研究者等との連携を進め、評価の質を向上させる、このような考え方に基づいたものとなっている。これを更に、総務省が中心になってワーキンググループを作り、「政策の特性等に応じた多様な評価方法のベストミックスの実現」、「政策の改善等への活用を重視した政策評価の作業プロセスの見直し」、「政策評価の重点化(作業の合理化)」、「国民、ユーザーからみて使いやすい評価の枠組みによる評価の促進」、「EBPMの更なる推進(政策評価の質の向上)」というこの5つの項目について具体化に向け検討が行われている。この見直しのスケジュール感だが、今まさに議論を進めていて、できるものは順次進めていき、令和4年末までに基本方針等を改正し、令和5年度から本格実施となっている。
先ほど申し上げた5つの項目について、最近では、12月2日にワーキンググループの議論があり、1つ目の「多様な評価方法のベストミックスの実現」という点では、多様な評価手法を施策の特性や改善の目的等に応じて最適に組み合わせる「考え方」を整理し提示する、最適な評価方法について、類型毎に選択肢を提示する、「総合評価」の活用方法を提示する等の議論がなされている。2つ目の「政策評価の作業プロセスの見直し」に関しては、例えば、行政事業レビューと政策評価の作業を一体的に実施できるようにする、大綱の評価等をいわゆる政策評価と類似の活動としてみなすといった議論が行われている。3つ目の「政策評価の重点化(作業の合理化)」に関しても議論されているし、4つ目の「国民、ユーザーから見て使いやすい評価の枠組みによる評価の促進」という点に関しては、各府省のホームページや政策評価ポータルでの情報提供の方法を改善する方法等の議論が行われている。さらに、5つ目の「EBPMの更なる推進」という点では、ロジックモデルを使った政策評価の質の向上について議論されている。
こうした議論が、現在、続いており、追って、総務省ないしワーキンググループの方から、各府省の実態や考え方についてヒアリングがなされると承知しているところ、それに対し当省としてもしっかりと対応しつつ、今後出されるであろう具体的な指針を踏まえ、当省としての今後の政策評価の在り方を検討していきたい。以上、今行われている議論について御説明した。
【有識者】
総務省の方では、EBPMに関する共同的実証研究が進められているが、主として統計的な分析をもう少し進めることができないのかという観点から、政策評価のEBPMの観点からの活用ということで議論が進んでいる。今ほど御説明いただいた5つの議論が進んでいるが、1つ目のベストミックスについては、総合評価方式をどう活用できるのかということが課題となる。外務省では、現在、目標管理型評価方式が取られているので、総合評価方式として議論ができるものはそれほど多くはない。3番目の項目に掲げられていた「重点化」との観点で言うと、総合外交政策局との調整が必要かもしれないが、深掘りをして議論をすることも可能になってくると思われる。JICAとの関係で言えば、JICAはプログラム評価をかなりのエネルギーを割いて実施している、また、ODAの方では第三者評価もされているということでこれらが政策評価の枠に入ってくるということも考えられる。それから、行政事業レビューと政策評価の連携に関して、総務省の枠組みの引き方の問題で行革本部と総務省との間でどれくらい話が付くのかということと関連するが、それらが統合されて政策評価の中で議論するということになると一層の連携が必要ということになるかもしれない。
「しなやかな評価」という点に関しては、もう少し議論の余地がある。例えば、昨年の評価書を拝見していても、コロナの影響で、現場ではオンラインで出前講義を行ったり、オンラインで会議に参加されたり、色々と柔軟に対応されている。このような柔軟に対応された点については、ポジティブに評価をしていくという観点も必要である。もちろんできなかったこともあると思うが、できたことも色々あると思うので、そういうところも拾えるようになると良い。具体的にどのようにやっていったらいいのかというところはアイデアがあるわけではないのだが、「しなやかに」というところを拾って、外交を取り巻く環境が大きくコロナで変わってきている状況下、どうしてもネガティブな評価に傾きがちなので、ポジティブな方も拾えたら良いと考える。
【外務省】
ご意見に感謝申し上げる。EBPMについては、当省でもそうだが、政府全体として大事な取組として進めている。「重点化」に関しては、ご指摘頂いたとおり、現在、総務省で政策評価の形をどうすべきかという大きな議論が行われているので、その結果を踏まえ、外務省の政策評価をどのようにしていくのかということを考えていく必要がある。ODA評価との関係、行政事業レビューとの関係も非常に重要な論点で、これも今進められている議論をしっかりフォローしていく必要がある。ご指摘頂いたように、「しなやかな評価」は、非常に重要で、コロナということもあるが、他にもいろいろな要素から、いわゆる総合評価になるようなテーマを決めた評価というものも今後検討されていくことになると思われ、この点もしっかりとフォローしていきたい。
(3)行政事業レビュー
【外務省】
行政改革推進本部事務局が主催する「秋のレビュー」では、外務省の案件は取り上げられなかったが、行政事業レビューシートを通じた自己点検及び外部有識者の書面での点検は、例年どおり実施した。外務省のレビュー対象となる事業約400のうち、例年、約80の事業を外部有識者に点検いただいているが、本年度についても、一般経費については総合外交政策局、外務報道官・広報文化組織などを中心に40件、分担金・拠出金について40件点検いただき、主に成果目標や評価指標の是正などについてご指摘をいただいた。
さらに行政事業レビューの春の公開プロセスで対象となった3案件((1)グラスルーツからの日米経済関係強化プロジェクト、(2)一般文化無償資金協力、(3)国際熱帯木材機関(ITTO)分担金及び拠出金)に関しても、事業内容の一部改善との指摘を受け、令和4年度予算概算要求又は執行において、指摘事項を反映した。具体的には、(1)グラスルーツからの日米経済関係強化プロジェクトについては、成果目標の明確化に向けた取組の強化や事業の優先順位の見直しなどを実施した。(2)一般文化無償資金協力については、PDCAサイクルの強化などを実施したほか、(3)ITTO分担金及び拠出金については、拠出先の国際機関のガバナンスチェック体制の強化などを実施するなどしている。
今後とも必要な事業を効率的に実施し、また、国民への説明責任が十分果たせるよう、頂いた指摘を踏まえて来年度の執行内容及び評価方法について不断の見直しをしていきたい。
(4)その他
【有識者】
EUでは近年、政策評価の際に様々な分野でジェンダーの視点を重視するようになってきている。例えば国際公務員あるいはEU欧州官僚の人事ではこれまでマルチナショナルスタッフィングという多国籍人事の原則のみだったところを、近年ではジェンダーという視点を取り入れ評価をしている。また政策評価においても、例えば科学技術イノベーション政策「ホライズン・ヨーロッパ」の評価でジェンダーの視点を取り入れている。国際的なトレンドとして国際機関におけるジェンダーの視点が強まっている。外務省全体として、ジェンダーの視点を取り入れていく必要性につき、これまでも留意されているかもしれないが考えを伺いたい。
【外務省】
ODA評価に関しては、以前よりジェンダーの視点が積極的に取り入れられている。特に事業を実施しているJICAでは専門部署もあり、横断的に各事業でジェンダーの視点が入っているのを確認している。ジェンダーの取組の数値目標も設定している。引き続き力を入れて取り組んでいく分野と考える。
【有識者】
EUの政策評価につき、日本と同じ年に開始し今年で20年目くらいになるが、最近、外交安全保障の観点から戦略的自立性を高めるために地政学的視点を評価の中に取り入れることを様々な文書で指摘している。「自由で開かれたインド太平洋」の議論とも絡んでくると思うが、米中対立を背景にヨーロッパや日本の立場の位置づけを考え評価する際に地政学的視点を取り入れていくべき時期にきている。日本とEUは同じような難しい立ち位置にあるが、ヨーロッパと日本が結束して行動し外交上の協力を通じて打開できる側面があると感じる。外務省としても地政学的視点や戦略的自立性等を踏まえ経済安全保障や自律的外交を目指しているか方針等も含め伺いたい。
【外務省】
ジェンダーや地政学的視点はいずれも大切な視点。政策形成に際してもジェンダーの視点や地政学的視点も積極的に取り入れている。米中対立の中での日本の舵取りについてはよく議論されているが、日本がより主体的に主導し他国を牽引するくらいのメンタリティで外交政策を組んでいくべきとの視点もある。FOIPは日本が提唱し定着していっているが、総合外交政策局を中心に上記の問題意識を持ち政策形成している。評価の観点でどう取り組むべきか、今後御知見を伺いながら引き続き検討したい。
【外務省】
正に今、総務省において政策評価制度自体の見直しを検討している。今後、評価の仕組みが変わっていく可能性があり、時代の要請に応じた評価を考えていく中で、地政学的観点も考えていきたい。
【外務省】
ODA評価では、過去には開発の視点のみで評価を行っていたが、数年前から外交の視点も取り入れている。その中には地政学的な面、例えばFOIPとの関係でODAがどのように影響しているかと等の観点も含まれている。
【有識者】
外務省としては開発及び外交の両面からのODA評価をしっかりやっていくということだと思うが、OECDのDACの評価との関係ではSDGs等の視点で、正に総務省の提言を先取りするようなことを随分と蓄積していると考える。ODA評価においては、EBPMの潮流が強くなっている昨今の状況をどのように見ているか。ODA評価においてPRできる取組があれば併せて伺いたい。
【外務省】
国際場裡ではODA評価は長い歴史があり、EBPMとは少し違うかもしれないが少なくともロジックを組み、定量指標に限らないが指標を設定した評価が実施されている。ODAの個別事業については国際的なODA評価のスタンダードに沿った評価が進められている。これまで実施しているODA評価を政策評価法に基づく評価とどう連動させ、政策評価の枠に入れ得るかについては有識者の先生方からのご助言を頂きたい。ただ、現状のODA評価を政策評価法に基づく行政評価に組み込むのは容易ではないという印象を持っている。
【有識者】
総務庁時代になるが、政策評価の制度を確定していく段階で政策評価の手法等を検討する研究会があり、ここでガイドラインを作成していた。そこで外務省はODA評価について総務庁に説明していたが、どうしても政策評価法のフレームワークと合わず、特に行政改革の文脈と整合性をもてなかったのが過去20年間の経緯だったと思う。だが、ここにきて総務省が方針転換したことでかつて手法等研究会で外務省が示した方針に政策評価法が近づいてきたという印象を持っている。さらに数年前にDACの5原則の定義が変更され有効性に関する定義ではエビデンスの潮流を踏まえた変更がなされており、因果関係をきちんとおさえるべきことが強調されるようになった。これは正に現在日本が政府をあげてEBPMを推進していこうという動きに関係している。今までは総務省の枠組みとの整合性を取ることが困難であったかもしれないが、これからは整理ができる可能性がある。少なくともその兆しが見えるところにきた。ただしどうなるかは流動的である。
【有識者】
ODA評価については、これまでの自分自身の経験から細かくて別物とのイメージを持っている。個別の開発に資するかどうか、無駄がないかとの観点からODA特有の厳密な評価が行われている。他方、そのODAが外交及び政治上の大目標のための手段としてどういう機能を果たしているかの二段階評価は可能。安倍政権以降のODAについては政治化した印象もある。いまいちどODA評価を政策評価全体の中に組み込みなおす余地はある。
また、ジェンダーの問題につき、外務省政策評価アドバイザリー・グループのメンバー選定もジェンダーバランスを踏まえて検討頂くことも一案。
【外務省】
1点目のご指摘に関し、検討中の政策評価制度の見直しの中でも考えることができると思う。ODA評価室ともよく相談・連携していきたい。2点目のご指摘につき、我々も同様の問題意識を持っており、可能な限りジェンダーバランスも念頭に人選を行いたい。
【外務省】
本日はお忙しい中会合に御出席いただき、忌憚のない御意見やコメントをいただき、感謝申し上げる。頂いた御指摘をしっかり受け止めたい。提言にあるとおり「役に立つ評価」、また、「しなやかな評価」を行うことが重要と考える。引き続き御指導頂きながらより良い評価について検討したい。本日はオンライン会合となったが、状況が許せば次回は対面で実施させて頂きたい。引き続きよろしくお願い申し上げる。