グローカル外交ネット
外務省での勤務を通じて
外交実務研修員 矢萩 圭人
(北海道から派遣)
1 はじめに
私は、2024年4月より北海道から外務省に派遣され、1年10か月間、国際協力局地球規模課題総括課で勤務した後、2026年2月から3月の2か月間は、大臣官房地方連携推進室で勤務しました。今回、2年間の経験を伝える機会をいただきましたので、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
2 地球規模課題総括課の業務について
(1)地球規模課題総括課の業務の概要
グローバル化が進む中で、世界の国々の相互影響と依存の度合は、急速に高まっており、一国のみの問題ではなく国際社会全体に関わるものとして協力して取り組むべき脅威・課題も少なくありません。地球規模課題総括課は、このような「地球規模課題」に対する総合的な外交政策を所管しています。この中で、私は、主に持続可能な開発目標(SDGs)の推進に関する業務を担当していました。
(2)自発的国家レビュー(VNR)
任期中、私が最も深く関与した業務は、SDGsの進捗に関する報告、自発的国家レビュー(VNR:Voluntary National Review)の実施でした。SDGsの枠組みにおいては、国連加盟国は国連に対して自国のSDGs達成状況を定期的に報告しており、日本は、2025年に4年ぶり3回目のVNRを実施しました。ここでは、VNR実施の一連のプロセスの中で、特に印象深かったことを二つご紹介しようと思います。
一つ目は、VNR報告書作成のプロセスです。日本は、2016年に内閣総理大臣を本部長、全閣僚を構成員とするSDGs推進本部を設置するとともに、NGO、NPO、有識者、民間セクターなど広範な参加者からなるSDGs推進円卓会議を設置し、官民挙げてその推進に取り組んでおり、今回のVNR実施過程でも、SDGs推進円卓会議に加え、多様なステークホルダーとの意見交換やパブリックコメントを実施したほか、ステークホルダー自身による評価と取組を本報告書に記載するなど、日本の取組の包括的なレビューを行いました。地球規模課題総括課はSDGs推進本部の事務局を担っており、その一員として、政府内外の多くの関係者と共に報告書を作り上げるプロセスに関われたことは、私にとって大きな学びになりました。
二つ目は、2025年7月に国連本部(米国・ニューヨーク)で開催された、持続可能な開発のためのハイレベルフォーラム(HLPF)におけるVNR発表です。日本政府は、宮路副大臣(当時)を筆頭とする政府代表団で臨み、私も末席ながらこの代表団の一員として同行する機会をいただきました。発表の中で、日本は、ぶれることなくSDGs達成に向けた取組を進める旨を発信しました。深刻化する地球規模課題や厳しい国際情勢に直面する中で、日本としての決意を示す発信の場に携われたことは、地方自治体のキャリアのみでは経験できない貴重なものでした。そして何より、日本のVNRが成功裏に終わり、前述の実施プロセスの一つ一つが報われたことは、大変感慨深かったです。
HLPF閣僚会合におけるVNR発表
3 地方連携推進室での勤務について
大臣官房地方連携推進室では、令和7年度の「地方連携フォーラム」、令和8年度の「駐日外交団による地方視察ツアー」事前準備に携わる機会をいただきました。このうち、「地方連携フォーラム」では、経済安全保障、ハラル・ビジネスというテーマに関し、講師による講演やパネルディスカッションが行われ、多くの地方自治体が高い関心を持ち、積極的に学んでいることが印象的でした。また、地方視察ツアーの事前準備では、実際にツアーの予定地を巡り、地域の文化や歴史を踏まえた魅力的なツアー作りに関わることができました。このツアーに関しては、駐日外交団を含む海外の方々に対して効果的に地域の魅力をPRする方法を、外務省が地方自治体と共に作り上げていく姿勢が強く印象に残っています。
令和7年度地方連携フォーラム
4 最後に
本省での2年間の勤務を終え、振り返れば、外務省や関係省庁の皆様に助けられてばかりだったと実感しています。ご指導いただいた地球規模課題総括課を始めとした多くの省員、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。また、この場を借りて、このような貴重な機会を与え、支えてくださった北海道の皆様にも感謝申し上げます。来年度からは在外公館での勤務となりますが、本省勤務で培った経験を少しでも活かして勤務できればと思っています。

