グローカル外交ネット
外務省での勤務を通じて
外交実務研修員 林 哲平
(鹿児島県から派遣)
1 はじめに
私は、鹿児島県から外務省に派遣され、2024年4月~2026年1月は中国・モンゴル第二課、2026年2月~3月は地方連携推進室で勤務しました。本稿では、私が担当した業務やそこから得た経験・学びを紹介します。今後、外務省で勤務される外交実務研修員や地方自治体の皆さまの参考になれば幸いです。
2 中国・モンゴル第二課での勤務(2024年4月~2026年1月)
外務省には二国・地域間関係を所掌する「地域課」が多くあり、中国やモンゴルを所掌する部署は、中国・モンゴル第一課と中国・モンゴル第二課に分かれています。私が所属する中国・モンゴル第二課は、中国及びモンゴルの経済分野に関する外交政策を所掌しています。経済分野とひとくくりにいっても、貿易、金融といったことから、観光や自治体間の交流といったことまで多岐にわたります。その中で今回は、私が担当した地方連携と漁業の業務について紹介します。
(1)地方連携
地方連携の業務では、日本の地域の魅力の海外発信を支援する取組「地域の魅力海外発信支援事業」に携わりました。本事業は、東日本大震災後の国際的風評被害対策として開始し、食品等の輸入規制の撤廃・緩和へとつなげることも念頭に、地方創生の一環として地方の魅力発信、各地産品の輸出促進、観光促進等を支援する事業です。私が担当した令和6・7年度には、在中国日本国大使館での大型レセプションや香港でのBtoCイベントに合わせたPR、日本の地方自治体のコンテンツを活用した中国のSNSを通じた情報発信などを行い、中国にいながら日本の地域の魅力を一層体感いただけるよう工夫しました。
令和6年度事業福島県喜多方市の動画配信の様子
(2)日中・日台漁業
漁業は経済活動であるため、日中・日台漁業は中国・モンゴル第二課が所掌しています。我が国は中国との間で、日中双方の排他的経済水域(EEZ)において、海洋生物資源を保存し、操業の秩序を維持することを目的とした「日中漁業協定」を締結しております。また、台湾との間では、公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との間で「日台民間漁業取決め」という民間の取決めが交わされています。
日本近海では、日々さまざまな漁業分野における事案が発生しており、私は主に日中・日台間の問題への対応を担当しました。漁業関係の業務は、日本の漁業者の利害に直結するため、対応を誤れば国民の利益を損ないかねない非常に重要な業務です。国民の関心も高く、常に緊張感を持って対応することが求められる業務は、地方自治体では経験できないものであり、外務省勤務の中でも、とりわけ印象深い業務の一つでした。
3 地方連携推進室での勤務(2026年2月~3月)
外務省に来る前は、外務省は各国・地域や国際機関を相手に交渉することが主業務だと考えていましたが、例えば先に述べた漁業の業務では、日本の漁業者の方々など国内の関係者と接する機会も多いと感じました。
地方連携推進室は、地方自治体の国際的活動への協力や支援を行っており、自治体の方々と関わる機会が多くあります。私は墨田区での駐日外交団による視察ツアーに携わる機会をいただきました。視察ツアーは、地方自治体が駐日外交団に対し、自治体が持つ豊かな観光資源や産業技術をアピールし、自治体に対する理解を深めてもらう事業です。
ツアー中、単に自治体側が一方的に説明するのではなく、駐日外交団の方々が興味深く話を聞き、質問し、交流の場が多く生まれていたことがとても印象的でした。また、どのような説明やアピールをすれば、駐日外交団に関心を持っていただけるかなど、自治体職員として学ぶことが多く、とても良い経験となりました。
墨田区ツアーの様子
4 おわりに
着任した当初は、扱う案件の難易度や国の業務という責任の重さ、意思決定のスピードに圧倒されましたが、外務省の皆様ほか関係者の方々のご指導のもと、2年間の任期を全うすることができました。お世話になったすべての方々に心より感謝申し上げます。

