グローカル外交ネット
外務省でのアフリカ外交実務の経験
外交実務研修員 森田 千陽
(岐阜県から派遣)
1 はじめに
私は2024年4月に岐阜県から外務省へ派遣され、アフリカ部アフリカ第二課で勤務しています。岐阜県庁では、最初の配属先で県税の滞納整理業務を、次の配属先では岐阜県産品の魅力を海外に発信する業務を担当しました。後者の部署では、在外公館で行われる天皇誕生日祝賀レセプションでの岐阜県産品PRの業務に携わり、外務省を少しだけ身近な存在として感じるようになった折に、縁あって外交実務研修員として勤務する機会をいただきました。新たな経験の連続で学びの多い日々を過ごす中で、この度本寄稿の機会をいただきましたので、これまで携わった業務とその経験を通して感じたことを紹介いたします。今後外務省で勤務される外交実務研修員をはじめとした地方自治体の皆様にとって、この体験記が少しでも参考になれば幸いです。
2 アフリカ第二課での業務
私が所属するアフリカ第二課は、本省の中で「地域課」と呼ばれる日本と各国の二国間関係を担う課で、東部及び南部アフリカ25か国を所管しており、その中で私はナミビア共和国、レソト王国、エスワティニ王国を担当しております。現地日本国大使館や駐日大使館等と連携して日々政治・経済情勢の情報収集を行いながら、要人往来や突発事案、各種照会への回答等、二国間関係の深化に向け多岐にわたる業務に対応しています。ここでは、これまで携わった多様な業務の中から、特に印象深い経験を紹介いたします。
(1)要人往来
私がアフリカ第二課で勤務する中で、2025年3月のナミビアへの特派大使派遣(大統領就任式)、2025年6月のエスワティニ首相訪日(大阪・関西万博ナショナルデー)、2025年7月のレソト国王訪日(大阪・関西万博ナショナルデー)、2026年1月のナミビア国際関係・貿易大臣訪日(外務省賓客)等、担当国を含む数多くの要人往来に携わる機会をいただきました。
特に、2025年6月にエスワティニ首相が訪日した際は、日・エスワティニ首脳会談が実施され、私は石破総理(当時)の発言内容の作成に従事しました。エスワティニとの二国間関係発展に向け、エスワティニの情勢や外交方針、国際場裡における立ち位置を踏まえ、限られた時間の中でどのような内容について話し合うのが良いか、省内で議論を重ねました。会談当日は首相官邸にも足を運び、会場のセッティングを行うとともに、実際の会談の様子も垣間見ることができました。作成した発言内容を総理が用い、両国の首脳が議論を交わしている現場を目にし、大変感慨深く感じました。
また、2026年1月のナミビア国際関係・貿易大臣訪日時は、外相会談およびワーキングランチにおける茂木大臣の発言内容を作成しました。首脳会談と比べて時間をかけた議論ができることから、ナミビアへのアプローチ内容を多岐にわたる分野で検討しました。同大臣の訪日を通じて、ナミビアとの外交を今後どのように進めていくか、改めて考えることができました。
日・エスワティニ首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
日・ナミビア外相会談
(2)アフリカ開発会議(TICAD)
TICADは、1993年に日本が立ち上げたアフリカ開発に関する首脳級の国際会議(Tokyo International Conference on African Development:TICAD)で、30年を超える歴史を有しています。私の在任中には、2024年8月にTICAD閣僚会合が東京で、2025年8月にはTICAD 9が横浜で開催されました。特にTICAD 9では、明治記念館で開催された第5回野口英世アフリカ賞授賞式の広報を担当し、事後概要の外務省ホームページ掲載や、授賞式当日の外国プレス誘導等に従事しました。
本授賞式は、天皇皇后両陛下御臨席の下、総理大臣主催により開催され、TICAD 9に出席したアフリカ各国首脳、TICAD共催者、保健医療関係機関の長等、約140名が参加しました。内閣府やTICADプレス班と調整を重ね、多くの要人が参加する緊張感あふれる式典運営に携われたことは、大変貴重な経験となりました。
第5回野口英世アフリカ賞授賞式
3 地方連携推進室での業務
本省での勤務中、短期間ではありますが、地方連携推進室でも勤務しました。同室での勤務中、「地域の魅力発信セミナー」に携わる機会をいただきました。同セミナーでは、外務省と複数の地方自治体等との共催により、駐日外交団等に対して各地方自治体の魅力を発信しています。当日は、参加自治体の方々が駐日外交団に対して、各地域の伝統芸能や伝統工芸品、観光地等の魅力を熱心に説明する姿が印象的でした。岐阜県からの派遣者として、他自治体の工夫を凝らしたPRの様子を拝見できたことは、とても刺激的でした。
派遣元に戻った際には、地方連携推進室での経験を活かして、岐阜県の豊富な観光資源や県産品等の魅力発信、国際交流に貢献していきたいと考えます。
4 おわりに
外務省特有の用語や様々な言語が飛び交う中、膨大な業務や突発事案に対して迅速かつ的確にこなしていく職員の皆様の姿に、県組織での勤務とのギャップを感じ、着任当初は2年間の職務を全うできるだろうかと不安を抱えました。しかし、アフリカ第二課の皆様は、多忙な状況でも親身に相談に乗ってくださり、時には私が対応に悩んでいることに気付いて率先して声をかけてくださったことで、いつしか不安も消え、業務を続けることができました。アフリカ第二課の皆様を始め、いつも温かくご指導くださった外務省関係者の皆様、貴重な学びの機会を与えてくださった岐阜県に、この場を借りて心から感謝申し上げます。
来年度からは在外公館での勤務となりますが、本省勤務で得た経験やご縁を活かしてさらに成長できるよう、日々精進いたします。

