グローカル外交ネット

令和8年2月16日

外交実務研修員 大嶋 理佳世
(奈良市から派遣)

1 はじめに

 令和5年度に奈良市から外務省地方連携推進室へ出向し、令和8年3月をもって2年間の出向期間を終えようとしています。外務省への派遣が決まった際には、新たな挑戦の機会をいただけたことを大変嬉しく思うと同時に、出向期間中は外務省の一員として貢献するとともに、帰任後には外務省で得た経験を活かして、奈良市にも貢献できるよう、一日一日を大切に業務に取り組もうと考えておりました。この2年間、本当に多くの貴重な経験を積む機会に恵まれました。本稿ではその一部をご紹介させていただきたいと思います。

2 地方連携推進室で携わった業務について

 私が配属された地方連携推進室について、「外務省が地方と連携する」とは具体的にどのような取組なのか、イメージしにくい方もいらっしゃるかもしれません。地方自治体は姉妹都市交流をはじめ、インバウンド誘致や地方産品の輸出振興、国際協力など、様々な形で国際的な取組を行っており、これらは各国・地域と我が国との連携強化に大きく寄与しています。外務省では、地方自治体を「外交推進の重要なパートナー」と位置付け、地方との連携を通じて、オールジャパンでの外交力強化を目指しています。地方連携推進室では、「地方の魅力を世界に発信する場の提供」、「地方の国際的取組の支援」、「地方の国際交流に関する情報交換の場の提供」という3つの柱のもと、多様な事業を展開するとともに、在外公館を含む外務省関係課室との窓口として、地方の国際的取組を支援しています。

(1)駐日外交団による地方視察ツアー

 本ツアーは、地方自治体等との共催により、文化・産業施設や観光地の視察、自治体首長との意見交換などを通じて、地方の多様な魅力を直接体験してもらい、対外発信につなげることを目的とした事業です。
 自治体の方々とともに、どのような点が魅力として伝わるのか、どのような工夫をすれば理解が深まるのか、さらには事後の交流へと発展させるための方策などを検討し、準備を進めました。こうした過程を通じて、各自治体の多様な取組を学ぶことができ、自治体職員である私自身にとっても大変勉強になりました。
 ツアー中、外交団の方々が積極的に質問をされたり、地域の方々と熱心に交流されたりする姿がとても印象的でした。「自分の目で実際に見て体験ができ、とても貴重な機会だった」「この地域への訪問を同僚に勧めたい」「もう一度訪れたい」といった感想や、「この取組を自国でも取り入れてみたい」との声をいただき、大きなやりがいを感じました。また、まだ十分に知られていない地方の魅力がたくさんあるということ、そして地方と海外の方々が直接交流できる場の重要性を改めて実感しました。

佐野市視察ツアーにて

(2)外務大臣及び地方自治体知事共催レセプション

 本レセプションは、外務大臣と地方自治体知事との共催で、駐日外交官等を飯倉公館に招いて、地方の多様な魅力を内外に発信する事業です。
 大臣と首長の共催という性質上、多くの調整や準備が必要となる中、外務省での業務経験が浅い自分に何ができるのかを考え、これまでの奈良市での経験を活かしながら、レセプション受付の合理化など、業務改善を意識して取り組みました。
 刻々と変化する状況に的確に対応される省員の方々の姿や、レセプションに向けて尽力される自治体の方々の姿は非常に印象的で、大きな刺激を受けました。当日は、参加者が真剣なまなざしで自治体の取組を視察し、名産品を味わいながら交流を深める様子が見られました。本レセプションをきっかけに、共催自治体への関心が高まり、その魅力が世界へと広がっていくことを願っています。

3 地方連携推進室以外で携わった業務について

 地方連携推進室の業務に加え、令和7年8月に横浜で開催されたアフリカ開発をテーマとする国際会議(TICAD 9)の応援業務や、省員向けの外務省グッズの企画・販売にも携わる機会を得ました。
 特にTICAD 9では、携わった業務はごく一部ではありましたが、省員の方々が一丸となって業務に奔走し、限られた時間の中でそれぞれが主体性を持って行動される中、物事が着実かつ迅速に進められていく様子を間近で見ることができました。3日間という短い勤務ではありましたが、大規模な国際会議を支えるために求められる判断力や調整力を肌で感じることができ、強く印象に残っています。
 外務省グッズの有志職員プロジェクト・チーム(PT)では、課室を超えて省員の方とつながることができました。また、自身が考案したグッズが実際に使用されている場面を目にし、出向者でありながらこのような取組に携わることができたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。結果として、同プロジェクトは、「第三回みんなで選ぶ!業務合理化・DX・働き方改革等アワード」においても最優秀賞を受賞するに至りました。このような有志の方々による前向きな取組が続いていることに、改めて外務省の組織としての力強さと魅力を感じております。

TICAD 9 議員・要人班の省員の方々と
第三回「みんなで選ぶ!業務合理化・DX・働き方改革等アワード」における表彰の様子

4 おわりに

 今後も地方と海外との交流はますます活発化し、国際交流施策の多様化が求められる中、地方自治体には国際的な感覚と視野を持つ職員が一層求められております。外務省での2年間の勤務は、そのような感覚と視野を養ううえで、非常に貴重な機会となりました。
 また、外務省で出会った省員の方々は、外交を支えるプロフェッショナルとして強い信念を持ち業務に取り組んでおられ、そのような方々とともに仕事をし、交流できたことは、自治体勤務では得がたい大きな刺激であり、かけがえのない経験であったと感じています。
 さらに、この出向期間を振り返ると、「外から見た奈良」について考える時間も多かったように思います。奈良を離れたからこそ気付くことのできた奈良の魅力や新たな発見もあり、これらも含めて、外務省への出向は非常に意義深い経験でした。
 最後に、地方連携推進室をはじめとする外務省の皆様、出向の機会をいただき、出向中も温かくご支援くださった奈良市役所の皆様、多くの場面で助けてくださった他自治体からの出向者の皆様、お世話になったすべての方々に心より感謝申し上げます。
 今後も、世界中の方々に日本の地方の魅力を知っていただけるよう、引き続き努めてまいりたいと思います。

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