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2025に行くべき52か所に選ばれた富山市へのインタビュー
2025年1月、アメリカのニューヨーク・タイムズ「The New York Times」が発表した「2025に行くべき52か所」(52 Places to Go in 2025)に選ばれた富山市へ、選ばれたことについての影響や富山市での取組、地方創生に向けた今後の展望等について、書面にてインタビューを実施いたしました。回答は富山市商工労働部観光政策課よりいただきました。
1 富山市は、「2025に行くべき52か所」に選ばれましたが、どのような影響がありましたか。
今回の選定は、戦災による焦土からの復興など、先人のたゆまぬ努力により、本市の食や文化、自然、伝統芸能が、戦火を超えて脈々と受け継がれてきたことに加え、本市が全国に先駆けて取り組んできた、コンパクトシティ政策の成果として、産業やまちづくり、公共交通が総合的に評価されたものと考えておりますので、これまで郷土の発展にご尽力された先人の皆様に心から感謝するとともに、市民の皆様と喜びを分かち合いたいと思っております。
本市への影響としましては、観光庁が公表しております「宿泊旅行統計調査」によりますと、市内の宿泊施設における外国人延べ宿泊者数が、本年1月から3月の期間で前年比約2倍に増えており、本市を訪れる外国人観光客が確実に増加しているものと捉えております。
このことからも、本市を訪れる外国人観光客の利便性を向上し、安心・快適に過ごしていただくことで、滞在時間の増加や、また訪れたいと思っていただけるような受入環境の整備が重要であると考えております。
そこで本市では、今後ますます外国人観光客が増加すると予想されますことから、市観光協会ホームページのリニューアルや外国人観光客向けの特設サイトの設置といった情報発信の強化や、紙面に掲載され外国人観光客の増加が予想される施設の多言語化対応などに加え、市内の飲食店や交通事業者に向けた、インバウンド対応セミナーや相談会の開催など、受入環境を充実させる事業に順次取り組むこととしており、本市を訪れた外国人観光客が、安心かつ快適にゆったりとした時間を過ごしていただくとともに、市内事業者の皆様にも安心感を持って迎えていただけるよう、市全体として、観光客のおもてなしに努めてまいりたいと考えております。
2 富山市は、5月に開催された、ニューヨークにおける「ジャパンパレード&ストリートフェア」に参加されましたが、その取組について教えてください。


今回のパレード参加の経緯としましては、本年1月にニューヨーク・タイムズ紙に掲載された本市の記事をご覧になられた、在ニューヨーク日本国総領事館から、ニューヨーク市での日本関連最大級のイベントである「ジャパンパレード&ストリートフェア」への参加の依頼があったものです。
そこで本市では、この絶好の機会を生かし、ニューヨーク市民の皆様に日本の魅力を伝え、富山市への観光客誘致につなげるため、ジャパンパレードへの参加とPRブースの出展を行いました。
パレードでは、ニューヨーク及びワシントン富山県人会の皆様にもご参加いただき、藤井市長が富山城の城主であった「佐々成政」の甲冑を模した衣装を纏い、越中八尾おわら保存会の皆様による「越中おわら」の披露にあわせて、セントラルパーク西側大通りを行進しました。
また、パレードに合わせて同時開催された「ストリートフェア」では、カプセルトイを活用した「おわらのうちわ」などのノベルティグッズの提供に加え、満開の桜で彩られた富山城のタペストリーを背景に、兜と陣羽織を着用して写真撮影ができる体験ブースを設置したところ、長蛇の列ができるほど盛況でした。

来場された方からは、「ニューヨーク・タイムズの記事を読んで、富山市に興味を持ったから見に来た」「富山市に行ってみたい」といったお言葉をかけていただくなど、本市に対しての興味や関心を直接聞くことができました。
コロナ禍を経て、あらゆる情報発信の主流が、SNS等を主軸とした間接的なものとなってきておりますが、今回の訪米により、現地における直接的なプロモーションの重要性についても改めて認識したところです。
3 富山市が進めている「シティプロモーション推進指針」について、地方創生の観点からどのような意義があるかお聞かせください。これらの取組を地方創生につなげるうえでの課題はありますか。
本市は、富山市が市内外の多くの方々から「訪れたいまち」、「住み続けたいまち」、「帰ってきたいまち」として選ばれることを目指し、令和5年度に「シティプロモーション推進指針」を策定しました。この推進指針では、単に市の認知度向上を目指すのではなく、市内外の多くの方々に様々な形で本市に関わっていただくことにより、関係人口の拡大や将来的な定住人口の拡大を目指すことに意義があると考えております。
現在、推進指針を踏まえて各種の取組を実施しておりますが、いかにして「若い世代」に本市の魅力や住みやすさを伝え、実感してもらうかという点が課題であると考えており、ターゲットに応じた情報発信に努めるなど、様々な工夫を凝らして取り組んでまいりたいと考えております。
4 最後に、地方創生に向けた富山市の展望・意気込みをお聞かせください。
この度の、ニューヨーク・タイムズ紙での紹介や、「ジャパンパレード&ストリートフェア」への参加は、国内のみならず、多くの現地メディアにも取り上げられたことから、富山市の魅力を世界に向けて発信する大きな契機になるとともに、本市に対する関心が一層高まったものと考えております。
今後は、外国人観光客に向けた情報発信や受入環境の整備といった取組に加えて、国際的なイベント等への参加や、他の自治体等とも連携した海外へのプロモーションなど、新たなアプローチによる観光客誘致も検討していきたいと考えております。
また、国内に向けても、これまで同様のシティプロモーションのみならず、本市の魅力をより効果的にPRできるような方策を検討するとともに、地域内外の多様な主体とも連携しながら、本市への誘客のみならず、関係人口の増加や将来的な定住人口の拡大につなげていけるよう、全市一丸となって取り組んでまいります。