世界の医療事情

ルワンダ

平成30年6月4日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ルワンダ共和国(キガリ)(国際電話国番号 +250)

2 公館の住所・電話番号

在ルワンダ日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan in Rwanda, Plot No 1236, Kacyiru, South Gasabo, Kigali, Rwanda, P.O. Box 3072
電話:+250-(0)-25-250-0884
ホームページ:http://www.rw.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

気候・地誌など

 東アフリカ内陸部に位置するルワンダには約26,000平方キロメートル(四国の約1.5倍)の国土に1,178万人(2013年現在)が住んでいます。首都キガリは南緯2°線が通過し『熱帯』気候に分類されますが,1,500メートルを越す標高のため日中こそ気温が30℃を超えて上昇するものの,雨期の朝晩などは肌寒く感じられます。ルワンダの地形をして「千の丘の国」と称されますが,周辺国と違い,平地は少なく険しい傾斜地が当地の特徴とも言えます。それら多くの傾斜地に地滑りの危険が高いとする分析もあります。北西部には標高4,000メートルを越える火山帯から湖周辺の低地まで,国土はまさしく起伏に富みます。

食品衛生・水質など

 首都の一部を除き,上水道は整備されておらず,生活用水・飲料水の確保が現地人にとって生活の一部であることがわかります。上水道が整備されたエリアで蛇口をひねって出る水道水にも(当館で実施した細菌学的検査によれば)大腸菌が検出されますので水道水でも飲用には適しません。ミネラルウォーターか,浄水器や簡易濾過器を用いる等,安全な飲料水を確保することをお勧めします。

 近年,新規外食産業の参入で,外食の選択肢も増えつつありますが,食中毒のエピソードは珍しくなく,衛生意識の高い店を見極める必要があります。生鮮食料品(特に購入する野菜類)の取り扱いでは入念な洗浄・加熱処理を要します。

医療水準・医療制度など

 医療水準の低さはルワンダが抱える最も深刻な課題と言えます。主たる原因は圧倒的な専門医不足にあります。1994年の大量虐殺事件(ジェノサイド)で医師が国外へ逃れた影響が,現在も当国の中堅医師層の空洞化として残り,専門医の高齢化と卒後間もない若手医師の育成環境に深刻な壁となって立ちはだかっています。後述する当国一の医療機関(国立キングファイサル病院)の経営を2016年,外国の民間会社に委譲したことも,一刻も早く当国の医療水準を引き上げたい政府の決断と見ることが出来ます。

 ただ現時点では,当国で中等症以上の病気や外傷を負った際, 国内では対応できない可能性がきわめて高く,医療先進国への緊急搬送を常に考慮する必要があります。当国に赴任(滞在)するにあたっては,緊急搬送もカバーする保険に加入する備えが必要と言えます。

 国内にある病院の大半は公立(国立)病院で,一部私立クリニックもありますが,専門医を抱え医療をリードするのは当国の場合,公立病院です。外国資本の大規模私立クリニックは当国にはありません。当国民は国民皆保険(Mutuelle de Sante)に加入し,所得に応じ民間保険に追加加入することが推奨されています。

 現地での医療は住民100~200人あたり数人の医療民生員がおり,次にナース主体の医療施設としてのHealth Post(村)→Health Center(地域)で手当の必要な住民が対処され,より高い医療が必要と判断された際,はじめて医師のいるDistrict Hospital(郡)→教育病院(大学病院・軍病院・キングファイサル病院)の順に紹介される仕組みがあります。中等症以上の病気や外傷を扱えるのは教育病院に限定されます。

臨床検査

 先進国で行っている各種臨床検査の多くが当国の医療機関では受けることができませんが,2015年12月に参入した南ア資本の臨床検査会社:LANCET(後述8)は今後この現状を少し好転させる可能性があります。

医療機関内での言葉の問題

 当国の公用語政策が2008年,フランス語から英語に変わった影響は医療機関でも実感することが出来ます。年長医療従事者や地方病院では未だにフランス語の方が通じやすいようです。首都の病院でも英語では意思疎通が難しい場合が多々あります。むろん,日本語が通じる医療機関はありません。

国内で調達可能な医薬品・薬局

 国内に薬局は多数ありますが,夜間営業を行う薬局はみかけません。薬局による医薬品管理は保健省の監督下にあり,ニセ薬の氾濫や薬不足が大問題になる事は少ないものの「薬剤師の知識不足」や「期限切れ医薬品」の問題は紙面でも時折散見されます。医薬品の多くはインド,中東,東アフリカ製で,日本製の医薬品は原則手に入りません。抗マラリア薬や抗生物質は,処方箋なしでどの薬局でも購入できます。

5 かかり易い病気・怪我

(ア)マラリア

 2016年3月,増え続けるマラリアに対し,当国保健省は『非常事態宣言』を発しました。マラリア発生は国内全域で見られ,首都キガリも例外ではありません。2015~16年には首都在住の日本人も多数マラリアに罹患しています。政府は,国策として蚊帳の無料配布,マラリア多発地域への家屋内薬剤散布,(外国で成果を挙げた)駆除対策の試験的導入など,積極的に取り組んでいるようですが,2016年10月現在も患者数は増加の一途を辿っています。

 防蚊対策として,住宅周囲の溜水を排除し,夜間の肌露出を避け,蚊よけスプレーや就寝時の蚊帳励行など基本を徹底することを強く推奨します。また現状を鑑みれば,流行地域に於いては,マラリア予防薬内服も十分検討されるべき時期と考えます。

 高熱,激しい頭痛や倦怠感などマラリアを疑う症状を自覚した際は,速やかに医療機関を受診し医師の診察とともにマラリア検査(血液検査)を受けてください。マラリアの場合,診断までの時間が遅くなればなるほど重症化する可能性も高くなり,治療も難渋します。

 ルワンダにおけるマラリア患者の98%以上が重症化しやすい熱帯熱マラリアが原因と言われています。アフリカにおけるマラリアの薬剤耐性率は明らかでありませんが,一般に抗マラリア治療薬『コアルテム』の内服が有効です。

(イ)交通事故

 舗装道路の整備は決して悪くない反面,運転技術の未熟な自動車運転手が多く,道幅が狭い路上でのバイクと乗用車・ミニバスの接触事故,バスやトラックの横転が頻繁に見られ,さらに整備不良車輛への巻き込まれは日常茶飯事と言えます。特にバイクタクシー(MOTO)関連の外傷は多く,常に病院の救急外来を埋めています。MOTOの利用は便利ですが危険を伴います。交通外傷は当国で想定される最も身近に潜む危険とも言えます。骨折ですらも国内で対応できない可能性がある事を認識していただく必要があります。

(ウ)消化管感染症

 コレラ・赤痢など下痢(出血性・非出血性含む)症状を有する疾患,腸チフス,A型肝炎など,水や食べ物を介する感染症は国内で珍しくありません。先に述べたとおり,安全な飲料水の確保と野菜や果物の取り扱いに留意し,加熱調理を旨とします。

(エ)呼吸器感染症(結核を含め)

 現地の方の死因を検討した資料によると,肺炎で命を落とすケースが多いことに気づきます。結核の罹患率も日本に比べるとまだまだ高く身近な致死性疾患に挙げられます。

(オ)狂犬病

 現地感染症レポートによると,Dog bite(犬咬傷)の件数は多く,さらに時折子供が狂犬病を発症し死亡している報告をみかけます。飼い犬への狂犬病予防接種は飼い主に義務づけられていますが,必ずしも遵守されているとは限りません。犬,猫やその他の動物に不用意に近づかないようにしましょう。

(カ)異文化不適応症

 異文化の中で生活をしていると誰しも一定のストレスを受けます。往々にして自分でも無意識のうちに体調を崩したり,考えがまとまらなくなったりすることがあります。そのような時は,家族や友人に相談しましょう。定期的に運動をしたり,休暇を取るなど,日頃からストレスを発散させ溜めすぎないように自己管理する事も重要です。

6 健康上心がける事

(1)入国当初は,日本との時差(7時間)をはじめ,高地への適応に1週間ほど要する場合もあります。その後は,当地の気候・自然・人的環境への順応など生活の立ち上げに数ヶ月を要するものと考えましょう。過剰に適応しようとせず,マイペースを保って少しずつ当地の生活情報を蓄積し,人的ネットワークを拡げることをお勧めします。時には心許せる面々で気兼ねなく日本語で話すことも大事です。

(2)当地では新鮮で,かつ安全な食材(特に野菜・魚など)を手軽に入手することは困難です。市内の特定のスーパーまで買い出しに行く必要があり,また魚介類は冷凍物で生鮮食品はありません。健康管理の第一歩として,日々の食生活をバランス良く保つようにしてください。

(3)日本での生活に比べ歩く機会と時間が減りますので,積極的に,運動する機会を設けるようにしましょう。体を動かすことは健康維持への一歩となりますし,心の平穏にも繋がります。首都のホテル等にはジムやスポーツクラブがあります。またラジオ体操程度の運動でも身体機能の維持に十分効果があります。

(4)体調不良時は自己診断せず速やかに病院を受診しましょう。また事故の際には,あわてず身近な救援者に助けを求め,病院を受診してください。特に,けがや病気の程度が軽くないときは,早めに首都に戻り,首都にある信頼の置ける病院を受診してください。信頼できる医療機関の電話番号を電話に登録しておくことも緊急時の一助となるでしょう。

 ルワンダにはSAMUという救急車制度がありますが,日本のような運用ではありません。当地での救急車の役割は病院間の患者搬送が主であるため,緊急時はタクシーや自家用車などを手配して病院の救急外来を受診した方が早いかもしれません。また,入院が予想されるような重症の場合は,国内では対処できず,高度医療を有する近隣国(例:ケニア, 南アフリカなど)へ緊急移送となることもあります。緊急移送サービスを含む海外旅行傷害(赴任者)保険への加入はやはり必須といえるでしょう。

(5)当国での輸血制度は, 国内での献血に加え,一部国外から追加確保して運用されています。首都にある血液銀行が中心となり,拠点病院には小規模ながら血液センターがあります。肝炎ウイルスやHIVなどに汚染された血液は排除される仕組みが導入されていますが,管理エラーなどが多く,輸血に伴う様々な危険は高いと見積もられます。輸血を受けるような事態に陥らないよう心がけることが最も重要です。

(6)国内外の湖周辺には娯楽施設もありますが,湖水中には「住血吸虫」などの寄生虫が生息しており,湖水浴で住血吸虫に感染する恐れがありますので,湖での水遊びは避けてください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

(ア)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 2016年3月からしばらくの間,原則全ての入国者に対し「黄熱ワクチン接種証明書(イエローカード)」の提示が求められておりましたが,2018年5月現在,この措置は終了しております。
 2018年5月現在の情報は以下のとおりです。

  • 黄熱に感染する危険のある国から来る,1歳以上の渡航者は黄熱予防接種証明書が要求されています(黄熱に感染する危険のある国の空港を経由する渡航の場合,その国に入国しなければ不要)。
  • 黄熱に感染する危険のある国ではないので,黄熱の予防接種は推奨されていません。

 上記の対応は,周辺国の感染状況により,随時変更の可能性がありますので,ルワンダ大使館や,下記,厚生労働省検疫所(FORTH)の情報も参照の上,最新情報をご確認下さい。

推奨される予防接種

(1)大人

 A型肝炎,B型肝炎,(生活環境次第では,腸チフスおよび狂犬病)

(2)小児

 DPT (ジフテリア/百日咳/破傷風の3種混合),MMR(麻疹=はしか/流行性耳下腺炎=おたふく風邪/風疹),ポリオ,BCG,A型肝炎,B型肝炎,Hib(インフルエンザ菌b型),水痘など,日本で接種できるワクチンはできるだけ接種をすませておくべきでしょう。

(イ)現地の小児定期予防接種一覧

 ルワンダでは以下のワクチンが義務化されています。

現地の小児定期予防接種一覧
ワクチン 合計接種回数 年齢および間隔
BCG 1 出生時
OPV(経口ポリオ) 4 出生時, 6, 10, 14週後
DTP(3種混合)+B型肝炎+Hib 3 生後6, 10, 14週後
肺炎球菌(PCV13) 3 生後6, 10, 14週後
ロタウイルス(Rota Teq) 3 生後6, 10, 14週後
麻疹-風疹(MR) 2 生後9ヶ月と15ヶ月
ヒトパピローマウイルス(HPV) 2 12才女児
破傷風トキソイド(妊婦) 2 妊娠期間中

(ウ)小児が現地校に入学する際に必要な予防接種・接種証明

 当地のインターナショナルスクールやベルギー学校では,就学前に予防接種証明書の提示を求められます。事前に各学校に確認されることをお勧めします。

8 病気になった場合(医療機関等)

キガリ

(1)KING FAISAL HOSPITAL, KIGALI(国立総合病院)
所在地:日本大使館から車で5分の場所にある
電話:252 582 888(代表),0788 890 395(担当:Ms. Barbara)
概要:当国一の専門医と先進医療を提供する国立病院。世界水準の病院に生まれ変わるため2016年に欧州のコンサル会社に病院経営を委譲し,引き替えに長期巨額の資本を受けた。
(2)PLATEAU POLYCLINIC(私立クリニック)
所在地:タウン地区中心エリアにある。 Boulevard de la Revolution
電話:250-578767
概要:診療科は内科ほか。
(3)ベルギークリニック(私立クリニック)
所在地:ベルギー大使館内 Rue de Nyarugenge
電話:0788 300 353
概要:診療科は内科,小児科。
(4)BAHO INTERNATIONAL HOSPITAL(私立クリニック)
所在地:ニャルタラマ地区
電話:0788 312 276(担当:Ms. Liliane
概要:ルワンダ人院長の他,キューバ人医師により構成される。2015年オープン。内科,小児科,産婦人科などを中心に診療を行っている。
(5)HOPITAL LA CROIX DU SUD(私立総合病院)
所在地:レメラ地区にある。
電話:0785 246 882
概要:産婦人科医の院長が一代で築いた,当地では最も歴史ある私立病院。小児科・産婦人科を中心に診療を行っている。一般外科医も常勤する。
(6)Dr. Agarwal's Eye Hospital(私立クリニック)
所在地:レメラ地区にある。
電話:0788 386 377(担当:Mr. Rao
概要:眼科クリニック。インド系医療機関でアフリカ大陸に広く展開する。
(7)KIGALI ADVENTIST DENTAL CLINIC
所在地:大使館近くのカチル地区にある。
電話:0788 777 720,0787 836 983
概要:歯科医院。清潔で先進的な機器を導入している。患者の希望をくみ取り対処しており,また説明も問題ない。
(8)LANCET Laboratories Rwanda
所在地:レメラ地区にある。
電話:252582901,0788 731 585(担当:Mr. Protais
概要:臨床検査機関。各種疾患の原因精査や経過観察のための臨床検査を提供する。当施設では,当地にある他の病院では実施できない検査項目も幅広く行うことができる。

ブタレ

(1)Center Hospital University of Butare (CHUB)(国立総合病院)
所在地:ルワンダの旧首都ブタレにある。
電話:0788 634 644
概要:ルワンダ大学医学部の大学病院。地域によってはキガリではなく,こちらへ搬送されることもある。

9 その他の詳細情報入手先

(1)Rwanda Biomedical Center (RBC) ホームページ:http://www.rbc.gov.rw/別ウィンドウで開く
ルワンダ保健省傘下の公的機関で,ルワンダでの医療情報を収集・分析・発信しており,マラリアや流行性疾患などの感染症情報は有用であろうと思われます。

10 現地語・一口メモ

 当地の病院内では原則的にルワンダ語とフランス語(>英語)でやりとりされます。ただし,若い医療従事者とは英語でも対話が可能であることもあります。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語・フランス語)を参照願います。


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