安倍総理大臣
安倍総理のメキシコ訪問 概要と評価
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安倍内閣総理大臣はメキシコを訪問し,7月25日~27日にかけてメキシコ・シティにおける行事に参加したところ,結果概要以下の通りです(日本の総理がメキシコを訪問したのは,二国間の文脈では2004年の小泉総理以来10年ぶり)。
I 概要
1 主要日程
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7月25日(金曜日)
祖国への祭壇(英雄少年の碑)献花式
歓迎式典
日・墨首脳会談(少人数会合、拡大会合)
同行企業関係者の大統領表敬
覚書等文書発表式・共同記者発表
ペニャ・ニエト大統領主催午餐会
日墨経済協議会
7月26日(土曜日)
国立人類学博物館視察
テオティワカン遺跡視察
日系人幹部(日墨協会関係者)との懇談
安倍総理訪墨記念レセプション
2 祖国への祭壇(英雄少年の碑)献花式
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7月25日(金曜日),午前11時08分から(現地時間。日本時間26日午前1時08分)から約12分間,安倍総理大臣夫妻は,メキシコ市内のチャプルテペック公園内にある祖国への祭壇(英雄少年の碑)への献花を行いました。
3 日・墨首脳会談(少人数会合,拡大会合)
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7月25日(金曜日),午前11時55分から13時(日本時間。26日午前1時55分から3時)まで,安倍総理大臣は,エンリケ・ペニャ・ニエト・メキシコ合衆国大統領(H.E. Mr. Enrique Peña Nieto, President of the United Mexican States)と日メキシコ首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
なお,共同記者発表において,共同プレスリリース(全文(日本語)(PDF)/全文(英語)(PDF)
/概要(PDF)
)が公表されました。
(1)少人数会合
ア 冒頭,ペニャ・ニエト大統領から,安倍総理のメキシコ訪問を歓迎するとともに,同行する多くの日本経済界のリーダーの方々も歓迎したい旨述べました。また,同大統領から,これまでの2回の会談で要請したメキシコ訪問を実現していただいたことを高く評価したい旨,また,今回の会談で両国関係を更なる高いレベルに上げたい旨述べました。また,同大統領は,メキシコは日本の友人であり,メキシコが逆境の時でも常に支援してくれたことを忘れない旨,また,サッカー日本代表監督にアギーレ氏が就任したことにより,よい成績が収められることを期待している旨述べました。
イ 安倍総理から,ペニャ・ニエト大統領とは,昨年4月同大統領の訪日以来,3度目の会談であり,両国関係は順調に発展してきており喜ばしい,出発前日にアギーレ氏がサッカー日本代表新監督に就任したが,同監督の指導で日本代表が大いなる結果を出すことを期待する旨述べました。また,支倉使節団から400周年となる日メキシコ交流年の年に,大統領との約束通り訪問することができ,嬉しい旨述べました。更に,安倍総理にとって,今回のメキシコ訪問は,1985年のメキシコ大地震の直後,当時外務大臣であった父・安倍晋太郎大臣に同行しての訪問以来となる旨も述べました。
ウ 引き続き,ペニャ・ニエト大統領は,メキシコ人の監督の下,サッカー日本代表チームが良い成績を収めれば,スポーツ全般に亘り交流関係が進展することとなる旨述べるとともに本日署名・調印された文書を歓迎したい,今回の訪問が実りある生産的なものとしたいとの期待を表明しました。
(2)拡大会合
ア 冒頭
ペニャ・ニエト大統領は改めて歓迎の意を表明するとともに,日本との友好国としての絆を忘れない旨,また,安倍総理は3代に亘りメキシコを訪問している旨,さらに両国EPAはすばらしい実績を出してきているが,今回の訪問を節目として,見直す機会でもある旨述べました。また,両国は諸改革に邁進しているといった共通点がある旨,また,日本企業のメキシコへの投資は信頼できるパートナーであることの証であり,今後はメキシコから日本への投資拡大に取り組んで行きたい旨述べました。
安倍総理からは,400年を超える関係は常に進展しており,両政権発足後,首脳・外相,議連会長も相互訪問が実現していると述べました。また,秋には秋篠宮同妃両殿下の御訪問が検討されており,セルバンティーノ国際芸術祭の開会式への出席も検討されている旨を述べました。さらに,日墨EPA署名から10年であり,メキシコの主要市場とのFTA網拡大もあり,貿易投資は飛躍的に拡大している,今回多くの経済界のリーダーが同行しているが,ビジネス環境整備の対話や大統領の改革推進による一層の進展を期待している旨述べました。また,両国の幅広い関心分野を議論するため,政策対話の場を拡充していきたい旨述べました。
引き続き,安倍総理は,両政権は果敢に諸改革を推進している共通点があると共に,両国は自由や民主主義といった価値を共有し,国際場裡で責任を果たす同志国であり,今回の訪問を通じて,協力関係をさらに発展させていきたい旨述べました。
イ 二国間経済関係
(ア)安倍総理より,概要以下述べました。
両政権は発足以来,積極的に構造改革に取り組んできており,その成果として,一層の経済関係強化のためのフロンティアが拡大している。
また,メキシコの石油の増産やシェールガスの開発は世界のエネルギー市場の安定にとっても重要である。日本の技術と資金が今後有効に活用されることを期待している。日本企業の石油・ガス上流開発への参画や,メキシコからのLNG供給の可能性もあり,協力していく。メキシコ石油公社と日本の官民の連携進展を歓迎する。
メキシコの原発計画に関心を有しており,福島原発事故を踏まえた安全性を高めた原子力技術を提供可能である。原子力協定交渉について,交渉を推し進めていきたい。 メキシコの一層のインフラ整備に向けた協力の覚書が署名されたことを歓迎すると共に,中小企業・裾野産業支援を進めたい。
TPPについて,早期妥結に向け協力していきたい。両国EPAの再協議については,TPP交渉の進捗状況などを勘案しつつ,進めていきたい。
本年10月の第2回日メキシコ学長会議の開催,東京大学とメキシコ国家科学技術審議会(CONACYT)との留学生交流に関する合意を歓迎し,一層の交流の促進に向けた期待を表明。
これまでの成功実績を踏まえ,中南米地域の成長と発展に貢献すべく,引き続き連携して三角協力を実施したい。
その他,宇宙分野での両国の対話の枠組みの立ち上げ,農業および保健分野の協力の進展について言及。
(イ)これに対し,ペニャ・ニエト大統領より,言及のあった各協力については同感であり,本日の様々な協定等の署名を歓迎し,構造改革を成長に活かすことの重要性,また,両国EPAの再検討の重要性について,安倍総理と同じ立場である等述べました。
また,日本企業のメキシコ進出については,メキシコの投資先としての信頼の証左であり非常に嬉しい旨,また,今般メキシコによるサムライ債発行もメキシコへの信頼の現れである旨述べました。
ウ 国際情勢
(ア)日本の対中南米政策
安倍総理から,日本と中南米は,歴史的な友好・協力関係に基づく独自の絆を有する,世界の安定と繁栄に大きく貢献する意志を有する中南米と連携を強化したい,共に発展し,共に国際社会に貢献し,共に啓発し合う交流を促進したい旨述べました。
(イ)太平洋同盟
太平洋同盟については,安倍総理から,インフラ整備や中小企業,防災など具体的協力をすでに提案しているが,メキシコが議長国の間に高級事務レベル協議を実施したい旨述べたところ,ペニャ・ニエト大統領は,オブザーバー国としての日本のこれまでの取り組みを評価する,太平洋同盟は中南米とアジア太平洋の関係を強化するためのプラットフォームとして日本から多くの貢献をしてもらえると期待している旨述べました。
(ウ)積極的平和主義
安倍総理から,積極的平和主義に関し日本の取り組みを説明するとともに,PKOや集団的自衛権等に関する閣議決定を行ったこと,メキシコとアジア太平洋諸国との連携を強化し,国際社会の平和と安定及び繁栄に一層貢献していく考えであることを述べました。ペニャ・ニエト大統領は,国際法を遵守して国際社会の平和と安定に貢献していくという日本の努力を評価している旨述べました。
(エ)その他
アジア情勢について意見交換を行うと共に,環境・気候変動,国連改革,軍縮・不拡散,防災など国際場裡における協力も幅広く議論しました。
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4 日墨経済協議会
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7月25日(金曜日),午後7時(現地時間。日本時間26日午前9時)から約30分間,安倍総理大臣は,メキシコ市内のホテルJWマリオットで行われた第31回日墨経済協議会に出席しました。
同協議会は,経団連及び墨国際企業連盟の共催で,同日午後5時から7時30分まで開催されました。日本側から,安倍総理の他,世耕官房副長官,西村内閣府副大臣,榊原経団連会長,志賀経団連日本メキシコ経済委員長等,メキシコ側からは,ペニャ・ニエト大統領の他,グアハルド経済大臣,ルイスエパルサ通信運輸大臣,ディエス墨国際企業連盟会長,サンブラノ墨国際企業連盟日本メキシコ経済委員長等多数の両国関係者が出席しました。
ペニャ・ニエト大統領は,両国の貿易投資が顕著に増えていることを踏まえ,何よりも信頼と連帯が促進されていることを歓迎し,教育水準を高め,若い人口を有するメキシコとの一層の協力を呼びかけました。
安倍総理は,日本企業が単に生産するのみでなく,人材育成等を通じて互恵的関係を築き,日本としても技術協力をしてきたことを言及,また,メキシコ企業としても日本の魅力を認識してほしいと呼びかけ,両国関係の更なる協力や連携を深めていくとの挨拶を行いました。
5 国立人類学博物館視察
7月26日(土曜日),午前9時50分から(現地時間。日本時間27日午後11時50分)から約25分間,安倍総理大臣夫妻は,メキシコ市内の国立人類学博物館を訪問しました。
フランコ国立人類学歴史学研究所所長,サボリット館長,シンデン副館長の出迎えを受け,サボリット館長の案内で博物館内を視察しました。
「パカル王のひすいの面」や「太陽の石(アステカ・カレンダー)」などを視察しました。
6 テオティワカン遺跡視察
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![[IT広報室_4]外務省[日]コンテンツ編集-20140728085558-画像7-2](/mofaj/files/100068928.jpg)
7月26日(土曜日),午前11時30分(現地時間。日本時間27日午前1時30分)から約1時間半,安倍総理大臣夫妻は,ペニャ・ニエト大統領夫妻と共に,メキシコ市郊外にあるメキシコを代表する古代遺跡の一つであるテオティワカン遺跡を訪問しました。
到着時には,アビラ・メキシコ州知事,トバル文化庁長官,フランコ歴史人類学庁総裁などの出迎えを受けました。また,視察中,長年テオティワカン遺跡の発掘調査に携わってきた杉山三郎愛知県立大学特任教授等から説明を受けました。
視察では,安倍総理大臣夫妻は,月の広場から太陽のピラミッドまでの死者の道を約600メートル歩いた後,太陽のピラミッドにペニャ・ニエト大統領と共に登りました。
頂上に到着すると,ペニャ・ニエト大統領から安倍総理夫妻に対し,「願い事が叶うので,願い事をしましょう」と呼びかけました。また,太陽のピラミッドから見える四方八方の景色を写真に納めつつ、ペニャ・ニエト大統領自ら安倍総理大臣夫妻の写真を撮られるなど,非常に和やかな雰囲気の中で視察が行われました。
帰路のヘリコプターの中では,ペニャ・ニエト大統領から安倍総理大臣が立ち寄った場所を含め,メキシコ市内を案内・説明し,大統領府到着後には,岸総理大臣,安倍外務大臣及び今次安倍総理大臣の訪問の写真を収めた写真集が贈られました。
7 日系人幹部(日墨協会関係者)との懇談及び記念レセプションへの出席
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(写真提供:内閣広報室)
![[IT広報室_4]外務省[日]コンテンツ編集-20140728085558-画像8-2](/mofaj/files/000046572.jpg)
(写真提供:内閣広報室)
7月26日(土曜日),午後6時頃(現地時間。日本時間27日午前8時頃)から約40分間,その後引き続き,午後6時40分から約50分間,メキシコを訪問中の安倍総理大臣夫妻は,メキシコ市郊外にある日墨会館において,当地日系人団体である日墨協会幹部との懇談及び記念レセプションに出席しました。
日墨協会幹部との懇談前に,先亡者名碑に献花をし,同懇談には,日墨協会幹部と共に,日本メキシコ学院関係者,各日系人県人会関係者,地方の日墨協会関係者の方々が出席し,安倍総理は,日系人の方々の両国関係への貢献に触れつつ,引き続き両国関係の最も大切な架け橋であり続けることを期待しているとの挨拶を行いました。
また,記念レセプションは,日墨協会,日本メキシコ学院,メキシコ日本商工会議所及び在メキシコ日本大使館及びJETROが共催し,約350名が参加しました。安倍総理は,日系人の方々の活躍や,日本メキシコ学院の成果,更には両国EPAの成果などを踏まえつつ,両国関係を強化していくとの挨拶を行いました。
なお,記念レセプションは,和牛のプロモーションも兼ねて行われました。
II 評価
(1)日本の総理大臣として,二国間の文脈では10年ぶりの訪問となり,日本が中南米,特にメキシコに深い関心を有することを示すことができました。メキシコ側は一貫して,両国関係は信頼に基づくものであることを強調し,戦略的グローバルパートナーとしての強固な相互信頼関係を確認することができました。
(2)ペニャ・ニエト大統領とは3度目の首脳会談となり,また度重なる先方の招請に応えた訪問が実現したこともあり,打ち解けた雰囲気の中で会談や視察等が行われ,首脳間の個人的関係を構築することができました。
(3)日本の経済界トップ,大学、政府関係機関の長らが同行し,経済,学術,科学技術分野含む幅広い分野で14の文書の署名・交換が行われ,両国の今後の協力関係の幅を飛躍的に広げる契機となりました。特に,メキシコが進める諸改革の成果,就中,エネルギー改革に伴うビジネス機会の拡大に対する日本の高い関心を示し,将来の具体的協力に向けた布石を敷くことができました。また,幅広い国際場裡での協力について確認することができました。