アルメニア共和国
(Republic of Armenia)
アルメニアにある学校を見てみよう!
アルメニアの教育制度はどうなっているんだろう?
アルメニアの義務教育は、初等学校(1~4年生)、中等学校(5~9年生)、高等学校(10~12年生)からなりたっています。地域によって初等学校から高等学校まで一貫教育の学校もありますが、首都エレバンなどの都市では半数以上の学校が別々になっています。
アルメニアは2005年にEUとの間で締結されたボローニャ協定によって、EU基準による教育制度への改革が行われ、今回ご紹介するエレバン国立医科大学ヘラチ高等学校を含め、医学などの専門性の高い科目を高等学校から重点的に教える制度に変わりました。
エレバン国立医科大学ヘラチ高等学校
ヘラチ高等学校には、将来医学分野の職業に従事することを志す者をはじめとする様々な生徒が集まっており、理数系の生徒は化学、生物、物理、数学などの科目を、文系の生徒は外国語や歴史などの科目を重点的に学んでいます。

ヘラチ高等学校の建物
さらにヘラチ高等学校の生徒達は入学後、それぞれの研究テーマを選び、卒業までの3年間でそのテーマに沿った勉強を行い、最終的に論文を作成し学校に提出しています。

生物に関する自身の研究テーマについて
発表を行う生徒
アルメニアの高等学校では、教育省が定める規定に従い、アルメニア教会史や情報学(アルメニアはIT産業が発達しており、アルメニア政府は義務教育の段階からのIT教育に力を入れています)の授業も行われていることもユニークな点といえるでしょう。
課外活動
アルメニア人は一般的にボランティア精神が豊かな国民性を有しています。ヘラチ高等学校の生徒もその例外ではなく、非常に活発に様々な社会活動を行っています。市民としてどのように社会に貢献していくかについて学ぶ市民教育のクラブや、社会の様々な課題に取り組むボランティア活動、ディベート(討論)のクラブ等、様々な集まりが生徒達によって組織され、活動しています。

図書室で先生達とともに議論する生徒達
特にヘラチ高等学校では、これらの生徒の社会活動への参加に際してOSCE(欧州安全保障協力機構)などの国際機関や、アルメニアの様々なNGOとの協力も行われています。
また長期休暇には、将来従事したい仕事に関する機関でのインターンシップにも参加しています。例えば医学を志す生徒は病院でボランティア活動を行い、医師達との交流を行っています。ビジネスを志す学生は企業研修に参加したり、法律の仕事を志す学生は法律事務所や市民団体等での研修に参加しています。
また生徒達の趣味は多岐にわたっており、なかには若者を対象としたチェスや民族舞踏大会の優勝者や、化学部門コンテスト等の受賞者もいます。
日本との関わり
ヘラチ高等学校は、日本政府の平成27年度草の根・人間の安全保障無償資金協力により、机、椅子、書棚、実験室の機材等が新しく整備されたことによって学習環境が飛躍的に向上し、その効果もあって2016年度は多くの生徒が入学を希望しました。
これまでの定員は一学年140人程度でしたが、日本の支援によって生徒のための備品を増やすことができたため、新学期が始まる今年9月からは新たに249名の生徒を受け入れる予定です。

授業の様子

日本大使に研究レポートを説明する生徒達の様子
さらにアルメニアの学校では、母国語であるアルメニア語のほか、第一外国語としてロシア語、第二外国語として英語、フランス語、ドイツ語等の外国語学習が必須となっていますが、今回の日本政府の支援によって日本に対する生徒の関心が高まっていることから、ヘラチ高等学校では今年9月の新学期にあわせて日本語授業の開講も検討しているとのことです。また学校側は日本の学生との交流も希望しています。
学校の様子を見てみよう!