主な要人の来日日程

日・ウクライナ首脳会談(概要と評価)

平成17年7月22日

 21日、小泉総理は、訪日中のユーシチェンコ・ウクライナ大統領と首脳会談を行ったところ、概要と評価以下のとおり。なお、会談終了後日・ウクライナ共同声明及びWTO二国間文書への署名、日章旗の返還、両首脳による記者発表が行われた(共同声明及び科学技術協力に関する共同記者発表は別添参照)。

1.概要

(1)二国間協力

(イ)小泉総理より、オレンジ革命を通じたウクライナの民主化への努力とユーシチェンコ大統領の指導力を高く評価する旨述べるとともに、ウクライナの民主化・市場経済化のためできるだけのことをしたい旨述べた。また、投資環境の改善やWTO加盟促進が重要であり、今回WTO二国間文書が署名されることを喜ばしく思う、閣僚級の「日本・ウクライナ協力委員会」を設置し、具体的問題の進展のために協議をしていくことが必要であると思っている旨述べた。

(ロ)これに対し、ユーシチェンコ大統領より、現在ウクライナでは民営化、土地所有改革等の経済改革を進めており、ウクライナ経済の潜在性を発揮するために必要な新たな投資ルールを作っていくことが重要である旨述べつつ、既にWTO加盟に必要な法律の大半を採択し、更に投資促進を担当する部局を創設する命令を発出した旨述べた。また、今次訪日の目的は二国間の政治対話を活発化させることであるとし、総理より提案のあった閣僚級の委員会設置に感謝する旨述べた。

(ハ)更に、大統領より、二国間の具体的な協力分野として、日本からの輸出信用の拡大、ODAによるウクライナの運輸インフラの整備、環境保護及び京都議定書下での排出量削減分野における協力、航空・宇宙分野における協力等について言及した

(ニ)これに対し、総理より、それらの分野においては、国と民間の何れかが分担できる分野が混在しており、本件委員会を通じてどこまでが国でどこからが民間に協力してもらうか協議していく必要がある旨述べた。

(2)国際問題

 総理より、安保理改革について、ウクライナが枠組み決議案の共同提案国となったことに謝意を述べるとともに、日本は唯一の被爆国であり、チェルノブイリ原発事故を経験したウクライナが自らの意思で核兵器を放棄しNPTに非核兵器国として加盟したことについては、日本国民として強く共感している旨述べた。

2.評価

(1)ウクライナは、人口約5000万人を擁し、EUとロシアの間という地政学的に重要な位置にある。そのようなウクライナの民主化は、欧州の安定の観点から極めて重要であるが、昨年末のオレンジ革命によりウクライナの民主化が進展したことを踏まえ、今回の首脳会談において小泉総理より、同国の民主化・市場経済化に向けた努力を一層支援していくとのメッセージをユーシチェンコ大統領に伝えるとともに、ユーシチェンコ大統領より、直接改革に向けた考え方につき説明を受けたことは有意義であった。

(2)また、両首脳間で新しいパートナーシップの構築に向けた共同声明を発出し、閣僚級の「日本・ウクライナ協力委員会」を設置し具体的協力を進めていくことを確認したことは、これまでの二国間協力を更に一歩進めるものであり、今回の会談の具体的成果となった。

(3)経済面では、WTO加盟二国間交渉が終了し、これを確認する文書が署名されたことは、WTO加盟に向けた前進であり、加盟によりウクライナの世界経済への統合と国内の法制整備の進展が期待される。また、ウクライナ側が直前に発表した日本人に対する短期滞在査証を免除したことで、両国間のビジネスも含む人的交流の促進が期待されよう。

(4)同日、別途行われた外相会談では、国連・安保理改革枠組み決議案の共同提案国同士として協力していくことで一致。不拡散分野では町村外務大臣より、ウクライナによる巡航ミサイルの不正輸出問題について徹底調査と再発防止の申し入れを行い、先方よりもこれを確認する発言があったことは有意義であった。

(5)また、両首脳とも国内で改革に取り組んでいるということもあり、オレンジ革命と郵政民営化を巡る意見交換も行われ、両首脳間の個人的関係を築く上で有益であった。

(参考)「オレンジ革命」
 昨年11~12月の大統領選挙の不正に抗議し、野党ユーシチェンコ候補(当時)を支持する大規模デモが行われる等した結果、やり直し投票が行われ、ユーシチェンコ政権が誕生した。

このページのトップへ戻る
前のページへ戻る | 目次へ戻る 法的事項 | アクセシビリティについて | プライバシーポリシー
Copyright(c) Ministry of Foreign Affairs of Japan