(写真提供:内閣広報室)
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本6日(水曜日)午後5時30分から約25分間、野田佳彦内閣総理大臣は、実務訪問賓客として来日中のセルジ・サルグシャン・アルメニア共和国大統領(H.E.Mr.Serzh Sargsyan, President of the Republic of Armenia)と会談を行いました。
また、会談に引き続き、両首脳間の「友好とパートナーシップのさらなる深化に関する共同声明(日本語仮訳/骨子/英語)」の署名式及び総理主催夕食会が催されました。夕食会は、日アルメニア友好議員連盟から松本剛明会長(衆議院議員)、村田吉隆会長代行(衆議院議員)、谷畑孝幹事長(衆議院議員)及び徳永久志事務局長(参議院議員)の出席も得て、終始和やかな雰囲気の中で行われました。
日・アルメニア首脳会談の概要は以下のとおりです。
- 二国間関係一般
(1)野田総理より、サルグシャン大統領の初めての来日に対する歓迎の意を表するとともに、両国外交関係樹立20周年を迎える記念すべき年に行われる今回の来日を、更なる両国発展の契機としたい旨述べました。
(2)これに対し、サルグシャン大統領より、日本側の歓迎に対する謝意が述べられるとともに、寛仁親王殿下の逝去に対する弔意の表明がありました。
また、サルグシャン大統領より、昨年の東日本大震災に対するお見舞いの言葉があり、今回の来日を被災地訪問から開始したことを紹介しつつ、被災地が短期間で復興すると確信している旨の発言がありました。また、1988年のアルメニア大地震に際しての日本からの支援に対するお礼の言葉がありました。
さらに先方より、2010年に東京にアルメニア大使館を開設したことに触れつつ、二国間関係のさらなる発展のために是非とも在アルメニア日本国大使館を開設して欲しいとの希望が表明されました。 - 防災協力
(1)野田総理より、共に地震国である両国にとっての防災協力の重要性を指摘した上で、今般、アルメニアで実施している地震リスク評価・防災計画策定プロジェクトの中間報告をJICAが発表したことへの歓迎の意を表明し、日本はアルメニアに対する防災支援を今後とも行っていく旨述べました。また、野田総理は、東京電力福島原子力発電所事故から得られた知見と教訓を国際社会と共有する日本の決意を表明するとともに、本年12月に開催される「原子力安全に対する福島閣僚会議」にアルメニアを招待する旨述べました。
(2)これに対し、サルグシャン大統領より、アルメニアにおいては原子力発電所をめぐって安全の観点から種々の問題があり、解決していく必要があるので、日本の経験に学んでいきたい、防災分野での協力を進めていきたいとの日本側の提案をうれしく思う、「原子力安全に関する福島閣僚会議」には必ずアルメニアからも参加したい旨の発言がありました。 - 経済協力
(1)野田総理より、日本がこれまで20年に亘り実施してきたアルメニアの市場経済発展への支援を今後とも継続する旨述べ、現在行っている「地方産品と地方ブランドの開発プロジェクト」の下での技術協力が、同国の地域・産業振興を大きく促進することを期待する旨述べました。
(2)これに対し、サルグシャン大統領より、独立以来これまでの日本からの5億ドル近くにのぼる支援がアルメニアの発展のために極めて大きな役割を果たしてきたとして、謝意が表明されました。特に、エレバンのコジェネレーション火力複合発電所建設について先方より強い謝意が表明されるとともに、今後とも、防災の他にも、エネルギー、農業、中小企業といった分野で協力を進めていきたいとの発言がありました。また、日本企業の進出に対する希望も表明されました。 - 国際情勢
(1)野田総理より、北朝鮮の人権状況問題の解決及び同国によるミサイル発射や核実験等の挑発行為の防止、拉致問題解決の重要性を強調し、これらの問題に対するアルメニア側の理解と協力を求めました。これに対しサルグシャン大統領より、この地域の平和と安全の確保のための日本の立場を支持する旨の発言がありました。
(2)また、サルグシャン大統領より、コーカサス地域情勢についての説明があり、総理より、ナゴルノ・カラバフ紛争について対話を通じて平和的解決に向けた努力を継続することを期待する、日本としてもそのために協力していきたい旨述べました。