岸田外務大臣

平成25年11月14日
(写真)アジア欧州会合第11回外相会合
 11月11日~12日,インド・デリー近郊にて,アジア欧州会合第11回外相会合(ASEM FMM11)が開催され,日本より岸田外務大臣が参加した。49か国・2機関の外相等が一堂に会し,「経済成長と持続可能な開発」,「非伝統的安全保障上の課題」及び「国際・地域情勢」について議論が行われたところ,概要は以下のとおり。また,この機会に,インド外相との二国間会談,V4(ハンガリー,ポーランド,チェコ,スロバキア)及び北欧・バルト8か国外相等との会合が行われた。
 
1.「経済成長と持続可能な開発」
 29カ国・2機関の代表から発言があった。
 
 (1)岸田外務大臣から,冒頭,フィリピン,ベトナムの台風被害に対するお見舞いを述べた上で,「アベノミクス」による日本経済の再生を通じて世界経済の成長に貢献するとの決意を表明。また,経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいく決意を表明。更に,貿易・投資の自由化・円滑化,経済連携の推進が地域経済・世界経済の成長につながるとの考えを示し,TPP,RCEP(東アジア包括的経済連携),日EU・EPA等の取組の早期妥結に向けた関係国との緊密な連携を強調。
 
 (2)ほぼ全ての国からフィリピンの台風被害に対するお見舞いが述べられた。また、多くの国からは欧州・アジアがお互いに重要なパートナーであり,一層の協力強化が必要との意見を述べた。その他,多くの国から,本年12月バリで行われるWTO閣僚会合が成功裏に終了することの重要性とともに,アジアと欧州の自由貿易協定を推進することの重要性について言及があった。更に,幾つかの国から,持続可能な成長のためにはイノベーションが不可欠であるとの発言や,経済成長における女性の役割に関する言及があった。
 
2.「非伝統的安全保障上の課題」
 26か国・2機関から発言があった。
 
 (1)多くの国から水資源が食料生産等に影響を与え得ることから、関係国間で協力して管理していくことが重要であるとの認識が示された。また,多くの国から,サイバースペースの自由を確保する必要性がある一方で,サイバー犯罪に対応するための取り組みを進める必要性を強調する発言も行われた。そのほか,幾つかの国から,防災の重要性についての言及があるとともに,ASEMの枠組みで明年フィリピンにおいて行われる防災関連会合への協力の意思表明が行われた。
 
 (2)岸田外務大臣からは,各国からの登録発言の後,自由討論において,東日本大震災時の各国からの支援への謝意を表明し,日本の経験や教訓を広く世界と共有し防災分野で積極的に貢献していく決意を表明。その上で,日本は,ポスト2015年開発アジェンダにおける防災の主流化を目指すことを表明し,アジア防災センター(兵庫県)を通じた各国の防災対策のリーダー育成,2015年の仙台市での第3回国連防災世界会議開催等、日本の防災分野での積極的な取組を紹介した。
 
3.「国際・地域情勢」
 28か国・1機関の代表から発言があった。
 
 (1)議長国インドの発言に次いで,岸田外務大臣から,我が国のフィリピンへの支援を紹介すると共に,「積極的平和主義」の立場から,平和と安定への積極的な貢献を行う考えを表明した上で,北朝鮮情勢について、北朝鮮の核保有を認めない,安保理決議の完全履行を求めるとの強いメッセージを送り続けることが重要,拉致問題は,日本の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題のみならず,基本的人権の侵害という国際社会全体の普遍的問題であると主張。イランの核開発問題について直前のイラン訪問の成果等を説明し,引き続き日本として国際社会と連携しつつ働きかけを継続する旨表明。シリア情勢については,化学兵器使用禁止のための関係国・機関の努力への支持表明及び人道支援へのコミットを説明。また,海洋安全保障については,「開かれ,安定した海洋」の確保は,経済成長実現の観点から全てのASEMメンバーの利益との認識を示し,「力」を背景とした一方的な現状変更は容認できず,関連国際法に基づく平和的解決の重要性を強調した。
 
 (2)参加各国は,フィリピンの台風についてお見舞いと共にASEM各国としてフィリピンを支援していくことについて議長声明で言及することに合意した。多くの国からは,アフガニスタンにおける2014年に向けての状況について憂慮が示された。また,シリアについては,化学兵器についての合意が評価されると共に,人道状況につき懸念が表明され,和平に向けての努力の必要性が強調された。イランの核問題につきいくつかの国からイランの前向きな姿勢が歓迎されると共に懸念が示され,引き続き国際社会が連携して取組む必要性が確認された。また,北朝鮮の核開発を非難する発言が数カ国からあった。いくつかの国から海洋の安全保障の重要性について指摘があった。

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