岸田外務大臣
日英外相会談(概要)
9月24日(火曜日)午前8 時50分(現地時間)から約30 分間,国連総会に出席するためにニューヨークを訪問中の岸田外務大臣は,英国のウィリアム・ヘーグ外務・英連邦大臣(Rt Hon William Hague, Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs)との間で日英外相会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
1 冒頭
岸田大臣から,ナイロビにおけるテロ事件で英国人6名が亡くなられたことについて弔意を表明しました。ヘーグ外相からこれに対し謝意が表明され,両外相は,テロ対策で国際社会が協力する必要性で一致しました。
2 シリア
(1)岸田大臣から,以下を述べました。
イ シリアの化学兵器使用の問題は,単にシリアにとどまらず,他の大量破壊兵器を有している国との関係にも波及するものであり,日本としては国連や化学兵器禁止機関(OPCW)で行われている今後の具体的な作業に関する議論,及びシリア市民に与える影響等を注視していく。
ウ OPCWの決定を補強する,できる限り強力な安保理決議が採択されるべき。
エ シリアにおける情勢悪化の責任は,人道状況悪化を顧みないアサド政権にある。英国政府が人道支援分野で指導力を発揮していることに敬意を表し,問題意識を共有する。
オ シリアの化学兵器廃棄に向けたOPCWプロセスにも日本として何が貢献できるか検討している。
(2)ヘーグ外相から,以下を述べました。
ア 先般のG20の際にも日英の首脳及び外相間で電話会談が行われたが,このようにシリア問題で日英が協力していることについて改めて喜ばしく思うとともに,シリアの問題について国際社会が連携して対応することが重要。
イ 特に人道面での支援の重要性を国際社会に示すことが重要であり,日本が人道支援の分野で積極的に貢献しようとしていることに謝意を示したい。
ウ 現在の状況において重要なことは国連安保理での強い決議である。
エ 英国としては,第一に人道支援のためのアクセスをきちんと得られるようにすること,第二に人道支援の額を全体として増やすことを重視している。
3 二国間関係
(1)安全保障・防衛協力
ア 岸田大臣より,安全保障や防衛協力分野における協力の推進を日英間で進めていきたいとした上で,安倍総理が現在,NSCの設置や国家安全保障戦略の策定等さまざまな分野での検討を進めている旨紹介し,こうした取組を進めていく上で,英国側の知見も是非共有してほしいと述べました。
イ ヘーグ外相より,まさに英国も3年前に国家安全保障会議や安全保障戦略等を導入したので,そうした分野での知見を今後も日本にできる限り提供していく旨述べました。
(2)日EU・EPA
ア 岸田大臣より,日英が共に成長の果実を手に入れる上で日EU・EPAの早期妥結が重要であり,引き続き英国からの有益な助言と支援を得たい旨述べました。
イ ヘーグ外相は,英国はこれまで日EU・EPAを積極的に支援してきた,非関税障壁の撤廃に向けた更なる日本の努力を期待している旨述べました。
4 その他
(1)2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定
ア ヘーグ大臣から東京の招致成功につき祝意を述べ,英国はロンドン・オリンピック・パラリンピックの経験を活かして協力していきたい旨述べました。
イ 岸田大臣から,英国のサポートに心からの謝意を伝え,英国の知見に学びたい旨述べました。
(2)紛争下の性的暴力防止への取組
ア ヘーグ外相から,これまでの日本政府の協力に謝意が述べられるとともに,この問題は日英の強力なイニシアティブで取り組んでいるものであるとして,今回の国連総会のサイドイベントでも協力してほしい旨要望がありました。
イ 岸田大臣は,自分もサイドイベントに出席予定であり,日本としても積極的に取り組んでいく方針であり,日英間で協力していきたい旨を述べました。