岸田外務大臣

平成25年10月4日
 現地時間10月4日午後5時15分から約50分間、バリ訪問中の岸田文雄外務大臣は、ジョン・ケリー米国務長官、ジュリー・ビショップ豪外務大臣との間で日米豪閣僚級戦略対話(TSD)を開催したところ、概要以下のとおり(共同ステートメントを発出)。
1.総論

 3閣僚は、2009年以来となるTSD開催を歓迎するとともに、この会合の重要性を確認。岸田大臣より、アジア・太平洋地域の戦略環境が変化する中で三か国の協議は重要である旨強調。3閣僚は、3か国が協力して、地域の安定と持続的な経済的繁栄に貢献する意思を確認し、引き続きTSDプロセスを有効に活用していくことで一致した。
 
2.地域情勢

(1)シリア
 3閣僚は、化学兵器禁止機関(OPCW)による決定及び安保理決議の採択を歓迎。ジュネーブ2会議の早期開催、人道的アクセス・支援を確保すべきことで意見が一致。岸田大臣より、シリアにおける化学兵器使用問題は他の地域にも影響を及ぼしうる重大な問題であり、日本としても、米豪とも協力して、引き続き積極的に取り組んでいきたい旨発言した。
 
(2)イラン
 3閣僚は、イランの核問題を懸念。また、3閣僚は、国連総会でイラン側から出された前向きなメッセージを踏まえ、EU3+3とイランとの協議への期待を表明するとともに、イランが検証可能な具体的な行動をとるよう、国際社会が連携して働きかけることの重要性を共有した。
 
(3)北朝鮮
 岸田大臣より、北朝鮮の核計画を深く懸念するとともに、北朝鮮が、非核化に向けた自らのこれまでの義務・コミットメントの履行に向けて具体的な行動をとることが不可欠であると述べるとともに、拉致問題を含む、北朝鮮の非難すべき数々の非人道的行為に対し深い懸念を表明し、他の閣僚より賛意が示された。
 
3.海上の安全

 岸田大臣より、特に海洋において「力」ではなく法の支配が重要である旨強調し、他の閣僚より賛意が示された。また、尖閣諸島について、現状と我が国の立場について説明した。3閣僚は、南シナ海について、全ての関係国が関連国際法を遵守し、一方的な行動を慎むとともに、紛争を国際法に基づき平和的に解決すべきこと、ASEAN・中国間の行動規範(COC)に関し法的拘束力と紛争解決にも資する実効性のあるCOCの早期締結の重要性を確認した。
 
4.地域的枠組み

 EAS、ADMMプラス、ARF、APECを含むフォーラムは相互に補完的で有用であるが、地域の安全保障問題について首脳が率直な意見交換を行うフォーラムとしてEASが重要であることに意見が一致した。

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