岸田外務大臣
第3回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議(概要)
平成25年7月2日



7月2日午後2時50分ごろから午後5時10分ごろまで、ブルネイ・バンダルスリブガワンにおいて、第3回東アジア首脳会議(EAS)外相会議が開催され、我が国から岸田外務大臣が出席したところ、概要以下のとおり(議長:モハメッド・ボルキア外務貿易大臣)。
1.EAS協力のレビューと将来の方向性
(1)今回の外相会議では、EASの6つの優先分野((ア)エネルギー、(イ)教育、(ウ)金融、(エ)防災、(オ)鳥インフルエンザ、(カ)連結性)の他、食料安全保障、海洋協力、経済連携、不拡散、人身取引に関する取組等について議論が行われた。
(2)このような中、岸田外務大臣からは以下について発言した。
(ア)海洋:岸田大臣より、地域の公共財である海洋における秩序と協力を重視している旨述べつつ、「法」の支配に基づき、各国間の信頼醸成を図っていくことが重要である旨指摘した。昨年第1回会合が行われたASEAN海洋フォーラム拡大会合(EAMF)の重要性を指摘し、本年、マレーシアが第2回会合を主催する意向を表明したことを歓迎した。また、ブルネイが提案した食料安全保障の強化に関するトラック2スタディ・グループの設立を支持した。
(イ)低炭素成長:岸田大臣より、本年5月、東京において日本とカンボジアの共同議長で開催した「第2回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話」の成果を報告した。(これ対して、多くの国から日本の低炭素成長の取組が評価された。)
(ウ)災害管理:岸田大臣より、EAS参加国と協力し、他国間及び二国間において、引き続き積極的に災害管理分野での協力を推進していきたいと述べつつ、AHAセンター(ASEAN防災人道支援調整センター)に対する日本の支援(ICT機材の導入、AHAセンターとASEAN各国の情報共有の円滑化)及びASEANの緊急備蓄システムの構築支援を紹介した。また、我が国が2015年3月に第3回国連防災世界会議を被災地の仙台市で主催することを述べた。
(エ)不拡散:ケリー長官の、核兵器のない世界を追求するという発言を受けて、岸田大臣より、自分は広島県出身であり、ケリー長官の発言に同意する。「核兵器のない世界」を目指して、軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)に対する主体的な取組を重視する旨発言した。
(オ)その他:岸田大臣より、青少年交流、連結性の強化、国境を越えるテロ・犯罪、保健・開発分野の取組の重要性を指摘した。
2.地域・国際情勢
今回の会議では、南シナ海問題と北朝鮮問題について議論となった。その中で、岸田大臣からは、南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結する国際社会共通の関心事項であり、いずれの当事者も力による一方的な行動を慎み、関係国際法を遵守することが地域における法の支配を確立するために重要であること、南シナ海の平和と安定を実現するため、今後、今回の中国・ASEANの発表により、COCについて本格的な政府間交渉が開始され、法的拘束力があり、紛争解決に資する実行性のあるCOCが早期に作成されることを期待すること等を述べた。北朝鮮については、岸田大臣から、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決が必要であり北朝鮮の具体的行動が求められること、国際社会は北朝鮮に対して、(ア)核保有を断じて認めない、(イ)挑発行為を行わず、一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとの強いメッセージを送り続ける必要がある点を強調した。また、拉致問題に関し、各国の協力を求めた。