2月15日から16日まで,岸田外務大臣は沖縄県を訪問したところ,概要以下のとおり。
1 仲井眞知事との会談 (16日)
(1)仲井眞知事の発言:
- ア 沖縄振興(沖縄振興予算,那覇空港第二滑走路を含む。)に関する岸田大臣のこれまでの取組みに感謝するとともに,昨年5月の太平洋・島サミットの開催,沖縄県を訪問する中国人観光客への数次ビザの発給に係る外務省の協力に感謝。
- イ 在日米軍基地問題に関しては,現在も沖縄県には多くの在日米軍施設・区域が所在しており,米軍関係者による事件・事故,騒音等の問題について,目に見える改善が実感できない。これらの課題について,政府として,引き続き取り組んでいただきたい。
- ウ 普天間飛行場については,1日も早く県外移設を進め,同飛行場の跡地利用を可能にしていただきたいと考えており,政府としてしっかりと取り組んでいただきたい。
(知事から,上記内容を含む要望書の手交があり,同席した与世田副知事から要望書の概要の説明があった。また,同席した上原副知事から,沖縄県として,他国との青少年交流を強化したいと考えており,外務省にも協力をお願いしたい旨の発言があった。)
(2)岸田大臣の発言:
- ア 外務大臣に就任して初めて沖縄県を訪問。沖縄戦没者墓苑等を回って歴史の重みを改めて実感した。
- イ 我が国を巡る国際情勢が厳しさを増す中で,同時に,国土面積の約0.6%の沖縄県内に,全国の約74%の在日米軍専用施設・区域が集中しているなど,沖縄県民に大きな負担をかけていると認識しており,沖縄県の負担軽減に取り組んでまいりたい。
- ウ 先月18日に行われたクリントン国務長官との会談において,自分(岸田大臣)から普天間飛行場移設を含む米軍再編について,新政権として現行の日米合意に従って進め,沖縄県の負担軽減を実現していく旨述べるとともに,嘉手納以南の土地の返還について,日米両国で統合計画の作成作業を加速化させることで一致したところである。
- エ 普天間飛行場移設の固定化はあってはならず,同飛行場の移設については,沖縄県の皆様の声に耳を傾けながら取り組んでまいりたい。
- オ MV-22オスプレイについては,依然として,地元の皆様から厳しい目が向けられていると承知しており,運用に際しては安全性に万全を期するよう,米側との間で必要な協議を行ってまいりたい。
- カ 米軍人による事件・事故については,様々なレベルで米側に働きかけていく必要があり,自分(岸田大臣)からも,先日,ロックリア米太平洋軍司令官及びアンジェレラ在日米軍司令官に対して再発防止について働きかけを行った。事件・事故の防止については,実効性の確保が重要であり,こうした観点から引き続き取り組んでまいりたい。
2 佐喜眞宜野湾市長との意見交換 (16日)
(意見交換に先立って,岸田大臣は,佐喜眞市長とともに,宜野湾市役所屋上から普天間>飛行場を視察した。)
- (1)岸田大臣から,概ね上記1(2)と同様の発言を行った。
- (2)佐喜眞市長の発言:
- ア 普天間飛行場の返還については,1996年の日米間の合意から17年目を迎えたが,なかなか進展が見られない。同飛行場の固定化はあってはならず,負担軽減と危険性除去という原点を忘れず,また,跡地利用の観点からも,早期返還に向けて取り組んでいただきたい。
- イ また,普天間飛行場周辺の住民は,騒音(特に夜間飛行によるもの)や,同基地から放出される電波による地デジ放送の受信障害等により不便な生活を強いられており,こうした問題に対して,政府全体で取り組んでいただきたい。
- ウ オスプレイについては,本年夏に更に12機が普天間飛行場に配備予定とのことであるが,同機に対する住民の不安は払拭されておらず,配備を見直していただきたい。
- エ 日米地位協定については,県民の関心も高く,見直しに向けて外務省として取り組んでいただきたい。
3 在沖縄四軍調整官代理タレリ少将との意見交換 (16日)
- (1)ア 岸田大臣から,我が国周辺の安全保障環境が厳しさを増す中,日米同盟の重要性は高まっており,日米間で今後とも緊密に連携していきたい旨発言。
イ 岸田大臣から,騒音への対応,事件・事故の防止,オスプレイの運用の安全性の確保等といった具体的な問題にきちんと対処するよう申入れを行った。 - (2)タレリ少将から,(ア)騒音については,1996年の騒音規制措置に関する日米合同委員会合意を遵守し,地元への影響の軽減に努めていく,(イ)事件・事故については,先般,在日米軍が新たなリバティ制度を公表したところであり,こうした制度に基づいて事件・事故の防止に努めていく,(ウ)オスプレイについては,昨年9月19日の日米合同委員会合意を遵守し,飛行運用の安全性の確保に引き続き取り組んでいく旨述べた。
(岸田大臣は,上記の他,国立沖縄戦没者墓苑,平和の礎,ひろしまの塔を訪問し,キャンプ瑞慶覧及びキャンプ・シュワブ辺野古地区を視察した。)