麻生外務大臣

麻生大臣のリトアニア訪問(政府関係者との意見交換)

平成18年5月6日

 5日、リトアニアを訪問中の麻生外務大臣は、アダムクス大統領及びブラザウスカス首相を表敬し、日・リトアニア外相会談を行ったところ、概要次のとおり。

1.アダムクス大統領表敬

(1)二国間関係

 先方より、今回の訪問は、1991年の日・リトアニア外交関係開設から15周年、自分の訪日から5年目にあたり、昨日まで開催されたビリニュス国際会議への米国及び欧州の首脳出席に続くものでもあり、歓迎したい旨発言。
 これに対し、大臣より、外交関係樹立15周年の年に、日本の外相として初めて訪問できてうれしい、15周年の祝意を共有したい旨発言。
 また、先方より、出身地(カウナス)に触れつつ、杉原千畝氏がカウナス滞在中に行った人道的行為は偉大であり、リトアニア人はずっと忘れない旨発言。
 更に、先方より、日本のリトアニアへの文化無償に対する謝意が表されるとともに、今後、貿易、観光客の誘致等さまざまな観点から二国間関係が発展することを期待している旨発言があり、大臣より、バルト三国は治安が良いとの利点もあり、日本人にとり魅力的な観光先ではないか旨発言。

(2)NATO・EU加盟とロシア

 (NATO及びEU加盟に関連して、ロシアの見方を質したのに対し)先方より、リトアニアがロシアとの善隣関係を重視しており、NATO、EUへの加盟は特定国への敵対を示さないことを対外的に説明してきている旨、ロシアはリトアニアのNATO加盟を必ずしも喜んでいないだろうが、今のNATOはかつてのような地域防衛的な組織ではなく、世界の安定のために活動する組織へと変化してきている旨発言。
 これに対し、大臣より、欧州では89年のベルリンの壁崩壊を契機に冷戦構造が崩れたが、東アジアについてはいまだ崩れていない旨発言。更に、大臣より、昨年5月にモスクワで開催された戦勝60周年記念式典にリトアニアの代表が出席しなかったことに話を向けたところ、先方より、ナチスに対する勝利はリトアニアについてはソ連による支配を招いたとの歴史的経緯もあり、単純には歓迎できないと述べるところがあった。

(3)訪日招待

 大臣より、大統領の前回訪日から5年が経過しているが、その間、日本も小泉政権下でいろいろな変革が行われたこともあり、是非とも日本に公式にご招待したい旨述べたのに対し、先方より謝意を表明。

2.ブラザウスカス首相表敬

(1)二国間関係

 (大統領表敬と同様のやり取り(文化無償への謝意を含む)に引き続き)先方より、昨年愛知万博の際に訪日したが、リトアニア館の人気が高かったと記憶している、天皇陛下や小泉総理にお会いでき、非常に良い思い出になった旨発言。

(2)NATO及びEU加盟

 (大臣より、訪問前にNACで日本の閣僚として初めて演説したことに触れ、EU及びNATO加盟による変化を質したのに対し)先方より、NATOとの関係でリトアニア軍の機構、構成をNATOの基準に合わせる作業があったこと、NATOに加盟して2年程度しか経過していないが、アフガニスタンやボスニアの平和構築活動に参加している旨説明。また、EUとの関係では、加盟によりEUから資金を得られるようになり、3分の1を産業開発、4分の1をインフラ整備に当てている等、資金の用途に関し説明。
 (大臣より、EU内でリトアニアはどのように競争力を高めようとしているのかと質したのに対し)先方より、リトアニアは小国であるが教育に力を入れており、高いレベルの教育を推進している旨説明。これに対し、大臣から、日本も資源のない国であるが、今日の発展を遡れば明治維新以来国を挙げて教育に取り組んできた経緯がある旨述べた。

(3)国連改革

 大臣より、昨年日本が共同提案したG4案に対する支持に謝意を示すとともに、前回の経験を踏まえ新たな案を模索している現状につき説明。

3.日・リトアニア外相会談

(大統領表敬、首相表敬と重なる部分を省略)

(1)二国間関係

 先方(ヴァリョニス外相)より、史上初の日本の外務大臣来訪歓迎、文化無償への謝意、二国間交流の更なる発展への期待が示されるとともに、麻生大臣のリトアニアに関する知識に驚かされたと述べるところがあった。
 大臣より、温かい歓迎への謝意を示し、基本的価値を共有する国際的パートナーとして、今次訪問を契機に二国間関係が更に深く広くなるよう期待する旨発言。

(2)リトアニア産業

 先方より、EU加盟に伴う影響の文脈の中で、農業が就業人口全体の16%を占めており、欧州の共通行政政策、補助金政策に合致する形でのこの割合の低下が課題と説明。(大臣より今後の産業振興策を質したのに対し)先方より、レーザー部門で強みがあり、また、銀行、建設など第三次産業を伸ばしたい旨回答。

(3)NATO加盟及びロシア

 先方より、バルト三国の中でもロシアと比較的良好な関係があるも、唯一カリニングラードの問題があったが、広範な問題を議論するロシア・リトアニア共同委員会で解決してきている、首都から30キロのところにEUとNATOの境界線がある地理的な状況や歴史的な事情を説明しつつ、安全保障のファクターとしてNATOを重視している旨発言。

(4)アフガニスタンにおける国際貢献

 先方より、PRT(地方復興チーム)をもっており、現地で協力していきたい旨発言。大臣より、日本はインド洋において、アフガニスタン復興支援を継続して行っている旨発言。

(5)安保理改革

 大臣より、安保理改革における昨年のG4支持を感謝しつつ、新たな案を模索している旨発言。

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