
麻生外務大臣のパキスタン訪問(結果概要)
平成18年1月5日
1月4日(水曜日)~5日(木曜日)、麻生外務大臣はパキスタンを初めて公式訪問した。今次訪問は、小泉総理の訪パキスタン等や地震支援を通じて強化された日パキスタン関係の更なる強化に向け具体的進捗を図ることを目的としている。
1月5日(木曜日)、麻生大臣は、カスーリ外相と日パキスタン外相会談及びワーキングランチを行った。両外相は、地震の被害への支援を含む二国間関係、テロとの闘い、国連改革及び軍縮・不拡散といった国際的課題、並びに地域情勢等幅広い分野につき率直な意見交換を行い、両国間の協力を強化していくことを確認した。また、麻生大臣は、ムシャラフ大統領とアジーズ首相を表敬訪問した。
訪問概要と成果
1.二国間関係
- 両国は、小泉総理パキスタン訪問時に首脳間で合意された日パキスタン共同宣言に基づき、協力関係強化に向け具体的進捗を図っていくことで意見が一致した。
- また、麻生大臣は、アジアの友人として、地震の被害への支援を継続していくとし、追加的支援として、二国間無償資金協力40億円(約3,500万ドル)と国際機関経由で2,000万ドルの供与を表明。さらに、ジェーラムバレー道路上の落橋した橋梁の復旧、ムザファラバード市の復旧・復興、地震専門家の派遣を表明。日本のNGOが「キャンプ・ジャパン」を設置・運営していることも紹介した。これらの追加支援と表明済の支援を併せると日本の支援は約2億ドルとなる。
- なお、11月19日の地震復興支援で表明した、緊急復興支援の円借款1億ドル及び人材育成にも資する建設機械技術訓練所機能向上計画への支援に関する交換公文に、麻生大臣とカスーリ外相は署名した。
2.国際的諸課題
【テロとの闘い】
- 麻生大臣は、パキスタンの進める啓蒙的穏健主義「Enlightened Moderation」を評価、引き続き支持していくことを伝えた。
- 麻生大臣は、パキスタンのテロとの闘いへの取組を評価。パキスタン側は、インド洋での海上阻止活動に参加中のパキスタン艦船への自衛隊による給油・給水支援に対し謝意を表明。
- 両国は、情報交換、テロ対策に関する協力を高めるため、テロ協議の開催に合意。
- 麻生大臣は、人材育成、ひいてはテロ対策という観点から、職業訓練分野への支援を重視するとし、パキスタン政府が進める連邦職業技術訓練庁(NTEVTA)の設立に関する調査団を2月に派遣することを表明。
【軍縮・不拡散】
- 両国は、以下の認識を共有することを確認。
1)軍縮・不拡散問題は、国際社会が直面する喫緊の問題。
2)究極的な核廃絶という目標を共有する。
3)パキスタンは今後も核実験モラトリアムを継続する。
- 麻生大臣は、NPT、CTBTに関する我が国の立場を説明。
- 両国は、核関連技術流出問題への対応の重要性につき一致。また、パキスタンの輸出管理能力向上のために協力することで一致。
- 両国は、これらの課題に取り組むため、安全保障対話の文脈の中で、局長級の軍縮・不拡散協議の開催に合意。
3.地域情勢
【アジアにおける地域協力】
- パキスタン側は、我が国のオブザーバー参加を歓迎する旨表明。麻生大臣からは、オブザーバー参加を通じてSAARCに積極的に協力していくとの考えを説明。
【アフガニスタン】
- 麻生大臣は、アフガンの安定的発展にとって、パキスタンの役割は大きいと述べつつ、パキスタンによる取組を評価する旨表明。パキスタン側より、アフガンの安定、復興に貢献していきたい旨表明。
【インド・パキスタン関係】
- 麻生大臣は、対話の継続、地震の被害への支援を通じた協力など、インド・パキスタン間の前向きな動きを評価。また、インド・パキスタンを繋ぐバスルート(ジェーラム道路)上の橋梁を修復することを表明し、これがインド・パキスタン間の交流の進展につながることを期待する旨表明。