平成19年5月30日
5月29日(火曜日)麻生外務大臣は、ベルリン(ドイツ)において日・EUトロイカ外相協議を行ったところ、概要と評価は以下のとおり。
(ポイント)
ドイツ(現EU議長国):シュタインマイヤー外相
EU理事会:ソラナEU理事会事務局長兼共通外交・安全保障政策上級代表
欧州委員会:フェレーロ=ヴァルトナー対外関係担当欧州委員
ポルトガル(次期EU議長国):アントゥヌス欧州担当外務副大臣
協議におけるやりとりの概要は以下のとおり。なお、協議ではASEMの議論と重複を避けるとの観点から中央アジアを中心に議論し、引き続き中国、ロシアについて意見交換をした。
(1)中央アジア
中央アジアに関して、昨年6月に開催した「中央アジア+日本」対話等我が国の取り組みを説明した。特にアフガニスタンから流入する麻薬対策の観点からの国境管理能力の強化、南方向への道路整備への協力について紹介。これを受け、EUからは、エネルギー安全保障の観点からも中央アジアは重要であることを指摘し、日本とは特に水の管理の問題に関して協力したいとの発言があった。また、日本の視点はEUの政策立案にとっても重要で参考になるとの発言があった。今後、日・EUが連携を強め中央アジアに積極的に関与し、この地域の平和と安定のために協力することで一致した。
(2)中国
中国が国際社会と協調的な形でバランスのとれた経済発展を続け、透明性をもって、地域や国際社会で責任ある建設的役割を果たすことの重要性について意見交換をした。我が方から安倍総理の訪中や温家宝首相の訪日等による日中関係の進展につき説明。また、中国の軍事費の急激な増加とその不透明性を指摘、中国が軍事面での透明性を高めていくことの必要性を伝えた。
(3)ロシア
EU側より、EU・ロシア間のこれまで構築してきた関係を更に発展させることが双方の利益になること、パートナーシップ協力協定交渉を開始できるよう努力していく旨説明があった。我が方からは5月のラブロフ外相との意見交換等に触れつつ原子力協力等の面での日・ロ関係の進展につき説明した。
(1)1月の安倍総理のEU本部を含めた欧州訪問及び麻生外務大臣の中・東欧諸国訪問のフォローアップとして、また、日・EU定期首脳協議を直前に控えて、今般の協議を通じて日・EU間の戦略的パートナーシップの強化につき一致し、双方にとり高い関心事である国際情勢について共通認識の醸成が図られたことは成果。
(2)特に、我が国の「自由と繁栄の弧」の重要な一角をなす中央アジアの安定と繁栄にむけ、EUの中央アジア政策と大きな方向性について認識が共有されると共に、中央アジアに対し日・EUが連携しつつ積極的かつ前向きに関与していくことが重要であるとの点で一致した。また、国境管理能力の強化、水の管理の問題が重要であることで意見が一致し今後の双方の協力の可能性について検討していくこととなった。
(3)その他、最近の中国、ロシア関係に関して意見交換を行った。中国に関しては、国際社会との協調的な役割の必要性と同時に透明性の確保が重要であること、ロシアに関しては、エネルギー問題を含め、日欧がロシアとの協力関係を強化していくことがロシア自身の利益になるとの認識を共有した。