国連外交

平成25年12月5日

 平成25年11月25日から12月4日までロンドンの国際海事機関(IMO)本部で開催されたIMO第28回総会の初日に、関水康司(せきみずこうじ)IMO事務局長から冒頭演説が行われました。その概要は以下のとおりです。

1 2012年1月の事務局長就任からの2年間の主な成果

(1)加盟国との意思疎通の緊密化

 IMO事務局長と加盟国との間で定期的な非公式直接対話の場を設け、組織改革や予算等の重要課題について情報共有や協議を実施。

(2)事務局組織改革の推進

 組織の見直し及び改革のための作業部会、職員の昇進・報償管理のための審議会、リオ+20(2012年に開催された「国連持続可能な開発会議」)のIMOによるフォローアップ体制等を整備。これらの取り組みを通じて、財政の長期的持可能性の検討、十分に透明性のある予算の策定、各種小委員会の再編、技術協力ニーズの国別状況とりまとめ、関連会合の音声ファイル配信、ソーシャル・メディアを活用した支援協力プログラム等を実施。

(3)海上安全分野の取組

 コスタ・コンコルディア号の事故(2012年1月にイタリア沖で発生)を受けた規則の見直しの実施、加盟国監査の実施要領に関する規則の策定、漁船の安全規則に係る「ケープタウン取極」の採択、海賊対策に係る措置等を実施。

(4)海洋環境保護分野の取組

 船舶のエネルギー効率設計指標(EEDI)の実施、船舶のエネルギー効率性の向上に係る技術支援及び技術移転の促進、「船舶バラスト水規制管理条約」及び「シップリサイクル条約(香港条約)」の実施に必要ガイドラインの策定等を実施。

(5)海賊対策

 アデン湾及びソマリア沖インド洋における海賊問題については、IMOと加盟国との一致した取組により状況改善を実現。

2 今後2年間での重点的取組

 (1)「極海コード(北極海・南極海を航行する船舶の安全確保、同海域の海洋環境保護等を目的とするもの)」の策定、(2)IMO諸条約の遵守に係るIMOによる義務的監査制度の策定、(3)組織の見直し及び改革の継続、(4)世界海事大学(WMU)の財政的自律性の確保、(5)船舶からの温室効果ガス排出削減のための世界的な取組の継続(特に、EEDI実施の促進)、(6)船舶バラスト水規制管理条約等の海洋環境保護に係る未発効のIMO諸条約の発効、(7)海賊対策に関する更なる取組(ギニア湾における憂慮すべき状況への対処を含む)、(8) 海難防止と海上における死傷者の削減のための取組

3 その他

(1)IMOシンポジウムの開催

 2013年6月に将来の海上安全に関するシンポジウムを開催し、海上安全委員会に対して、既存の海上人命安全条約(SOLAS条約)規制体系の全面見直しを実施するよう勧告を実施。また、9月には海事分野における持続可能性に関するシンポジウムを開催し、持続可能な海上輸送システムという新たな概念を提唱。

(2)国際会議運営の効率化

 オンライン会合登録システム(OMRS)の導入、「ペーパースマート」の方針の下で、会合記録の電子化等を通じ、IMODOCS(文書閲覧、管理システム)の機能を強化。

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