食料安全保障

令和8年4月2日

1 設立経緯

  • (1)1974年11月、イタリア・ローマにおいて開催された世界食糧会議において、開発途上国の農業生産増大に必要な追加的資金調達のため、国際農業開発基金(IFAD=International Fund for Agricultural Development)設立構想が、イラン、ベネズエラ等の産油国の提唱により決議された。これには石油危機以後のオイル・マネー還元策の一環という側面があり、必要資金は産油国と先進国の負担を同等に近いものにすることが了解された(その後産油国の負担は漸減)。
  • (2)1976年6月の全権会議において設立協定が採択、同年12月に署名開放要件となる10億ドルの拠出誓約額目標が達成され、翌1977年11月の協定発効を経て、1978年より本部(ローマ)における業務を開始した。
  • (3)なお、国連との連帯協定が1977年の国連総会にて採択されたことにより、IFADは第15番目の国連専門機関となった。

2 設立目的

 開発途上にある加盟国の農業開発のため、追加的な資金を緩和された条件で提供する。(設立協定第二条)

3 加盟資格

 加盟資格は、(1)国連又はそのいずれかの専門機関、もしくは(2)国際原子力機関、の加盟国に与えられる(設立協定第三条)。2026年3月現在の加盟国は180か国で、設立協定上、リストA(先進国)29か国、リストB(産油国)12か国、リストC(受益国)139か国に分けられている。

4 資金規模

 活動の原資となる資金は、加盟国からの資金拠出に依っており、近年は3年に1度増資協議が開催され、以降3年間のプログラム目標やドナーの拠出規模等が決定されている。

(成立年) 事業総額 拠出目標額 我が国拠出額 比率
当初拠出(1977年) 10億ドル 5,500万ドル 5.5%
第1次増資(1981年) 11億8,050万ドル 12億7,000万ドル 6,021万ドル 4.7%
第2次増資(1984年) 8億7,990万ドル 5億ドル 2,677万ドル 5.4%
第3次増資(1989年) 9億6,430万ドル 5億6,630万ドル 3,977万ドル 7.0%
第4次増資(1997年) 13億2,180万ドル 6億ドル 3,799万ドル 6.3%
第5次増資(2001年) 13億5,000万ドル 5億6,900万ドル 3,000万ドル 5.3%
第6次増資(2003年) 15億1,300万ドル 5億6,000万ドル 3,000万ドル 5.4%
第7次増資(2006年) 19億7,000万ドル 7億2,000万ドル 3,300万ドル 4.6%
第8次増資(2009年) 30億ドル 12億ドル 6,000万ドル 5.0%
第9次増資(2012年) 29億5,000万ドル 15億ドル 7,500万ドル 5.0%
第10次増資(2015年) 30億ドル 13億5,268万ドル 5,700万ドル 4.2%
第11次増資(2018年) 35億ドル 12億ドル 5,730万ドル 4.8%
第12次増資(2021年) 38億ドル 15億5,000万ドル 5,730万ドル 3.7%
第13次増資(2024年) 36億4,000万ドル 18億7,500万ドル 4,269万ドル 2.3%

5 組織

(1)総務会(Governing Council

 最高意思決定機関。加盟国が任命する総務、総務代理により構成。年1回開催。我が国総務は駐イタリア大使、総務代理は財務省大臣官房審議官。
 総務会の総票数は加盟国に均等に配分される部分と、拠出規模によって配分される部分からなる。
 議長:ナイジェリア、副議長:カメルーン、ルクセンブルク。いずれも任期2年(2026~2027)。

(2)理事会(Executive Board

 総務会に代わり業務運営につき意思決定を行う機関。理事会は、総務会において加盟国の中から選出される18の理事国及び18の理事国代理により構成。年3回開催。

(参考)理事国の構成(2024~2026年)
  • リストA 8か国(代理):加(フィンランド)、仏(ベルギー)、独(スイス)、伊(オーストリア)、日(デンマーク)、ノルウェー(スウェーデン)、英(オランダ)、米(スペイン)
  • リストB 4か国(代理):クウェート(アラブ首長国連邦)、ナイジェリア(カタール)、サウジアラビア(インドネシア)、ベネズエラ(アルジェリア)
  • リストC 6か国(代理):アンゴラ(エジプト)、カメルーン(エリトリア)、中国(パキスタン)、インド(韓国)、ブラジル(アルゼンチン)、メキシコ(ペルー)

(3)総裁(President)

 事務局の最高責任者。総務会において、総票数の3分の2以上の多数による議決で任命される。任期は4年で、1期に限り再任され得る。現総裁はアルバロ・ラリオ氏(元IFAD副総裁補)。2022年10月1日より現職。事務局は副総裁1名、副総裁補4名、職員数902名(2025年12月末現在)

6 我が国との関係

  • (1)原加盟国として1977年2月に設立協定に署名。同年4月に批准。
  • (2)我が国の累計拠出(第13次増資までの通常累計拠出:実績額ベース)は、約6.6億ドル(2026年3月末現在)。
  • (3)第13次増資の拠出目標額(18.75億ドル)に占める我が国プレッジ額(4,269万ドル)の割合は2.3%であり、米(8.6%、16,200万ドル)、仏(8.0%、15,000万ドル)、伊(6.4%、11,918万ドル)、蘭(5.3%、10,000万ドル)、独(5.1%、9,587万ドル)、ノルウェー(4.8%、9,089万ドル)、中国(4.6%、8,700万ドル)、英(4.5%、8,372万ドル)、加(4.0%、7,439万ドル)スイス(2.9%、5,531万ドル)、クウェート(2.4%、4,500万ドル)に次ぎ第12位。(2026年3月時点)
  • (4)我が国の総務会における投票数は、米、蘭、独、伊に次いで第5位(2025年12月現在)。
  • (5)我が国は、開発途上国の農村女性支援を目的に、IFADにて各種調査、技術協力等を実施する「日・IFAD・WID基金」を平成7年に設立し、これまで累計約582万ドルを拠出(平成14年度限りで拠出を停止)。
  • (6)邦人職員6名(P3:5名、P2:1名(2025年12月現在))

7 業務

(1)融資及び無償資金の供与

 中心となる融資分野は、農業技術や生産性の改善、農村金融サービス支援、気候変動対策、農村事業者支援、バリューチェーン開発、市場アクセスの改善、ナレッジマネジメント、能力開発等。融資は信用が重要であるため、加盟国向け。また、無償資金供与はより大きな開発効果を生むことを目的として、主として加盟国、政府系組織(加盟国内)、学術機関等向け。

(2)融資条件

 償還期間、金利により高譲許的条件(債務免除の枠組みであるDSFグラントを含む)、ブレンド条件、通常条件に分類され、各々IDA(国際開発協会)、IBRD(国際復興開発銀行)中間、IBRD通常(前年下半期)の条件に準ずる。また、融資のうち、譲許的な条件で行うものは年間融資額のおおよそ3分の2程度とされている。

融資タイプ 満期期間(年) 据置期間(年)
(注)満期期間に含まれる
金利(%) 手数料(%)
グラント
超譲許的条件 50 10 0.10
譲許的条件 40 10 0.75
ブレンド条件 25 5 1.25 0.75
通常条件 最大35 最大10 市場金利考慮

(3)業務実績(2024年度年次報告による)

(業務全般承認実績)
年度 2020 2021 2022 2023 2024 1978~2024
貸付
(a)
承認件数
承認額
18
782.7
27
981.0
13
833.9
15
528.6
38
2,029.8
1,232
25,550.0
無償
(b)
承認件数
承認額
25
35
10
10.2
4
1.4
5
6.1
20
21.9
2,221
1,061.6
総額(a)+(b) 817.7 991.2 835.3 534.7 2,051.7 26,561.6

単位:百万ドル

食料安全保障へ戻る