地球環境
ワシントン条約第20回締約国会議
令和7年12月10日
会合の様子
11月24日から12月5日にかけて、ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)第20回締約国会議(COP20)がウズベキスタンで開催されたところ、概要と結果は以下のとおり。
1 会議の概要
- 11月24日から12月5日にかけて、ウズベキスタン(サマルカンド)で開催(全体会合:11月24日、第1・第2委員会:11月25日から12月3日、全体会合:12月4日及び5日)。
- ワシントン条約締約国会議は、3年に1度開催。締約国や常設委員会及び事務局の提案により、各種決議案、個別種の条約附属書掲載提案等が審議される(附属書I:商業取引禁止、附属書II:商業取引には輸出国の許可が必要)。
- 我が国からは、外務省、環境省、経済産業省、農林水産省(水産庁及び林野庁)による代表団が出席。条約の目的及び範囲との整合性、生物資源の持続的利用、科学的根拠に基づく取引規制等を確保する観点から、各議題における議論に対応した。
2 主な論点の議論・結果
(1)ニホンウナギを含むウナギ属全種の附属書II掲載提案について
- EU及びパナマによるウナギ属全種の附属書IIへの掲載提案は、11月27日(木曜日)に行われた第1委員会において、我が国、中、韓、印、豪、米、加、アフリカ地域グループ(50か国)、アジア諸国等が反対を表明し、【賛成35、反対100】で投票国の3分の1を上回る反対により、否決された。
- この第1委員会での投票結果は、12月4日(木曜日)の全体会合に報告され、同提案の否決が正式に決定された。
(2)日本の象牙国内市場閉鎖に関する決定案について
セネガル、ブルキナファソ等アフリカ4か国から、我が国における商業目的の象牙の国内取引を原則禁止することを求める決定案が提出された。これに対し、我が国のほか、EU、米、アジア及び南部アフリカ諸国から、同決定案の内容は科学的・客観的な根拠に基づいておらず、国内市場の規制はワシントン条約の権限を超える等の意見が多く示された結果、同決定案は不採択とされた。
(3)その他の附属書改正提案について
各締約国から提出された51の附属書改正提案に関する主な結果は次のとおり。コンセンサス又は投票(3分の2以上の多数で採択)で決定。
- オカピ:附属書Iに掲載。
- ゴールデンマンガベイ:附属書IIから附属書Iに移行。
- コシジロハゲワシ及びマダラハゲワシ:附属書IIから附属書Iに移行。
- ドルカスガゼル:附属書IIに掲載。
- ホフマンナマケモノ及びフタユビナマケモノ:附属書IIに掲載。
- ガラガラヘビ属全種及びヒメガラガラ属全種:附属書IIに掲載。
- クリイロナマコ属:附属書IIに掲載。
- ヨゴレ:附属書IIから附属書Iに移行。
- イトマキエイ科のエイ類:附属書IIから附属書Iに移行。
- ジンベイザメ:附属書IIから附属書Iに移行。
- ブラジルボク:附属書IIに留めた上で、注釈を改訂し、商業目的の取引を禁止し、また完成品の非商業目的の輸送のみ適用除外とすることが明記された。さらに、当該種の国際的な管理体制を関係各国が構築することを求める決定が採択された。
- チリヤシ:附属書Iに掲載。
- コミフォラ・ワイティイ:附属書IIに掲載。
- アンデスイヌマキ:附属書IIから附属書Iに移行。
(4)予算について
2026年から2028年までの事務局予算が承認された(21,223,935米ドル:対前期比6.98%増)。併せて、この間において各締約国が同事務局に支払うべき義務的拠出金の額も決定された(我が国の分担金は年平均474,693米ドル、分担率は約6.7098%で、米国、中国に次ぐ第3位)。
3 その他
第21回締約国会議(COP21)について
2028年にパナマで開催されることが決定された。

