G20(金融・世界経済に関する首脳会合)

令和7年7月28日

 7月23日から27日まで、松本外務大臣政務官は、G20開発大臣会合に出席するため、南アフリカ共和国東部に位置するクルーガー国立公園を訪問したところ、概要は以下のとおりです。

1 G20開発大臣会合

G20開発大臣会合に出席する松本外務大臣政務官
G20開発大臣会合で発言を行う松本外務大臣政務官

 7月24日及び25日に開催された同会合では、セッション1として「不正資金・社会的保護」、セッション2では「閣僚宣言」について議論が行われました。

(1)セッション1:「不正資金・社会的保護」

 松本政務官は、不正資金・社会的保護に関するセッションにおいて、分断と対立が深まる時代だからこそ、G20は、共通点と一致点を見いだし、持続可能な開発に向けた解決策を共創しつつ、全てのメンバーが責任を共有すべき旨述べました。
 また、松本政務官は、開発資金ニーズへの対応には多角的資金調達戦略が不可欠であるとして、被援助国が支援を提供する側に転じることによるドナーベースの拡大、不正資金対策を含む途上国内の資金動員、及び民間資金動員の重要性を強調しながら、スリランカにおける三角協力の支援や、本年、法改正を通じて国際協力機構(JICA)の金融手法等を拡充したことを含む日本の具体的取組を紹介しました。
 その上で、全ての開発協力提供者が、国際ルールやスタンダードを遵守した透明で公正な開発金融を行うよう、引き続きG20として取り組んでいくことを求めました。
 さらに、松本政務官は、こうした開発資金の確保は社会的保護の拡大にも繋がることを強調しました。
 最後に、松本政務官は、日本として、引き続き、人間の安全保障の理念の下、パートナーと解決策を共創しながら、開発課題の解決と質の高い成長に向けて力強く取り組んでいく旨表明しました。
 なお、本セッションでは、不正資金対策を含めた途上国内の資金動員の促進や、社会的保護の強化を通じた誰一人取り残さない包摂性の確保の重要性等について議論が行われました。

(2)セッション2:「閣僚宣言」

 松本政務官は、続いて、閣僚宣言に関するセッションにおいて、世界の開発における課題解決を主導していく上で、全てのG20メンバーが責任を共有するべき旨強調し、今こそ、知恵を結集し解決策を共創していく重要性を指摘した上で、国際社会が開発目標に向けて行動する原則や指針を示すことこそが国際公共財である旨述べました。
 この観点から、松本政務官は、日本が策定を主導した「質の高いインフラ投資に関するG20原則」に沿った質の高いインフラ投資促進、及びユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)も通じた人間の尊厳が守られる社会の実現に取り組む重要性を強調しました。
 また、松本政務官は、国際公共財には地域レベルの視点も重要である旨指摘した上で、日本が来月開催する第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)を取り上げつつ、アフリカの若者の雇用確保等のため、民間主導の成長を通じた産業力強化、若者や女性の人材育成、及び地域統合や域内外の連結性強化の観点が重要である旨述べました。
 最後に、松本政務官は、日本が70年以上実施してきた、人への投資を始め長期的視野に立った、日本らしい、きめ細やかな支援が、東南アジア等の新興国を、被援助国から開発協力のパートナーへと変容させることにつながった旨紹介した上で、こうした援助国・被援助国の関係を越えたパートナーシップを、アフリカを始め世界に広げていきたい旨表明しました。
 なお、本セッションでは各国から、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け、取組を加速化する重要性が強調されるとともに、不正資金、社会的保護とあわせ、G20開発作業部会における国際公共財に関する建設的な議論を歓迎する旨発言がありました。

2 二国間会談

 松本政務官は、G20開発大臣会合の機会を捉え、南アフリカ、英国、ドイツ、カナダの出席者と会談を行ったところ、概要は次のとおりです。なお、会談においては、特に開発資金に関して、特定の1か国に依存するのではなく、国際社会全体で多角的資金調達戦略を推し進めていくことの重要性を説明しました。

(1)マロペネ・リディア・ラマホパ南アフリカ共和国計画・監視・評価大臣

松本外務大臣政務官とラマホパ南アフリカ共和国計画・監視・評価大臣の会談の様子
ラマホパ南アフリカ共和国計画・監視・評価大臣と握手をする松本外務大臣政務官

 7月24日、松本政務官は、ラマホパ南アフリカ共和国計画・監視・評価大臣(The Honourable Ms. Maropene Lydia Ramokgopa, Minister of Planning, Monitoring and Evaluation)と会談を行いました。松本政務官から、G20南アフリカ議長国下で有意義な議論が行われたことに感謝を示した上で、本年3月にマシャティーレ副大統領が訪日する等、二国間関係の深化を嬉しく思う旨述べました。特に、南アフリカは日本企業にとって、アフリカ大陸進出のゲートウェイであり、同国への投資拡大のため、ビジネス環境の整備がより一層はかられることを期待する旨述べました。また、アフリカ諸国の自律的な発展の観点から、途上国の国内資金動員に向けた能力構築の重要性を強調しました。これに対し、ラマホパ大臣から、開発分野のみならず、日本企業を始めとする経済・貿易分野における日本の貢献に対する謝意が表明され、両者は、本年が南アフリカがG20議長を務め、日本がTICAD 9を開催する重要な節目であることから、二国間、国際場裡の両面で引き続きよく連携していくことで一致しました。

(2)ジェニー・チャップマン女男爵・英外務・英連邦・開発省閣外大臣との会談

松本外務大臣政務官とチャップマン英外務・英連邦・開発省閣外大臣との会談の様子
松本外務大臣政務官とチャップマン英外務・英連邦・開発省閣外大臣との記念写真

 同日、松本政務官は、チャップマン英外務・英連邦・開発省閣外大臣(Baroness Jenny Chapman, Minister of State, the Foreign, Commonwealth and Development Office)と会談を行いました。松本政務官から、昨今の開発援助の潮流に触れながら、日英両国の連携は一層重要となっている旨述べました。特に、開発資金ニーズに対しては、国内資金動員、被援助国が将来的に支援する側に転じることを通じたドナーベースの拡大や民間資金動員を推し進めていく必要がある旨述べました。また、松本政務官は、日英両国はこれまでアフリカにおいて積極的に関与してきていることから、アフリカにおける連携をさらに強化していきたい旨発言しました。これに対し、チャップマン閣外大臣から、両国の強みや知見を活かしながら、アフリカを始めとする国際場裡で連携を強化していく必要がある旨発言があり、両者は、今後も、開発協力における重要パートナーとして、緊密に協力していくことで一致しました。

(3)リーム・アラバリ=ラドヴァン独経済協力・開発大臣

松本外務大臣政務官とアラバリ=ラドヴァン・ドイツ経済協力・開発大臣の会談の様子
松本外務大臣政務官とアラバリ=ラドヴァン・ドイツ経済協力・開発大臣との記念写真

 7月25日、松本政務官は、アラバリ=ラドヴァン独経済協力・開発大臣(Ms. Reem Alabali-Radovan, Federal Minister for Economic Cooperation and Development)と会談を行いました。松本政務官から、昨今の開発援助の潮流に触れながら、日独両国の連携は一層重要となっている旨述べました。特に、開発資金ニーズに対しては、国内資金動員、被援助国が将来的に支援する側に転じることを通じたドナーベースの拡大、民間資金動員を推し進めていく必要がある旨述べました。また、今次のG20開発大臣会合の成果を具体的な行動に繋げていく必要性を強調しました。これに対し、アラバリ=ラドヴァン大臣から、日独両国は同じ問題意識を共有しており、G7を始めとする同志国でより緊密に連携していくことが重要である旨発言があり、両者は、今後も開発分野における協力を強化していくことで一致しました。

(4)ランディープ・サライ・カナダ閣外大臣(国際開発担当)との会談

松本外務大臣政務官とサライ・カナダ閣外大臣(国際開発担当)の会談の様子
サライ・カナダ閣外大臣(国際開発担当)と握手をする松本外務大臣政務官

 同日、松本政務官は、サライ・カナダ閣外大臣(国際開発担当)(The Honourable Randeep Sarai, Secretary of State for International Development)と会談を行いました。松本政務官から、G7カナナスキス・サミットの成功に敬意を表した上で、日本とカナダは「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上で重要なパートナーであり、開発分野を含め、引き続き戦略的パートナーシップを強化していきたい旨述べました。また、松本政務官は、昨今の開発援助の潮流に触れながら、開発資金ニーズに対しては、国内資金動員、被援助国が将来的に支援する側に転じることを通じたドナーベースの拡大、民間資金動員を推し進めていく必要がある旨述べました。これに対し、サライ国務大臣から、今後も民間資金動員の促進等の知見を共有していきたい旨発言があり、両者は、今後も、日加間の戦略的パートナーシップ強化に向けて、多様な分野において協力を強化していくことで一致しました。

(5)その他

 このほか、松本政務官は、インドネシア、豪州、韓国、サウジアラビア、トルコ、オランダ、エジプト、シンガポール、ノルウェー、ポルトガル、OECD及びUNHCRからの出席者と短時間懇談を行い、開発分野における協力について意見交換を行いました。

3 「アフリカ開発ダイナミクス2025」報告書に関するサイドイベントへの出席

サイドイベントに出席し、挨拶を行う松本外務大臣政務官

 7月24日、松本政務官は、経済協力開発機構(OECD)及びアフリカ連合委員会(AUC)が共催した、「アフリカ開発ダイナミクス2025」報告書に関するサイドイベントに出席しました。
 松本政務官から、G20が初めてアフリカで開催される本年に、G20とアフリカのパートナーシップを強化する本報告書が発出されることは時宜を得たものである旨述べました。また、インフラや民間資金等の全ての資金源の動員の重要性を指摘する本報告書を評価した上で、日本は70年以上の国際協力で一貫してインフラを重視しており、2019年には日本主導の下、G20で質高インフラ投資原則を策定するなど、報告書の指摘を体現している旨述べました。さらに、インフラ構築には、資金のみならず人材が必要である旨を強調した上で、日本は長年、人間の安全保障の理念の下、若者や女性を含む、アフリカにおける人材育成を着実に行ってきた旨発言しました。最後に、松本政務官は、本年は、G20がアフリカで初開催され、TICAD 9も行われる、アフリカ開発のモメンタムイヤーであることから、活発な議論を行い、革新的な課題解決策を共創していくことへの期待を表明しました。

(参考1)G20メンバー及び今般の開発大臣会合における招待国・国際機関

  1. G20
    日本、南アフリカ(議長国)、アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、AU(アフリカ連合)、EU(欧州連合)
  2. 招待国
    アイルランド、アラブ首長国連邦、エジプト、オランダ、シンガポール、スペイン、デンマーク、ナイジェリア、ノルウェー、ポルトガル
  3. 招待国際機関
    アフリカ開発銀行(AfDB)、アフリカ連合開発庁-アフリカ開発のための新パートナーシップ(AUDA-NEPAD)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)、サウス・センター、国連児童基金(UNICEF)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連開発計画(UNDP)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連(UN)、国連食糧計画(WFP)、世界銀行

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