気候変動
「第15回ペータースベルク気候対話」の結果について
2024年4月25日~26日、ドイツ連邦共和国・ベルリンにおいて、「第15回ペータースベルク気候対話」が開催されました。
我が国からは、松澤環境省地球環境審議官、水野外務省国際協力局気候変動課交渉官ほかが出席しました。概要は以下のとおりです。
1 会合の概要
(1)日程・場所
2024年4月25日~26日ドイツ連邦共和国・ベルリン
(2)主催
ドイツ連邦共和国及びアゼルバイジャン共和国
(3)出席者
ドイツ連邦共和国、アゼルバイジャン共和国(国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第29回締約国会議(COP29)議長国)、主要先進・途上国の閣僚級、UNFCCC事務局長等が出席。我が国からは、松澤環境省地球環境審議官、水野外務省国際協力局気候変動課交渉官ほかが出席した。
2 議論の概要
今次会合では、ドイツ連邦共和国のベアボック連邦外務大臣、アゼルバイジャン共和国のババエフ環境天然資源大臣等による基調講演が実施された。また、2024年11月にアゼルバイジャン共和国で開催予定のCOP29の成功に向け、野心と実施を進展させる国際的な資金フレームワーク、目的に沿った効果的で公平な新規合同数値目標(NCQG)、1.5℃目標及び気候に対して強靱な開発に整合した投資のための気候変動対策計画が主要議題として議論された。
会合後、共同議長から会合での主な議論の概要をまとめた総括が発出された(総括の全文(英語)(PDF) )。総括は共同議長の責任で作成されたものであり、その概要は以下のとおり。
共同議長による総括の概要(抜粋仮訳)
ペータースベルク気候対話は過去15年にわたり、毎年開催されるCOPに向け、気候協力に関する高度な政治的議論を行う重要な場を提供してきた。今年の共同議長であるドイツ連邦共和国のアナレーナ・ベアボック外務大臣とCOP29議長となるアゼルバイジャン共和国のムフタル・ババエフ環境天然資源大臣は、37か国からの閣僚・ハイレベル代表、UNFCCC事務局長、UNFCCCオブザーバー参加国の代表、市民社会、企業、若者の代表を迎えた。米国カリフォルニア州ゲビン・ニューソン知事がオンラインで基調講演を行った。
ドイツ連邦共和国のオラフ・ショルツ首相とアゼルバイジャン共和国のイルハム・アリエフ大統領が閣僚級セッションで演説した。ショルツ首相は、COP28とパリ協定の成功の上に、各国の気候変動対策計画を構築することは経済合理性があること強調し、気候変動対策と成長のパッケージとしての欧州グリーンディールを紹介した。同首相は、ドイツ連邦共和国が2022年に60億ユーロの気候変動資金を提供するという約束を守ったことを強調し、すべての国にとってNDCの更新がグリーン技術への投資のセーフガードとなる機会となりうることを指摘した。アリエフ大統領は、自国がCOP29の主催国に満場一致で選ばれたことに関し、国際社会の信頼に感謝の意を表した。同大統領は、気候変動がもたらす課題への対応に有意義な貢献を行い、COP29を成功させるというアゼルバイジャン共和国の強いコミットメントを再確認した。
ペータースベルク気候対話では、気温上昇を1.5℃に抑えるための実施に焦点が当てられた。COP29におけるNCQGの決定、資金と投資の拡大、1.5℃に整合したNDCが経済全体の変革に果たす役割、及び財務・経済担当閣僚との連携の重要性が、参加者に認識された。
3 その他
我が国からは、松澤環境省地球環境審議官より、COP28の第1回グローバル・ストックテイクの成果を踏まえ、全ての国、とりわけ主要経済国に対して、最新の科学に基づき、野心的で、1.5℃目標に沿った、経済全体・全ての温室効果ガスを対象とした総量削減目標を含む次期NDCを策定することを呼びかけた。また、非CO2ガスの世界的な排出削減に関し、フロンや廃棄物分野のメタン削減等において我が国の知識と経験を共有していく旨、発言がなされた。更に、世界各国に対し、COP29よりも十分前に隔年透明性報告書を提出すること、COP29においてパリ協定6条の完全運用化を目指すべきことを呼びかけ、COP29成功への貢献に強いコミットメントを示した。