ODAと地球規模の課題
第3回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話(概要と評価)
平成26年11月4日
10月31日,我が国の議長により,第3回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話が横浜で開催されたところ,概要と評価は以下のとおり。
1 出席者
ポンロック・カンボジア・グリーン成長委員会事務局長,シドゥ豪州外務貿易省多国間政策局第一次官補,アマンダ・インドネシア国家気候変動評議会調整官,ロガヤ・マレーシア・エネルギー・環境技術・水資源省局長,李・韓国外交部国際経済局長,ポーティサット・ラオス天然資源環境省森林資源局次長,リン・ミャンマー環境保全・林業省計画統計副局長をはじめとする東アジア首脳会議(EAS)15カ国の代表のほか,国際機関より,国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP),経済協力開発機構(OECD),国連開発計画(UNDP),国連環境計画(UNEP),国連工業開発機関(UNIDO)の代表が出席。さらに,地方自治体(マレーシア・セベランペライ市,横浜市)及び民間企業(インドネシア及びタイの民間企業,新日鐵住金株式会社)の代表が参加した。
我が国からは,城内外務副大臣(セッション1議長),尾池外務省地球規模課題審議官(セッション2議長)、田中環境省大臣官房審議官,三又経済産業省大臣官房審議官等のほか,JICA及びJBICより代表が出席。
- 出席者一覧(PDF)(55KB)
2 概要
- 今回の第3回対話では、(1)低炭素成長に向けた官民連携と技術移転(セッション1)、(2)都市の低炭素成長とステークホルダー間のネットワーク作り(セッション2)をテーマに、昨年開催された第2回対話の結果も踏まえた議論が行われた。
- 官民連携についての議論では,特に、低炭素成長の実現には民間の視点が重要であること、また、民間投資を促進するためには経済的なインセンティブと安定的な政策的枠組みが必要であることが確認された。
- 技術移転に関しては、とりわけ、現地のニーズに基づいた適正技術の移転が必要であることが指摘された。また、インドネシア及び我が国より、同日インドネシアで開催された合同委員会において、二国間クレジット制度の最初のプロジェクトが登録されたことを発表した。
- さらに、低炭素成長プロジェクトにおいて長期に亘る成果を得るためには、官民連携に加え、地方自治体、市民社会、NGO、有識者等の様々なアクターとの協力が必要であることが確認された。
- 都市レベルの低炭素成長に関するセッションでは,都市の低炭素化を効果的に推進するための様々な自治体(特に、横浜市及びマレーシア・セベランペライ市)の取組が紹介されたほか、地域コミュニティの住民による取組への参加が有益であること等が指摘された。また、世界の様々な都市における経験を共有することが有益であることも確認された。
- さらに,政府,自治体,民間等の幅広いアクターが連携していくためのネットワークの有用性についても議論が行われ,第1回対話で発足した東アジア低炭素成長ナレッジ・プラットフォームの活動についても言及がなされた。
- 今次会合の結果については議長サマリーにまとめた上で,東アジア首脳会議(EAS)に報告されることとなった。
3 評価
- 東アジア低炭素成長パートナーシップ対話は,世界経済の成長センターである とともに,世界最大の温室効果ガス排出地域である東アジア首脳会議(EAS)地域において,低炭素成長に向けた取組を地域レベルで推進するため,日本が2012年から主導してきた政策対話である。3回目の今回は,低炭素成長に向けた官民連携及び技術移転,都市の低炭素化について各国のベストプラクティスや課題につき具体的に議論することができ,将来的な取組強化へとつながる礎を築くことができた。
- 今次対話は,横浜市と日経BP社が開催している「アジア・スマートシティ会議」及び「スマートシティウィーク」と連携して開催されたほか,各国及び国際機関代表に加え,民間企業や地方自治体からも出席者を迎えたことから,会合の議論に実務的視点を加えることができた。また,我が国民間企業の輸出や対外投資の後押しを図るべく,参加者を「スマートシティウィーク」の企業展示に案内し,我が国の優れた低炭素技術を紹介した。