外交政策
島嶼国向け気候変動政策対話 結果概要
平成26年7月7日
1. 気候変動分野における支援・協力についての意見交換(2日)
(1)気候変動交渉
2015年12月のCOP21に十分先立ち示すこととなっている約束草案(Intended Nationally Determined Contributions)やCOP21で合意されることになっている2020年以降の新たな国際枠組みにおける適応の位置づけ等について活発な議論が行われた。
(2)JCM(二国間クレジット制度:Joint Crediting Mechanism)の現状と今後の展望
我が国から二国間クレジット制度の概要と取組の現状について説明を行い,その後,既に二国間クレジット制度に合意済みであるモルディブ,パラオがそれぞれの現状について説明した。一部の他の島嶼国の参加者からも同制度への関心が表明された。
(3)日本による島嶼国支援
我が国から昨年11月に発表した「攻めの地球温暖化外交戦略-Actions for Cool Earth, エース(ACE)」を説明するとともに,我が国の島嶼国支援,特に適応への支援の例を紹介した。島嶼国側からは我が国によるこれまでの島嶼国支援に対して感謝の意が表明されるとともに,設備の維持・管理などを含む包括的な支援への期待が表明された。また,島嶼国が我が国に期待する支援について率直な議論が交わされた。
2.環境施設の視察及び日本企業からのプレゼンテーション(3日)
複数の我が国企業から各自の気候変動対策に関する具体的な取組や技術の島嶼国への移転等に関するプレゼンテーションが行われた。その後,自然災害全般のリスクを定量的に把握するための実験施設や,最新鋭の高層ビルにおけるコージェネレーション施設などの視察を行った。参加者からは,日本の省エネやCO2排出削減に関する先進的な技術・取組とともに高い防災技術を直接見聞でき,また,それらの技術の島嶼国への展開についても実例を知る貴重な機会となったとの感想が述べられた。
3.様々なステークホルダーとの議論(4日)
島嶼国の地域機関であるカリブ共同体気候変動センター(5Cs)と太平洋地域環境計画(SPREP)の参加者からそれぞれ地域機関の役割と気候変動対策への具体的な取組について説明が行われた。その後,気候変動に関する民間を含めた様々なステークホルダー(民間企業,研究機関,支援機関,NGO等)を交え,幅広い観点から日本と島嶼国の協力関係に関する議論を行った。議論を通じ,様々な条件を抱えた島嶼国においては,地域的な取組みとともに個別の対応が必要との意見や,気候変動問題への理解を深めるためにも我が国と島嶼国との間で,一層の関係の強化の必要性などが確認された。参加国からは,我が国の様々なステークホルダーから直接意見を聞く貴重な機会となった,我が国と島嶼国との更なる協力関係の可能性を確認できたとの評価が得られた。
4.NAMA(途上国による適切な緩和行動)ワークショップ(4日)
参加国を複数のグループに分け,グループごとにNAMA(Nationally Appropriate Mitigation Actions:途上国による適切な緩和行動)ワークショップを行った。NAMAとしてどのような気候変動策を講じたいか,NAMAを実行するために何ができ,どのような障害を抱えているか,また先進国に現在どのような支援を期待するかといった一連の問いをグループごとに議論し,その後まとまった案のプレゼンテーションを行った。本ワークショップを通じて島嶼国が具体的にどのような課題に直面し,また我が国にどのような支援が求められているかが明確に認識された。