気候変動

第15回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合

平成29年3月14日

英語版 (English)

1 会合の経緯

 「『気候変動に対する更なる行動』に関する非公式会合」(略称:日伯非公式会合)は,我が国とブラジルが共同議長を務め,2002年から毎年東京にて開催しています。この会合は,各国の交渉実務担当者(首席交渉官級)が非公式な形で率直な議論を行うことを目的としたものです。また,同会合は,前年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)の成果を振り返り,その年のCOPまでの交渉の方向性を議論する機会であり,一年間の気候変動交渉・会合の口火を切る会合として重視されています。

2 日程・場所・共同議長

(1)日程:
3月9日(木曜日)~10日(金曜日)
(2)場所:
東京(三田共用会議所)
(3)共同議長:
(日本側)相星孝一・外務省地球規模課題審議官
(ブラジル側)アントニオ・マルコンデス外務省副次官

3 参加国・オブザーバー

(1)参加国(32か国・機関)

アルゼンチン,豪州,ボリビア,ブラジル,カナダ,中国,コロンビア,コンゴ(民),エクアドル,エチオピア,欧州委員会,フィジー(COP23議長国),フランス,ドイツ,インド,イタリア,日本,モルディブ,マルタ,マリ,マーシャル諸島,メキシコ,モロッコ(COP22議長国),ニュージーランド,ノルウェー,ロシア,サウジアラビア,シンガポール,南アフリカ,スイス,英国,米国

(2)オブザーバー

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局,パリ協定特別作業部会(APA)共同議長,科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)議長,実施に関する補助機関(SBI)議長,Center for Climate and Energy Solutions(C2ES)

4 議論の概要

(1)セッション1「COP22の成果とCOP23への期待」

 昨年11月に開催されたCOP22の成果及び本年11月に開催されるCOP23のあり得べき成果について,モロッコ及びフィジーの両議長国を交えて意見交換を行いました。COP22の成果として,多くの国がパリ協定の実施指針等に関し,本年5月までの作業方針及び2018年の策定期限が決定したことを指摘しました。COP23の期待に関しては,議長国のフィジーから,COP開催の準備状況について説明があると共に,パリ協定に係る実施指針等の策定作業の進展,「2018年促進的対話」の準備,アクション・アジェンダ等の分野を重視している旨の説明がありました。

(2)セッション2「2018年促進的対話の準備」

 2018年に予定される「促進的対話」について,本年COP議長国によるコンサルテーションが実施されるのを前に,同対話の構成等について初めて主要国間で意見交換が行われました。同対話については,2020年の削減目標の提出・更新に資する重要な機会であり,促進的な性質なものとすることについては概ね意見の一致を見ましたが,その対象・方法・成果物等については様々な見解が示されました。

 

(3)セッション3「長期低排出型発展戦略の策定」

 パリ協定において全ての締約国が長期低排出型発展戦略を策定・提出するよう努力すべきであると定められているところ,各国における同戦略の位置付け,策定に係る経験や教訓の共有,各国の準備状況等について,意見交換が行われました。既に同戦略を提出済みの国々から,同戦略の策定プロセスは将来の気候変動対策及び低排出型経済への移行に係る検討に資するものであり,提出済みの同戦略については今後とも見直しを続けていく旨の説明がありました。

 

(4)セッション4「パリ協定に係る実施指針等の策定作業の進展」

 COP22において,パリ協定の実施指針等の策定期限が2018年と決定されたことを受け,特に本年の作業の進め方について議論されました。多くの国がパリ協定のバランスを維持すると共に,各作業間の関連性を認識しつつ,実施指針等の策定作業を加速化する必要性について指摘しました。その加速化のため,概念的な議論だけでなく,具体的なテキストに基づいて議論すべきとの意見や,非公式会合を通じて政治的モメンタムを維持することの重要性について指摘する意見が多く上がりました。

 

(5)セッション5「気候資金関連機関の最大活用」

 開発途上国による気候変動対策を支援するための気候資金に関し,国連気候変動枠組条約及びパリ協定の下での資金メカニズムやその他の関連機関の調整を強化し,気候資金を効果的に活用する方策等について議論されました。この中で,緑の気候基金(GCF)の重要性,各機関の重複及び補完性,民間資金の動員の重要性及びそのための課題についての指摘が多くあったほか,適応基金については様々な意見が上がりました。

5 今次会合の意義

 今次会合は,国連気候変動枠組条約の附属書I国である日本及び非附属書I国であるブラジルのリーダーシップの下,2018年と定められたパリ協定に係る実施指針等の策定期限を見据え,今年一年の気候変動交渉の方向性を探るために,主要な先進国及び開発途上国がそれぞれの考え方や関心・懸念事項等を表明し,それらについて理解を深める上で極めて有意義な機会となりました。米国の新政権発足後に初めて開催される主要な気候変動関連会合となり,注目を集めましたが,引き続き米国の参加を得た上で開催されることとなりました。

 本件会合は,主要国が「2018年促進的対話」の構成等について本格的に議論する初めての機会となりましたが,各国から様々な見解が示され,今後コンサルテーションを実施する両議長国にとって有益な機会になったものと評価できます。また,参加国の間で,今次会合の議論を踏まえつつ,今年一年間の正式な国連交渉及び関連する非公式会合等のスケジュールを念頭に実施指針等の策定作業を進めていくとの意識が共有されたことも大きな成果となりました。

 このほか,島嶼国として初めてCOP議長を務めるフィジーが,会合全体を通じて主要国から様々な課題に関する意見を聴取し,協議する機会が得られたことは,COP23の円滑な運営及びあり得べき成果の検討に大いに貢献するものと期待されます。

 日本は,共同議長国として各国関係者の活発な議論を促すように努力したほか,今年11月に開催されるCOP23に向けて実施指針等の策定作業を加速化させるため,引き続き積極的に交渉に貢献していくとの姿勢の下,様々な課題に関して日本の立場を表明しました。


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