気候変動

令和2年8月3日

 7月7日、第4回カナダ・EU・中国主催による閣僚会合(Ministerial on Climate Action: MOCA)がオンラインで開催された。本会合の概要は以下のとおり。

1 会合の概要

(1)日程・場所

 令和2年7月7日(火曜日)オンラインで開催

(2)主催

 カナダ、中国、EU

(3)参加国等

 議長であるカナダ、中国、EU並びに、34カ国の主要国の閣僚級、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長等が出席。我が国からは小泉環境大臣、森下環境省地球環境審議官、瀬川大臣官房審議官、髙杉外務省国際協力局審議官、矢作経産省環境問題審議官他が出席した。

2 議論の概要

  • (1)本会合は、主要国の閣僚等が参加し、新型コロナ及びそれに伴う深刻な経済危機が生じている中で、復興対策と気候変動対策の課題について議論するために開催された。議論の概要は共同議長サマリー(英文)(PDF)別ウィンドウで開くとしてとりまとめられた。議長サマリーの概要は以下(2)~(8)のとおり。
  • (2)閣僚は、進行中の新型コロナウイルスによるパンデミックとそれに伴う経済危機が、市民と社会にかつて無い負担をかけ、人々の生命と暮らしに影響を与えていること、そして地域ごとに復興に向けた道筋の様々な段階にあることを認識した。この文脈において、閣僚はどの地域、国も取り残されないようにするためには、集中した世界的な取組が必要であると留意しつつ、多国間主義と連帯の重要を改めて強調した。
  • (3)コロナ禍においても、気候変動は緊急かつ野心的な世界全体での取組を必要とする地球規模の脅威であることを踏まえ、閣僚は、SDGs・気候変動枠組条約・パリ協定に沿って、より持続可能で包括的かつ強靱な社会を築きながら、経済を再建するための、前例のない機会であると認識した。すべての政府は、市民を新型コロナウイルス等の外部的な衝撃から保護することに加えて、多国間主義を維持し、気候変動に対する具体的行動を推進し、そして気候変動の影響に対処する上で重要な役割を担っている。閣僚は、今こそが新型コロナウイルスからの復興を、低炭素で、気候変動に対して強靱な経済への移行と共に進めることを確実にする時であるという、明確な政治的シグナルを送った。
  • (4)閣僚から、経済復興計画と、パリ協定下における国が決定する貢献(NDC)や長期戦略を整合させる方法について、具体例が共有された。多くの閣僚が、持続可能な低炭素経済への移行を促進する、交通分野における電化(electric mobility)、自然を基盤とした解決策(nature based solutions)、インフラ、クリーンテクノロジー等への長期的な投資を含め、各国の計画がどのように雇用創出・包摂的な成長を優先するかについて、例を共有した。多くの閣僚から、世界全体での低炭素移行における重要な要素として、再生可能エネルギーの増加、石炭火力発電からの排出のフェーズアウトの重要性について言及があった。その他の国からは、復興に向けた取組の一部として生物多様性、廃棄物、水管理対策を行う際に、社会の強靱化と新型コロナウイルス対策のシナジーから生じる、市民生活や生態系に対するポジティブな影響についても期待が寄せられた。
  • (5)閣僚は、低炭素および気候レジリエントな投資を通じて、より良い復興(Build back better)を可能にするような復興を支持した。また、潜在的な貢献が見落とされ、また誰ひとり取り残されることのないように、公共・民間のステークホルダーを含む非国家主体のエンゲージの重要性についても強調された。
  • (6)開発途上国、特に最も貧しく脆弱な国々が、新型コロナウイルスの感染拡大によって引き起こされた、公衆衛生と経済の危機とあいまって、気候変動による最も厳しい影響に直面しており、さらに深刻な結果をもたらす可能性がある。閣僚は、世界的な連帯を呼びかけると共に、復興計画が低炭素で強靱な社会へと公正な移行と、貧困と不平等の解決を可能にすることを確実にするため、資金や技術移転、キャパシティ・ビルディングの重要性を強調した。
  • (7)既存・新規のイニシアチブの双方を通じた二か国間及び多国間協力は、各主体が学びあい、資源を動員し、グリーンリカバリーによる全体の利益を最大化するのに役立つ。多くの閣僚が、先進国による支援と、支援の受入国、国際金融機関、開発金融機関及びその他のステークホルダーの間の継続的な対話の重要性を強調した。
  • (8)グリーンで持続可能な復興を実現するためには、決定に加えて、包括的で、科学によって強調された緊急性に対応し、気候行動、経済成長及び社会開発の課題に相互補完的に対処する長期的なビジョンが必要である。この決定とビジョンは、NDCの通報または更新及び2020年までの長期戦略の策定という、パリ協定に沿った現在のコミットメント実施のための取組に反映される必要がある。途上国への支援は野心的な世界的行動を可能にするため、重要な取組の一部であり続ける。
  • (9)我が国は、小泉環境大臣から、石炭火力に関する日本の変化として、エネルギー担当大臣から、国内の非効率な石炭火力のフェードアウト等に向けた取組の具体化の検討を今月中に開始し、とりまとめるよう指示がなされたこと、関係省庁で石炭火力の輸出支援要件を見直すことに合意した点を紹介した上で、ア コロナ後の経済社会の再設計(Redesign)により脱炭素、循環経済、分散型社会への3つの移行を進めるべきこと、イ 先日、防災担当大臣との共同メッセージでも示した「適応復興」の考えに基づき社会の強靱性(Resilience)を追求すべきこと、ウ 新型コロナウイルスと気候変動、この二つの問題に取り組む上で国際連携が必要であることを述べた。その上で、9月3日に日本が主催する「オンライン・プラットフォーム」閣僚会合への参加を呼びかけた。

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