経済

貿易と環境
議長報告書の概要

平成23年4月26日

1.概要

  1. (1)「貿易と環境」交渉においては,1)多国間環境条約(以下,「環境条約」)とWTOルールの関係整理,2)同条約事務局とWTOの関係強化,3)環境物品の関税削減・撤廃等について議論が行われている。4月21日,ティハンキ「貿易と環境」交渉議長(フィリピン大使)から,議長報告書が発出された。
  2. (2)今回はテキストの発出までは至らず,議長報告にとどまったが,それぞれの項目につきこれまでの議論を包括的にとりまとめたものであり,その中で前向きな成果がいくつか示されている。

2.ポイント

(1)環境条約とWTOルールの関係整理

  1. ア 環境条約に定められている特定貿易義務(例:ワシントン条約における希少動植物の輸出入規制等)とWTOルールの抵触を避け,円滑に運用するための原則について議論。
  2. イ 報告書には,1)環境条約とWTOルールを円滑に運用するためには,各国の関係当局による国内調整が極めて重要であること,2)途上国が適切な執行を行えるように,技術協力・キャパシティ・ビルディングを行うこと,等の要素が盛り込まれた。また,成果文書は閣僚宣言とする案が示された。

(2)環境条約事務局とWTOの関係強化

  1. ア 環境条約事務局に対し,WTOにおけるオブザーバー資格を与え,情報共有を強化することの必要性について議論。
  2. イ オブザーバー資格及び情報共有の必要性については,概ね各国の合意形成がなされたことが報告された。今後,オブザーバー資格の申請方法等の細部の論点について議論を進める。

(3)環境物品の関税削減・撤廃等

  1. ア 環境物品として関税削減・撤廃の対象とする品目の選定については,これまで各国(日本,シンガポール,フィリピン,フレンズ国等)が提案した品目を提示しつつ,これまでの交渉会合における技術的作業により,環境物品の範囲・定義についての議論が進展したことを報告。
  2. イ その他,関税引下げの方法,途上国の扱いや非関税障壁等の論点についても,収れんに向けて議論が進展したことを報告。
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