経済

貿易円滑化交渉
統合テキスト案の概要

平成23年4月26日

1.概要

  1. (1)貿易円滑化(Trade Facilitation)は,貿易手続を簡素化・迅速化することにより,物流コストを低下させ,貿易の拡大を目指すもの。GATT第5条(通過の自由),同第8条(輸入及び輸出に関する手数料及び手続き),同第10条(貿易規則の公表及び施行)をより具体的に規定した,貿易円滑化に関する協定を策定することが予定されている。
  2. (2)貿易円滑化交渉グループにおいては,各メンバーから提出された条文提案を統合したテキスト案(統合テキスト案)に基づき議論が行われており,これまで統合テキスト案が累次にわたり改訂されている。
  3. (3)今回発出された統合テキスト案(改訂第8版)では,意見の収れんに至っていない箇所に約800個のブラケット(注:[ ]のこと。案文が固まっていないことを示す。)が付されているが,これまでの交渉により,ブラケットの数は当初の約2,000個から着実に減少している。

2.ポイント

(1)第1部 メンバーが実施すべき措置

 第1条から第12条まであり,法令等の公表などによる透明性・予見可能性の確保にかかる措置,貨物到着前における輸入書類等の税関への提出手続導入や所要書類の削減などによる貿易手続の簡素化・迅速化にかかる措置,輸出入国間の情報交換による税関協力にかかる措置等について規定している。

(2)第2部 開発途上国及び後発開発途上国のための特別かつ異なる待遇(S&D)

 各途上国が,第一部に規定されている措置を,それぞれの実施能力に関連づけて,(ア)協定発効と同時に実施できるもの(カテゴリーA),(イ)実施のための移行期間が必要なもの(カテゴリーB),(ウ)実施のための移行期間とともに,技術支援及びキャパシティ・ビルディングが必要なもの(カテゴリーC)の3つに分類すること,措置の実施計画の通報手続等について規定している。

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