経済

サービス交渉
議長報告書の概要

平成23年4月26日

1.概要

  1. (1)サービス交渉では,サービス貿易における市場アクセスの進展とルール面の強化について交渉が続けられており,4月21日,デ・マテオ サービス交渉議長(メキシコ大使)から,サービス交渉の現状評価に関する交渉議長報告書が発出された。
  2. (2)同報告書は,議長自身の責任の下,サービス交渉の各分野(下記2.参照)について,これまでの成果,残された埋めるべき懸隔及び今後の可能な取り進め方を示すもの。
  3. (3)同報告書で議長は,2011年1月以降加盟国は積極的に交渉を行ったが懸隔は残されている,また,二国間協定での自由化の取り組みを引き合いに出しつつ,サービス交渉における野心的な成果は加盟国の国内諸政策と矛盾するものではなく,今後の交渉の進展はドーハ・ラウンドにおける他の交渉分野(取り分け農業・NAMA(鉱工業品等)の市場アクセス交渉)の進展によるとした。

2.ポイント

(1)市場アクセス(外資参入制限の撤廃等)

 加盟国は,更なる作業を行う必要があることについて意見の一致を見る一方,自由化要求に対する十分な反応が得られず2008年7月以降進展が見られない(又は僅か)とする推進派(先進国中心)と,要求には既に十分に対応しているとする消極派(途上国中心)との間で分かれていることを指摘。

(2)国内規制(事業免許や資格の取得手続き等の透明化・簡素化)

 2011年に入り集中的なドラフティング作業を行ったものの,規律の根幹となる重要事項についても加盟国間の立場に十分な収れんが見られず,改訂議長テキスト案の発出には更なる議論が必要であるとした。

(3)GATSルール(セーフガード,政府調達及び補助金に関する規律作成)

 サービスにおけるセーフガード,政府調達,補助金のいずれの分野においても規律作成の必要性について加盟国間で合意が得られておらず,規律案に基づく具体的な議論に移ることができない状況が続いているとした。

(4)LDCモダリティ(後発開発途上国(LDC)に対する特別待遇の供与)

 現行の規律案に関する議論は建設的ではあるが十分ではなく,特別待遇の種別やその対象範囲が主要な論点として引き続き残されているとした。

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