経済

農業交渉
議長報告書の概要

平成23年4月26日

1.概要

  1. (1)4月21日(木曜日),ウォーカー農業交渉議長(ニュージーランド大使)より,現在までの交渉の現状評価を趣旨とする交渉議長報告書が発出された。
  2. (2)農業交渉では,(ア)農産品の関税率の一定方式による削減(市場アクセス),(イ)国内の農業補助金(国内支持)の一定方式による削減,(ウ)輸出補助金の全廃等が議論されてきたところであるが,本報告書では,2008年12月に発出された議長テキスト(モダリティ案)を改訂するまでの進展は見られない旨を報告。貿易交渉委員会(TNC)のガイダンスを得た上で,今後の作業の進め方につき協議したいとしている。

 同報告書のポイントは以下のとおり。

2.ポイント

  1. (1)我が国に重要な未解決論点に関しては,
    1. ア 階層削減方式の関税削減の例外となる重要品目について,「カナダ及び我が国が重要品目の数の追加を要求しており,このような柔軟性が受け入れられるか否か,受け入れられる場合に,どのような代償を支払わなければならないかが論点」としている。
    2. イ 削減後の関税率に設定される上限(上限関税)については,我が国はこれを認めないという立場であるところ,「重要品目以外の一般品目について,上限関税適用の例外が認められるか否かを巡り鋭く対立。これが認められる場合でも,議長テキストで示された支払いは適切かという点について異なる意見がある。」としている。
    3. ウ 重要品目の指定に際し必要となる関税割当の新設については,テキストにおいて認否両論が併記されているところであるが,「立場は対立したままである」一方で,現行「作業文書に基づく技術的議論を継続することには反対は無く,透明性の確保が鍵」としている。
  2. (2)2008年12月テキストで未解決とされた論点のうち,最大の懸案である途上国向けのセーフガード(SSM)については,「問題解決を可能とする案は未だ示されていない」としている(注)

    (注)厳しい発動条件を求める輸出国(米国等)と緩やかな発動条件を求める輸入途上国(中国,インド等)が大きく対立している。

  3. (3)このほか,米国の国内支持政策,綿花補助金の削減,途上国の輸出関心品目である熱帯産品の関税削減,途上国向けの関税削減の例外となる特別品目の取扱などについても,実質的な進展はなかったとしている。
このページのトップへ戻る
WTOドーハ・ラウンド交渉(交渉議長報告書等の発出) | ドーハ・ラウンドの主要な動き(閣僚会議等) | 目次へ戻る