国連

ポストMDGsサイドイベント「ポスト2015年開発目標に関するハイレベルパネルとの公開対話」における玄葉外務大臣発言(抜粋)

平成24年9月25日
英語版

開会

 御列席の皆様,

 私は,日本国外務大臣の玄葉光一郎です。共催国・機関を代表し,ポスト2015年開発目標に関する本サイドイベントに参加頂いた皆様を,歓迎いたします。

 昨年の国連総会において,私はここに列席のクラークUNDP総裁を始めとする関係者と共に,ミレニアム開発目標の達成に向けた国際社会の取組を加速化するためのサイドイベントを開催いたしました。

 MDGs達成に向けた取組の重要性はいささかも薄れていませんが,同時に,2015年を超えた世界を見据えた議論を本格化すべき時に来ています。私は,潘基文国連事務総長が「ポスト2015年開発目標に関するハイレベルパネル」を立ち上げられたことを歓迎いたします。

 このサイドイベントは,このハイレベルパネルのメンバーと,NGO,研究機関,民間財団,若者といった幅広い関係者の対話を促進し,もって,包摂的なポストMDGs策定プロセスを後押しすることを目指すものです。活発な議論が行われることを期待します。

コンタクト・グループの議論の紹介

 ここで,私から,日本が主導して立ち上げたポストMDGsに関する非公式な政策対話枠組における議論の状況を御紹介させていただきます。

 このコンタクト・グループは,これまで4回の会合を重ね,ポストMDGsの課題や主要な論点について議論を深めてきました。その成果を暫定議長ノートとしてまとめており,ハイレベルパネルの議論にも役立てていただきたいと考えています。暫定議長ノートの要約を皆様にもお配りさせていただきました。議論の一助になることを期待しています。

 コンタクト・グループの議論を通じ明らかになった点を時間の許す範囲で共有させていただきます。

 第1に,新たな目標は,幅広いパートナーシップに根ざした,インクルーシブなプロセスにより策定されるべきです。伝統的ドナーや国際機関だけではなく,新興国,地方政府,市民社会,民間といった様々な人々の力を結集すべきです。私は,このような力を「フルキャスト」の力と呼んでいます。このサイドイベントは,そのようなフルキャストの力を生み出したいとの私の強い思いから開催したものでもあります。

 第2に,ポストMDGsは,現行MDGsの強みにビルドオンしていくべきです。簡潔で明確かつわかりやすい目標体系を目指すべきです。また,これらの目標が測定可能であることが,成果を図る上でも重要です。さらに,引き続き,道徳的説得力を有する貧困削減と社会・人間開発に焦点を当てることが重要です。

 第3に,ポストMDGsは新たな課題にも対応できるものでなくてはなりません。特に,成長と雇用,衡平と平等,防災,環境と持続可能性といった課題に対処していくことが重要です。成長は開発の原資となる富を生み出し,防災は開発の果実を守ることにつながることを強調したいと思います。

 第4に,ポストMDGsの策定に当たっては,いくつかの重要な指導理念があり得ることです。特に,人間の安全保障,衡平性,持続可能性,強靱性の4つはあらゆる課題に対処する上で重要な概念でしょう。

 ポストMDGs策定は,将来どのような世界を創っていくかを考える大きな議論です。御紹介したい内容はたくさんありますが,これ以上は,この先の議論に譲りたいと思います。

総括及び閉会

 本日は,中身の濃い良い議論をありがとうございました。この会場の空気が,ポスト2015年国際開発目標に対する国際社会の熱い期待を表しています。

 このサイドイベントの目的は,多様なステークホルダーにオープンな対話の機会を提供することです。本日は,ポスト2015年国際開発目標に含まれるべき要素として,貧困削減,地球環境への対応や持続可能性,女性の役割とエンパワーメント,若者の視点,民間・市民社会の役割など,実に多くの意見が表明されました。

 非常に幅広い論点であり,ポスト2015年国際開発目標を議論することは,将来の世界の在り方を論ずるに等しい,大きな議論であるとの認識を新たにしました。この様々な論点を,いかにして簡潔で明確な目標体系に翻訳していくか。それらの実現に向けていかに世界の力を結集していくか。これらが,我々に課された課題です。

 ハイレベルパネルの皆様は,本日夕方に第1回会合を開催されると承知します。是非,このサイドイベントでの議論を踏まえて,有意義なポストMDGs策定に向け,皆様の経験と知見に裏打ちされた議論を展開されることを希望します。我々も,国際社会の一員として,ポスト2015年国際開発目標の策定とより良い未来に向け,力を合わせていく決意です。

 本日は,ありがとうございました。




このページのトップへ戻る
目次へ戻る