平成20年9月25日
9月25日、「ミレニアム開発目標(MDGs)ハイレベル会合」が、潘基文・国連事務総長及びデコスト国連総会議長の共催によりニューヨーク・国連本部にて開催され、我が国代表として中曽根弘文外務大臣が出席した。
今次会合は、開会式(全体会合)の後、3つのテーマ別分科会「貧困と飢餓」「教育と保健」「環境の持続可能性」が午前・午後にわたり開催される形式を取っており、中曽根外務大臣は、分科会1「貧困と飢餓」の午後のセッションで発言。
潘事務総長及びデスコト国連総会議長に加え、ブラウン英首相、キクウェテ・タンザニア大統領(AU議長)、温家宝・中国首相、ビル・ゲイツ氏らが発言。潘事務総長は、期限までにMDGsを達成するために各国の行動が求められるとしつつ、2010年にMDGsの進捗状況を検討する正式な首脳会合の開催を提案。
トーマ・ボニ・ヤイ・ベナン大統領が議長を務めた午後のセッション冒頭において、同大統領は中曽根外務大臣就任への祝意を表明し、2番目の発言者として指名。中曽根外務大臣は、本年我が国が開催したTICAD IV(第4回アフリカ開発会議)及びG8北海道洞爺湖サミットの成果を踏まえ、「人間の安全保障」の理念及び、途上国のオーナーシップに裏打ちされた経済成長の重要性を指摘するとともに、MDGsの達成に向けた我が国の積極的な取組を紹介した。
同分科会では、アフリカにおける農業分野の取組、幅広いステークホルダーの関与の重要性等を強調する議論が多くなされたほか、食料・燃料価格の高騰や最近の金融不安の悪影響を懸念する声もあった。
教育・保健に関するMDGsに国際社会の関心を集めることや、既存のドナーのみならず新たなドナー(民間部門、湾岸諸国等)を開拓することの重要性について、多くの出席者が強調。なお、一部から、資金不足の問題についても指摘があった。
持続的環境の確保(MDG7)は、貧困撲滅及び他のMDGs達成のための前提となるとの認識が共有された。気候変動ついては「共通だが差異ある責任」の原則から先進国の責任を強調する意見もあったほか、脆弱な島嶼国やLDCへの対応の必要性についての指摘も多かった。なお、分科会の共同議長を務めたラフモン・タジキスタン大統領が、前日に開催された水・衛生に関するサイドイベント(我が国、オランダ、ドイツ、タジキスタンが共催)に言及した。
潘事務総長が、事務総長サマリーを読み上げ、今次会合及び60に及ぶサイド・イベントを通じて表明された各国の貢献額は160億ドルにも上ると述べつつ、2010年にMDGsの進捗状況を検討する首脳会合の開催を提案する旨繰り返した。また、各国の個別のイニシアティブに言及する中で、我が国の「クールアース・パートナーシップ」についても言及した。
(1)今次会合は、幅広い国連加盟国が首脳・閣僚級で参加するとともに、民間財団・市民団体の代表等が参加してMDGsの重要性について認識を共有し、2015年までのMDGs達成に向けた政治的意思を国際社会に向けて改めてアピールするとともに、今後の取組について議論を深めた点で、有意義な会合となった。
(2)我が国は、中曽根弘文外務大臣が分科会1「貧困と飢餓」に出席し、「人間の安全保障」の理念及び途上国のオーナーシップに裏打ちされた経済成長の重要性を指摘しつつ、TICAD IV及びG8サミットの成果を踏まえた取組をアピールした。これにより、24日に我が国が他の関心国と共催した「水と衛生」に関するサイド・イベント(川口順子政府代表が出席)と併せ、MDGs達成に向けた我が国の存在感を国連の場で示すことができた。