国連

中曽根外務大臣の第63回国連総会出席
(概要と評価)

平成20年9月28日

  • 中曽根外務大臣は、大臣就任翌日の9月25日から27日まで、第63回国連総会及び各種国際会議出席のためニューヨークを訪問した。大臣は、ミレニアム開発目標(MDGs)ハイレベル会合、パキスタンに関するフレンズ・グループ会合、ミャンマーに関する事務総長のフレンズ・グループ会合に出席したほか、楊 潔チ中国外交部長、クレシ・パキスタン外相、ライス米国務長官、デスコト第63回国連総会議長との会談等を行った(麻生総理大臣の国連総会一般討論演説を傍聴し、総理とタラバーニ・イラク大統領及び潘国連事務総長との会談にも同席)。
  • 一連の会合や会談において、地球規模の課題への取組やテロとの闘いの重要性について各国と認識を共有し、各地域の情勢、二国間関係につき、有意義な意見交換を行ったほか、総会議長との間で、国連の重要課題につき相互に協力していく旨確認した。パキスタン等から我が国のインド洋での補給支援活動への評価と継続に向けた期待が表明された。

1.主要行事の概要

(1)ミレニアム開発目標(MDGs)ハイレベル会合

 国連事務総長及び総会議長が共催した本件会合の分科会1「貧困と飢餓」のセッションにおいて、中曽根大臣から、本年我が国が開催したTICAD IV(第4回アフリカ開発会議)及びG8北海道洞爺湖サミットの成果を踏まえ、「人間の安全保障」の理念及び、途上国のオーナーシップに裏打ちされた経済成長の重要性を指摘するとともに、MDGsの達成に向けた我が国の積極的な取組を紹介した。

(2)パキスタンに関するフレンズ・グループ会合

 パキスタン、UAE、米、英の共同議長の下、「パキスタンに関するフレンズ・グループ」第一回会合が開催され、議長声明が発出された。同会合には、我が国、豪州、カナダ、中国、フランス、ドイツ、イタリア、トルコの各国外相等並びにEU及び国連の代表が参加し、パキスタン支援の意思を改めて確認した。

(3)ミリバンド英外相との立ち話

 本年は日英外交関係開設150周年であり、双方で、日英関係を一層強化するとともに、グルジア、アフガニスタン、パキスタン等の課題や、金融、気候変動等のグローバルな問題に協力して取り組むことで一致した。また、大臣より、インド洋での日本の補給支援活動につき協力していきたい旨述べ、先方より、日本の勇気ある活動を高く評価した。

(4)楊 潔チ中国外交部長との会談

 麻生内閣最初の日中外相会談を行い、「戦略的互恵関係」の推進を確認。双方は、今後とも一層協力し、首脳間、外相間で頻繁に意見交換を行っていくことで一致し、日中韓首脳会議の年内開催の方向で協力していくこととなった。また、日中関係の諸問題、北朝鮮問題、国連改革等についても率直な意見交換を実施した。

(5)クレシ・パキスタン外相との会談

 中曽根大臣より、喫緊の課題に対するザルダリ大統領の強いリーダーシップに期待するとしつつ、パキスタン支援の一環として国内避難民支援のため、UNHCRを通じた総額約400万ドルの緊急無償資金協力の実施決定を表明したのに対し、クレシ外相より、本年度の円借款供与の倍増及び緊急支援の供与に感謝する、インド洋における給油・給水支援はパキスタンにとって価値のあることであり、両国の協力の証でもあるので感謝する旨の発言があった。

(6)ライス米国務長官との会談

 日米関係、北朝鮮、テロとの闘い等、二国間・地域情勢・国際社会が直面する問題について幅広く議論を行い、日米同盟の一層の強化に向けて両国が緊密に連携・協力していくことを確認した。先方から、インド洋での補給支援活動への評価と活動継続への期待が表明された。

(7)デスコト第63回国連総会議長との会談

 中曽根大臣より、今次国連総会において、気候変動、開発、国連改革、人権等を始めとする国際的な諸課題について緊密に協力を行って行きたい、また、安保理改革に関する政府間交渉のできるだけ早い開始に向けた議長の積極的な取り組みを期待する旨述べたのに対し、デスコト議長より、ぜひ協力していきたい、安保理改革を前進させる時である旨応えた。

(8)ハッサン・インドネシア外相との立ち話

 中曽根大臣より、本年が両国国交樹立50周年であり嬉しく思う、また貴外相から提案があった戦略的パートナーシップ行動計画の策定等については検討を進めつつあるところである旨述べたのに対し、ハッサン外相から、同行動計画は両国関係を高い次元に引き上げるためのものであり、更に強化された両国関係は、東アジア、アジア太平洋地域において安定のいかりとなるであろう旨述べた。

(9)ミャンマーに関する「事務総長のフレンズ・グループ」外相会合

 国連事務総長が主催し、ガンバリ事務総長特別顧問が出席した本件会合では、中曽根大臣より、ガンバリ事務総長特別顧問の努力を含む事務総長の周旋努力を引き続き支持し、我が国としてもミャンマーが民主化に向けた具体的ステップを取るように働きかけていく旨述べた。また、他の参加国(14カ国、EU及びASEAN事務局長)からも、ガンバリ特別顧問の周旋努力に対する支持や、最近のミャンマー情勢に関する考えが表明された。

(10)その他(立ち話等)

 大臣は、25日のMDGsハイレベル会合分科会の後、韓昇洙(ハン・スンス)韓国首相と短時間挨拶を交わした他、26日のパキスタン・フレンズグループ会合の場で、ザルダリ・パキスタン大統領、クレシ同外相、スミス豪外相、フラッティーニ伊外相、ババジャン・トルコ外相、シュタインマイヤー独外相と短時間の挨拶・立ち話を行った。

2.全体を通じての評価

(1)各地域の情勢・二国間関係に関する有意義な意見交換の実施

 一連の会合や会談において、地球規模の課題への取組やテロとの闘いの重要性について各国と認識を共有し、各地域の情勢、二国間関係につき、有意義な意見交換を行うことができた。

(2)国連の重要課題での協力の確認

 今次国連総会の重要課題となる気候変動、開発、安保理改革を含む国連改革、人権等について、デスコト総会議長との間で、今後、相互に協力を行っていくことで一致した。

(3)我が国のインド洋での補給支援活動への評価

 パキスタン等から我が国のインド洋での補給支援活動への評価と継続に向けた期待が表明された。

【参考】中曽根外務大臣の第63回国連総会出席日程

日付 内容
9月25日(木曜日) 午後 羽田発 ニューヨーク着
ミレニアム開発目標(MDGs)ハイレベル会合
一般討論演説(傍聴)
麻生総理大臣と潘国連事務総長の会談(同席)
夜 日・イラク首脳会談(同席)
9月26日(金曜日) 午前 パキスタンに関するフレンズ・グループ会合
日英外相立ち話
日中外相会談
午後 日・パキスタン外相会談
日米外相会談
9月27日(土曜日) 午前 デスコト第63回国連総会議長との会談
日インドネシア外相立ち話
ミャンマーに関する事務総長のフレンズ・グループ会合
午後 ニューヨーク発
9月28日(日曜日) 午後 成田着
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